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ハイチ地震緊急・復興支援募金 第50報
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© UNICEF Haiti/2010/Van den Brule |
若者のファシリテーターから、子どもたちの声の届け方について説明を受ける女の子たち。 |
子どもたちがおしゃべりをしている中、マリー・アンジュさん(9歳)はきれいに写した学校の設計図のポスターをかがみこんで見つめています。「これは私の夢の学校なのです。」とマリー・アンジュさん。
1月12日に起きた地震の後、マリー・アンジュさんは3ヶ月近く学校に通うことができませんでした。4月5日、ユニセフの支援で提供されたテントの仮設教室で授業が再開され、再び学校に行けるようになりました。
「元の学校を取り戻したいです。けれど、もっと安全で、また地震が起きても壊れない学校が欲しいです。地震でたくさんの子どもたちが亡くなりました。安全で壊れない学校だったら、死なずにすんだはずです。」
© UNICEF Haiti/2010/Van den Brule |
会議で「新しい学校」のイメージを描いて表現した女の子。 |
首都ポルトー・プランスのコンベンション・センターには、マリー・アンジュさんを始め、様々な社会・経済的な背景を持った子どもたちが全国各地から100人以上集まり、ハイチ地震復興計画に子どもたちの声を反映してもらうためにどうしたらよいか議論しました。
この集まりは、子どものためのグローバル・ムーブメントの一環として開催されました。「子どものためのグローバル・ムーブメント」とは、子どもたちの置かれている状況を改善するために、政府や国際機関だけでなく、市民組織のリーダーから子どもたちまでを含む、幅広い協力体制を作り上げていく運動です。ユニセフをはじめ、ワールド・ビジョンやプラン・インターナショナル、セーブ・ザ・チルドレン、SOSチルドレンズ・ヴィレッジ・インターナショナル、ケアといった国際NGO団体が参加しています。
ユニセフと国際NGO団体は、「子どもにふさわしいハイチを」という共通目標のもと、ハイチ政府と共に、子どもたちの抱える問題が復興計画の中心となるよう活動をしています。
若者のファシリテーターを務める、エマニュエラさん(21歳)は今回の地震で最も被害の大きかった都市の一つ、ジャクメルの出身です。復興計画のプロポーザル作成に、どのように子どもたちの絵が活用されたのか説明してくれました。何人かの子どもたちは、避難キャンプのゴミをきれいにすることを提案しました。他にも、夜間、明かりが十分にないところでの治安改善に努めたいという提案もありました。
ジョセットさん(14歳)は、子どもに懐中電灯を渡すことは、ジェンダーによる暴力から子どもたちを守るのに良い方法だと言います。
© UNICEF Haiti/2010/Van den Brule |
参加者から、地震後の地域の改善についての提案を聞くサブリナさん(中央・17歳)。 |
ユニセフ子どもの保護専門官ヴァージニア・ペレ・アントラン氏は、「子どもたちの提案は有効性があり、いくつかの提案は実行に移されています。「例えば、夜間でも人々が安全にトイレに行けるように、地域に以前より多く懐中電灯や持ち歩き用のライトを配布するようになりました。」と話します。
会議で、子どもたちは活気ある市民社会とは何かについて学ぶだけでなく、自分達の考えや構想を文章で表現しました。会議で、子どもたちが一番必要と考えたのは新しい学校です。教育がハイチの持続的な復興のために一番必要と考えたからです。
「ハイチ社会の復興は、数ヶ月や数年で達成できることではありません。」とキャプ・ハイティエン出身のウィドマーク君(17歳)は話します。「これから国の再建が始まりますが、子どもたちがまず教育を受けられるようにすることが必要です。」
これまでも、ハイチでの教育機会は十分でなく、教育を受けられないことが子どもたちの非行に繋がっていると指摘されてきました。
「地震の後、町で悪事を働く人が多く見られました。」と、ミロット地区出身のオヴァーソン君(15歳)。「子どもたちに、勉強を続けるように伝えます。勉強で将来を変えることができるからです。」
ハイチの子どもたちは、世界の人々がハイチの復興に関心を寄せ、協力して下さっていることに感謝しています。
「世界中の子どもたちに、ハイチが地震の前から社会や経済の発展が遅れていたため、今回の災害でより深刻な被害を受けていること、それから、再建に必要なだけの資金や物資がまだ十分にないことを伝えたいです。ハイチが早く復興できるよう、これからも引き続きご理解とご協力をよろしくお願いします。」とポルトー・プランス出身のローズさん(16歳)は話します。
子どもためのグローバル・ムーブメントでは、ハイチ政府と国際社会によって行われている被害及び需要調査や震災後需要評価に子どもたちのニーズや意見が反映されるよう、今後もこうした子どもたちの声を表明する機会を設けていきます。