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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第41報
普段の生活を取り戻したい・・・「生き埋め」から生還した17歳の女の子の声

【2010年3月29日 ハイチ発】

© UNICEF Haiti/2010/Nybo
1月に発生した地震で、2日間瓦礫の下敷きとなり生き埋めとなっていた場所を指差すレイチェル・ルニックさん(17歳)。 レイチェルさんは、近隣の住民に救出された。

大地震に襲われた1月12日、レイチェル・ルニックさん(17歳)は、地面が揺れ始めるとアパートの2階にある自宅を飛び出しました。安全な屋外の通りにでるわずか数歩手前で、隣に住む女性の絶望的な悲鳴が聞こえてきました。

本能的に、レイチェルさんはアパートに引き返しました。この女性と彼女の赤ちゃんは、助けが必要だと直感したのです。その数秒後、コンクリートの壁が崩壊。レイチェルさんは、崩壊してきたコンクリートの壁に倒され、意識を失いました。大きな瓦礫に右腕が挟まれて、身動きが取れなくなりました。

「ここに2日間閉じ込められました。」レイチェルさんは、変形した鋼鉄の支柱や粉々になったコンクリートの塊で埋まった信じられないほど狭い空間を指差して、その時の様子を話してくれました。「私は祈りました。そして泣きました。でも、神様が私をここから出してくれていることは分かっていました。」

瓦礫からの救出

この近所に住んでいた背の高いやせた男性、ルーカス・ウィルソンさんが、レイチェルさんの消え入りそうな泣き声に気がつくまで、48時間が過ぎていました。ウィルソンさんは、ハンマーと素手だけで慎重に瓦礫を取り除き、穴を掘ってレイチェルさんを助け出しました。ウィルソンさんは、この近隣で、彼女の他にも3人を同じように救出したそうです。

レイチェルさんがこうした話をしていると、ウィルソンさんが近づいてきて、かつてレイチェルさんの家があった場所を埋めつくしている瓦礫の山の上に立ちました。震災から既に何週間もの時間が過ぎましたが、ウィルソンさんは、いまだに壊れたアルミニウムのハンマーと錆びた鋸を持ち歩いています。

助けを求めて叫んでいたレイチェルさんの家の隣の女性の安否を尋ねると、ウィルソンさんは少し間を置いてから、落下した壁の裂け目深くに横たわっている頭蓋骨を指差しました。女性は、自分の子どもを抱きかかえて命を落としたということでした。

避難キャンプでの生活

レイチェルさんは、今、ポルトープランスや周辺部に設置されている数百箇所の避難キャンプのひとつ、「平和キャンプ」の小さな“テント”で生活しています。雨を防ぐため、古いベッドのシーツやテーブル掛けで作られた壁をビニールシートで覆ったにわかづくりの“家”です。レイチェルさんは、家族と一緒にこの場所で暮らしています。レイチェルさん一家には、彼女のほかに震災で負傷した人はいませんでした。レイチェルさんの所持品は、水を汲むためのバケツひとつとわずかな衣服だけです。

「このテントに7人が暮らしています」と、レイチェルさんは話します。「雨が降れば濡れてしまいますし、太陽が出ていると、テントの中はとても暑くなります。食べ物を手に入れることも難しく、(ここでの生活は)とても大変です。」

傷を負った彼女の腕は、動かせるほど回復していないので、包帯はまだ取れていません。

「私が今たった一つできることは、毎日水を集めにいくことです。」こう話すと、レイチェルさんは怪我をしていない方の手でバケツを運ぶ様子を見せてくれました。「腕に怪我をしたせいで、他のことはほとんどできません。」

普段の生活を取り戻したい

レイチェルさんは、ほとんど毎日震災が起こる前の生活のこと、そして日常生活を取り戻すにはどのくらい時間がかかるのか考えています。

「若者がハイチの復興・再建活動に参加することはとても大切です。ハイチの今の状況は良くありませんから。」

レイチェルさんは、学校に戻ることを切望しています。地震で傷を負ったのがきっかけとなって、医師になりたいと思ったのです。道のりは長く険しいことも理解しています。 「みんなが学校に戻れればいいと思います。学校がなければ、何もできないですから。」