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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第31報
父親の物語

【2010年2月19日 ハイチ発】

© UNICEF/HAITI/2010/Bakody
1月12日の震災の影響を受けたデュベイユ・マルスラン・アリスティドさんと息子のレマークちゃん(12歳)。

デュベイユ・マルスラン・アリスティドさんと息子のレマークくん(12歳)は、震災で崩壊してしまった自宅から50キロほど離れた町、フォンド・パリシエンにある小さな野外避難テントで、十数人の他の被災者の人々と共に生活しています。

1月12日の地震発生時、ポルトープランスの自宅の部屋で宿題をしていたレマークくんを、崩壊した部屋の壁が襲いました。

「コンクリートの塊が足の上に落ちてきたんだ。」レマークくんはその時のことを思い出して話します。「動くことができなくて、とても痛かった。」

居間でレマークくんの弟のまだ小さな赤ちゃんをあやしていたアリスティドさんもまた、地震によって崩壊した家の中で身動きが取れなくなりました。しばらくの間、アリスティドさんは頭が混乱し、ほこりの中で、ほとんど息をすることもできませんでした。しかし、暗闇の中で一筋の光を見つけ、その光を辿って、瓦礫の山と化した家の中から、外壁にあいていた穴まで辿り着くことができました。

まず最初に赤ちゃんが、その割れ目の穴を通って救出され、やがて、近隣の人々の協力で、アリスティドさんも脱出することができました。しかしながら、レマークくんの下半身を固定していた重いコンクリートを少しずつどける作業には、さらに4時間を要しました。レマークくんが助け出された後は、牧師をしているハイチの人が、アリスティドさんとレマークくんを救急治療を受けることができる国境の町フォンド・パリシエンに連れて行ってくれました。レマークくんは、激痛に苦しんでいますが、順調に回復しています。現在、骨盤は全てギブスで覆われていますが健康を取り戻しています。

生きていることへの感謝

アリスティドさんの家族は、命が助かったことに感謝し、彼らを助け、必要なケア・サービスを提供してくれた関係当局と国際ボランティアの支援活動を称賛しています。アリスティドさんとレマークくんは、フォンド・パリシエンにあるキリスト教布教教会に設置された避難キャンプで、レマークくんの母親と弟に一時的に再会しました。レマークくんの母親と弟は、ポルトープランスに戻りましたが、いまだ住所は不定です。

「全てを失ってしまいました」と、アリスティドさん。「私たちが持っていたものは全て破壊されてしまいましたから、路上で生活し、自力で生きていくしかありません。私たちを助けてくれるのは、今は神だけです。お導きくださるでしょう。神を信じていますから。」

必要不可欠な支援

ハイチの人口の40パーセント近くは14歳未満です。だからこそユニセフは、ハイチ政府とパートナーと共に、避難キャンプで緊急支援活動を行い、被災した子どもたちとその家族に必須支援物資と安全な飲料水を提供しています。ユニセフは、アリスディドさんのような人々が、震災前よりもよい生活を立て直すための長期的な再建・復興支援を継続して行う予定です。

レマークくんは、将来エンジニアになりたいと思っています。震災以前は、中等教育を卒業し、大学に進学する予定でした。現在、レマークくんは学校に戻る日を心待ちにしています。