公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第76報
チャド:史上最大の作戦

【2012年6月19日 チャド・マオ発】

© UNICEF Video
配給所で支援物資を受け取る人々

アフリカのサヘル地域の国々を苦しめている食糧危機と栄養危機。ユニセフは、今年、重度の急性栄養不良により重篤な状態に置かれる5歳未満の子どもたちの数は、チャド国内だけで、12万7,000人に上ると推定しています。

「重度の急性栄養不良は、5歳未満の死亡と直接関連しています。つまり、何の支援も行われなければ、こうした状況の子どもたちの多くは、命を落としてしまうのです。」ユニセフ・チャド事務所のロジャー・ドディノウ栄養プログラム担当官はこう話しました。

4月初旬、チャドでは、‘lean season’と呼ばれる、平年でも穀物収穫が無くなり各家庭の食糧備蓄が底を付く季節に入りました。このため、多くの子どもたちが栄養不良に陥る大きな危険に晒されました。しかし、ユニセフは、プランピー・ドーズ®と呼ばれる栄養治療食を提供しており、こうした支援が、この地域の子どもたちを栄養不良から守ってくれるはずです。

ユニセフは、子どもたちが栄養不良に陥ることを防ぐべく、チャド政府の取り組みを支援しています。ユニセフは、4月、プランピー・ドーズ®を、生後6ヵ月から2歳未満の子どもたち20万人に配布する大規模なプロジェクトをスタートしました。こうした内容の活動としては、ユニセフがチャドで活動を始めて以来最大規模の活動となっているこの支援活動は、今月末まで続けられる予定です。

また、ユニセフは、この機会を通じて、対象となる全ての家庭に石けんも配布。子どもたちには、虫下しとビタミンA補給剤も与えられました。「これらの支援は、子どもたちの栄養不良を予防する手助けになります。(この地域の)栄養不良率は、とても高いのです」最近研修を受けたばかりの地域の保健スタッフで、栄養治療食等の配布を行うチームリーダーでもあるアバカル・マライェさんはこう語りました。

史上最大の作戦

今回の支援は、国内数百箇所の物資配給拠点を網羅する、一大物流プロジェクトです。ユニセフは、この支援活動を推進するために、新たに、物資一時備蓄のための倉庫を7つの地域に提供しました。

実際の支援にあたっては、各地域の支援チームが、時に、配給拠点から数百キロも離れた場所にある支援対象となる村落(とそのニーズ)を確定しなければなりません。支援チームは、酷暑や砂ぼこり、目印のない道といったさまざまな困難に直面することになります。「私たちの担当する村々は、そこに辿り着くのさえ難しい場所にあるのです。車の車輪が砂や沼地にはまって先に進めない状況に陥る危険もあります。道らしい道はありません。本当に大変なんです。」(マライェさん)

こうした困難にもかかわらず、マライェさんのチームは、適切なタイミングで、栄養治療食をはじめとする支援物資の提供を始めることができました。 ユニセフは、重度の栄養不良に苦しむ子どもたちの治療のために、すぐに口にできる栄養治療食(RUTF)や、治療用のミルク、子どもたちの命を守るために必要な最低限の医薬品も提供し、チャドの栄養不良の子どもたち、弱い立場に置かれている子どもたちがさらなる困難に直面することを防ぐため、活動を続けています。