公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第96報
マリの栄養不良の子どもたちに日本の支援
「感謝の気持ちでいっぱい」

【2013年12月27日 マリ共和国・カティ発】

© UNICEF Mali / 2013 / Cao
コリオンくんとトラオレちゃんを抱く、母親のアセトウさん

アセトウさんは飢えの怖さや、子どもたちが苦しむ姿を目のあたりにすることの辛さを痛感しています。合併症を伴う重度の急性栄養不良に苦しむ彼女の3歳の息子、コリオンくんは治療を受け、回復へと向かっています。アセトウさんはようやく胸を撫で下ろすことができました。日本政府の支援をうけ、ユニセフとパートナー団体は栄養不良の危機的状態にある子どもたちへの支援を行っています。

アセトウさんは露天商を営み、夫は運転手として働いています。バマコ郊外に位置するカティのSamakebougou地区で、家族と平穏な生活を送っていました。しかし、マリに住む多くの子どもたちと同じように、彼女の子どもたちもまた、栄養不良の危機にさらされています。「ある日子どもが病気にかかり、最寄りの保健センターに連れて行きました。食欲がなく、熱があったので、息子はマラリアにかかっているのだと思いました」と、アセトウさんが話します。

しかしコリオンくんは栄養不良と診断され、カティにある保健センターに連れて行くように言われました。2日前、アセトウさんはコリオンくんと8か月のトラオレちゃんを連れて保健センターを訪れました。

「ここにいると、気持ちが楽になります。1日3度、ご飯を食べることができますから」と、アセトウさんは笑顔で話しました。これは、飢えや子どもの苦しむ姿を見る辛さを身に染みるほど分かっているからこその言葉です。彼女はここで、束の間ながらも心が休まる時を過ごすことができます。

「子どもたちはここで治療を受けています。コリオンは、生まれた時からずっと病気がちでした」コリオンくんはカンジタ性食道炎にかかり、食べ物を飲み込むことができません。そのため、チューブで栄養補給を行う必要があります。コリオンくんの手には、チューブを外さないように包帯が巻かれています。栄養チューブを通して、看護師が定期的にF75と呼ばれる治療用ミルクを投与し、体重の増加と代謝機能の回復を待ちます。体重の増加が確認できた後、エネルギー量のより多い治療用ミルクF100の投与へと移ります。

緊急支援の一環として、日本からの資金援助で20,000箱以上の栄養ミルクとすぐ口にできる栄養治療食を国中の保健関連の組織に提供することができました。

「子どもたちの健康状態も回復に向かい、本当に幸せです。なんてお礼を言ったらいいのか、言葉に表すことができないぐらい、感謝の気持ちでいっぱいです」と、アセトウさんが話します。日本からの人道支援により、コリオンくんのような合併症を伴う重度の急性栄養不良の子どもたち1,250人を含む、39,000人の5歳未満の子どもたちの治療を行うことができました。

また、日本政府から提供された緊急支援のための資金援助により、地域の病院や保健派遣団などに従事する37人に対する研修を支援することができました。また、地域の急性栄養不良の治療のための協定に従い、保健センターに従事する155人への研修にも支援を行いました。アセトウさんは保健センターや村の教育セッションにも参加をし、健康的な食事をとることの大切さを学びました。適切な食事は、子どもたちの生存や発達を守るために重要です。アセトウさんに適切な衛生習慣や健康習慣の知識があれば、コリオンくんやトラオレちゃんは栄養不良状態から抜け出すことができるだけでなく、健康でたくましく成長をすることでしょう。