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ハイチ地震緊急・復興支援募金 第6報
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© UN Photo/Abass |
ハイチのプルトープランスにある総合病院の駐車場に設置された臨時の避難所に横たわる被災者。 |
1月12日に、首都ポルトープランスをはじめ、ハイチの人口密集地帯を襲った地震は、少なくとも数千人の人々の命を奪いました。負傷者の正確な数は判明していません。30万人の人々が住む家を失い、総計300万人以上が被災したと推定されています。
地震から数日が経ち、ユニセフは、他の支援団体と共に、感染症などの2次災害の被害を受けるリスクの高い子どもたちの健康と安全を守るため、緊急支援活動の本格化に全力をあげています。家族と離れ離れになった子どもたち、そして避難所や食糧、飲料水をはじめとする生きるために欠かすことができないものを未だに手にできていない子どもたちの状況が非常に懸念されています。
人口の約半数が18歳未満のハイチの全ての子どもたちのこうしたニーズに応えるために、ユニセフは、使える手段を駆使して、被災地へ支援物資を届ける作業を続けています。ハイチに震災前から備蓄されていた支援物資に加え、パナマにあるユニセフの物資供給センターからも支援物資が送られています。また、追加の支援物資が、デンマーク・コペンハーゲンの物資供給センターからも急送されています。
© UN Photo/Dormino |
ハイチ国立宮殿近くの噴水で身体を洗う被災者。飲料水は非常に限られている。 |
今回のハイチ地震のような災害の直後は、子どもたちは特に下痢性疾患への影響を受けやすく、安全な飲み水と適切な衛生施設(トイレ)へのアクセスの確保が急務です。
「現地に送る支援物資に関しては、現在ユニセフは、水と衛生に関係しているものに重点を置いています。」ユニセフ緊急保健支援上級アドバイザーのロビン・ナンディ医師はこう話します。
「地震で被災したコミュニティの衛生環境は悪化します。下痢やはしかのような感染症の危険が高まるのです。これは、特に女性と子どもたちの命を奪い、多くの病気を引き起こす原因となります。」(ナンディ医師)
© UNICEF/NYHQ2010-0009/Amezquita |
パナマのトクメン空港で救援機に積み込まれるユニセフの支援物資。 |
2次災害を回避するための支援活動の一環として、16日(土)早朝、首都ポルトープランスの空港にユニセフの水と衛生分野の支援物資を載せた貨物機が到着しました。同空港に到着したユニセフの支援物資は、15日早朝に到着したものに続き2便目となります。
この貨物機から降ろされた貯水タンクと浄水剤は、ユニセフと国連や国際NGOなどの人道支援団体によって被災地に送られます。また、下痢による脱水症から子どもの命を守る経口補水塩も届けられました。ユニセフの水と衛生問題に関する専門家2人も、この便で現地に上陸しました。
海外からの追加支援物資が到着する一方、ユニセフは、沿岸都市ジャクメルで飲料水5000リットルを配布。国連の食糧配給活動に合わせ、簡易調理器具などがセットになった家庭用キット2500セットも、被災世帯に配られました。
また、現地時間17日には、ユニセフは、被害が深刻な地域に、緊急支援用仮設給水タンク26基の設置を開始します。現地の主な水道会社は、この給水タンクに水を供給するために、給水車を提供する予定です。イラクやスマトラ沖地震・津波の被災地など、世界各地の緊急支援の現場で使われてきた、この「巨大な水枕」のような仮設給水タンク一基で、5000リットルから1万リットルの水を供給することができます。
現地時間17日にはまた、隣国ドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴに、ユニセフの支援物資を載せた貨物機が2機到着する予定です。この貨物機には、必須医療品、避難所用の備品なども含まれています。
このうち一機は、英国航空から無償供与されたもので、ユニセフの支援物資40トンを載せています。
「緊急支援キット、救急用医療キット、避難場所を作るための防水シートなどが積まれています。」 (ユニセフ物資供給センターのクリスチャン・デフォー)
こうした迅速な対応にもかかわらず、ハイチでの支援活動はまだ始まったばかりです。死傷者は想像を絶する数に達する見込みです。インフラへの影響も明らかです。さらに、ハイチを含めたカリブ海諸国の国々は、地震に見舞われる前から、すでに極度の貧困と深刻な人道危機に直面していたことも忘れてはなりません。
行く手に立ちはだかる大きな困難を克服するために、ユニセフは今後6ヵ月間のハイチの緊急支援活動資金として、国際社会に1億2000万米ドルの支援を要請しています。これは、国連各機関合同緊急アピールとして5億6200万米ドルを求めた緊急アピールの一部として発表されたものです。(※1月15日発表の要請額が若干修正されました)
大きな苦難の歴史を歩んできた人々のもとに降り注いだ今回の災害。子どもたちの命を守る物資や機材は、現地に到着し始めています。こうした支援物資を切実に求めている子どもたちとその家族のニーズに応えることが、ユニセフの最優先事項です。