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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第13報
病院での治療を求めて国境を越える子どもたち

【2010年1月21日 ドミニカ共和国発】

© US Fund for UNICEF/2010/Alleyne
ドミニカ共和国首都、サントドミンゴにあるダリオ・コントレラス病院の特別病棟で、被災して怪我をしたハイチの子どものそばに立つ看護師。

ハイチを襲った地震から9日。ユニセフは支援を必要としている子どもとその家族に、救援物資の支援を続けています。これまで、貨物機数機分の支援物資が、ハイチと隣国のドミニカ共和国に到着しました。さらに追加の支援物資を乗せた貨物機6機が今週末までに到着する予定です。 その間にも、倒壊によって負傷し、精神的にも苦しんでいる多くの子どもたちを含む被災者たちが、ハイチの首都ポルトープランスではすぐに利用できない病院での治療を求めて、国境を越えて隣国のドミニカ共和国へ渡っています。

国境付近にあるドミニカ共和国の病院、特にジマニ町にある国立病院は、この多大な需要に応えるために全力で対処しています。しかし、保健省が周辺地区から追加の医療スタッフを配置してもなお、日に日に高まる需要に病院側が全く対応しきれていない状況です。

子どもたちのための特別病棟
© UNICEF video
ハイチとの国境のすぐ近くのジマニにある病院の医療スタッフ。負傷者のための医薬品を準備している。

ドミニカ共和国政府は、こうした需要に応えるために、首都サントドミンゴにあるダリオ・コントレラス病院に、震災の最も幼い犠牲者である子どもたちのための特別病棟を設置しました。

交通量の多い幹線道路のすぐ近くに位置するこのダリオ・コントレラス病院は、トラウマ(精神的外傷)のケアを専門としています。重傷を負った子どもたちは、国境地点からこの病院に運ばれます。

「これまでに、47人の子どもたちがこの病院で治療を受けました。」ヘクター・ケサダ医師は話します。「生後1ヵ月から14歳までの子どもがいます。子どもたちは、挫傷、頭蓋骨損傷、骨折などの治療を受けています。」

ダリオ・コントレラス病院での治療は、子どもたちにとって回復へ向けた最初のステップです。子どもの保護プログラムにおける一環として、ユニセフは、パートナーと共に、子どもたちが退院する際にも、安全な空間を用意するべく活動しています。

治療と情報
© US Fund for UNICEF/2010/Alleyne
ダリオ・コントレラス病院のヘクター・ケサダ医師。

病院の廊下では、病院のスタッフとボランティアの人々が慌しく動きまわり、愛する子どもの情報を探し求める家族であふれています。大きなお祈りの声と励ましの声が、子どもたちの泣き声と共に響いています。

イマニュエルさんはドミニカ共和国に暮らしていますが、彼の家族はハイチの被災地に住んでいました。イマニュエルさんは、話を聞いて助けてくれる人を求めて部屋から部屋へ歩いて回っていました。「息子について何も情報がありません。サントドミンゴにある全ての病院に行きました。お願いです。息子の名前はマキシモです。息子を探す手助けをしてください。」

これから数日から数週間先には、もっと多くのハイチの被災者たちが病院での治療と情報を求めてダリオ・コントレラス病院にやってくるとケサダ医師は推測しています。この体制を維持し、物流面のニーズに追いつくためには支援が必要だと訴えました。

母親として
© US Fund for UNICEF/2010/Alleyne
ダリオ・コントレラス病院の特別病棟で眠る負傷したハイチの子ども。ドミニカ共和国の女性たちが、母親と離れ離れになった赤ちゃんに母乳を与えている。

現在、病院にいる赤ちゃんは、ドミニカ共和国の女性たちによって十分な食事を与えられています。

「多くの赤ちゃんが親とはぐれて病院にやってきました。赤ちゃんは、生きるために母親の母乳が必要です。現在のところ、ドミニカ共和国の母親たちがこうした赤ちゃんに母乳を与えています。これは、母親として子どもたちを思う気持ちから行われているものです。」(ケサダ医師)

ユニセフは現在ハイチにて、子どもの健康を守るための支援で主導的役割を果たし、被災したコミュニティに、一日20万リットルを、病院に12万リットルの飲料水を提供しています。安全な水の供給は、水を媒介とする病気の流行といった2次災害を回避し、子どもたちを守るために必要不可欠な支援です。

数千人に上るハイチの子どもたちが重度の急性栄養不良に陥る危険性にさらされています。これを防ぐために、高たんぱく食品やすぐに食べられる栄養補助食品を配布する準備が整っており、追加の支援物資も間もなく到着する予定です。

ユニセフは、ハイチ政府、ドミニカ共和国政府と共に、医学的な治療を求める被災した子どもたちとその家族に応えるための活動を続けます。また、震災が与えた心理的影響に対処するケアも行っています。恐ろしい震災に見舞われた子どもたちが再び健康で安心した生活を送るための支援は、ユニセフの最優先事項です。