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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第23報
カメラマンからの報告

【2010年2月1日 ニューヨーク発】

© UNICEF/NYHQ2010-0102/LeMoyne
ポルトープランスにある推定500の避難所のひとつ、ペチョンビルクラブのゴルフコースに建てられた野外の避難テントで生活する女性と子ども。

フリーのカメラマン ロジャー・レモアーヌさんは、1990年からユニセフの活動の写真を撮り続け、ハイチでも多くの時間を過ごしてきました。レモアーヌさんは、1月12日にハイチで起きた震災後、最初に現地に到着したカメラマンのうちのひとりです。

その時から、レモアーヌさんは、ハイチを襲った子どもたちの命を脅かす緊急事態に対するユニセフとパートナーの支援活動を記録しています。ハイチは、人口の40パーセント近くが14歳未満です。

先週末、レモアーヌさんは、首都ポルトープランスにある空港近くの臨時のユニセフ・ハイチ事務所本部から、ユニセフ・ラジオのインタビューに対し電話で応えました。レモアーヌさんが話しをしている間、背後からは貨物機が離着陸する音、トラックやその他の車両の音が絶え間なく聞こえていました。

被災者の厳しい状況
© UNICEF video
カメラマンのロジャー・レモアーヌさん。

2004年に初めてハイチで仕事をしてから、レモアーヌさんは、様々な面でハイチと強い絆を築いてきました。今回で8度目となるハイチ訪問で目にした多くの光景を、レモアーヌさんは忘れることができません。

「正直なところ、全てが衝撃的でした。ここに来た人は、誰もが衝撃を受けると思います。」レモアーヌさんはこう話しました。

レモアーヌさんが見た被災者たちの多くは手足を負傷し、切断手術が必要でした。しかし、病院の状況は、多くの場合とうてい理想的なものではありませんでした。「全ての病院で、人々を屋外に移動させていました。ですから、屋外で出産している女性たちや、重症を負って病院の外の地面に横たわっている人々を見ました。」

ハイチの二重の災害
© UNICEF/NYHQ2010-0053/LeMoyne
ハイチの空港近くにある野外の病院の中にいるボランティアの医師と怪我をした子どもの母親と話しをするナディーン・ペルラウト子どもの保護担当官。

レモアーヌさんは、ハイチのインフラ設備が破壊されたことを見るのは、やり切れない思いがすると付け加えました。1月12日の震災以前から、ハイチではすでに貧困が蔓延しており、この地震はハイチにとって二重の災害となっています。従って、今回の地震によって打撃を受けたハイチの状況を、震災前よりもよいものにするために長期的な再建・復興支援を実施することが、大きな課題となるでしょう。

「負傷者たちの傷は癒えるでしょう」と、レモアーヌさんは話します。「しかし、ハイチの社会基盤は、それを支える体制も、また物理的にも大きく崩壊しています。前途は多難です。」

より大きな国際的な関心を
© UNICEF/NYHQ2010-0122/Roger LeMoyne
ポルトープランスの一部崩壊した建物の前を歩く被災者たち。

レモアーヌさんは、旧ユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、イスラエル、パレスチナ自治区で、武力紛争の現場やその爪あとの残る地域で活動してきた経験豊かなカメラマンです。ハイチでの震災被害は、これまで戦争地域で目にした状況に匹敵するほどの被害状況であると話しました。

しかしまた、レモアーヌさんは、少なくともハイチの復興・再建支援に多くの国際的な関心が寄せられているということが、この悲劇的な状況の中でのせめてもの救いだと指摘しています。

ユニセフは、地震の影響に苦しむハイチへのかつてない強い関心や支援活動、資金は、次の世代を担うハイチの子どもたちのために向けられるべきであると信じています。そして、再建・復興支援は、子どもと子どもたちのコミュニティと共に始められるべきです。子どもを中心に置いた復興支援を実施してこそ、震災による崩壊から立ち上がる新たなハイチを目にすることができるはずです。