【新着情報:2003-12-31】
イラン南東部地震(第2報)
ユニセフは、現地NGOと共に支援活動を継続中
<衛生と子どもたちのトラウマ(心的外傷)が課題>
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現地からの報告
現地時間12月26日、午前5時28分にイラン・バムで発生した大地震の被害状況が刻々と明らかになっています。
29日の段階で、死亡者は推定2万人(現在の報道では5万人に達するとの見方も)、推定3万人がけがを負い、そのうち1万人は治療のためにイランの別の場所へと脱出しています。7万人が家を失いましたが、多くはまだ家族と一緒にいます。また、3万人が親戚を頼ってバムを離れました。しかし、被災地では80-90%の家屋が倒壊し、多くの孤児や保護者とはぐれた子どもたちが生まれています。
現地に入ったユニセフスタッフ(広報官 Marc Vergara)によると、バムにあった2つの病院と23の保健センターは、すべてが壊滅しました。
保健員など保健活動従事者の3分の2が死亡し、残りの3分の1も所在が明らかでないか、働ける状況にありません。
彼は、イランの大臣が、長期にわたる活動の必要性を強調していることを伝えています。ユニセフは長期にわたる支援活動によって、改善をもたらしてきた機関ですが、イランは、即時の支援に対して感謝の意を表するとともに、最初の段階、つまり最初の3週間だけに留まらない支援の必要性を訴えています。
主な懸念事項には、以下の2点が挙げられています。
- 衛生状況:まず街のごみをきれいにする必要がある
- トラウマ(心的外傷)を負った人びとが、政府にとって本当の懸念事項。これはユニセフが注目している点でもある。
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バムの惨状。一面の瓦礫。 |
不明者の捜索と救出が山場を越えつつありますが、被災地への交通や通信が困難な状況は続いており、報告される被害者の数は急激に増加しています。
第一報でお伝えした通り、地震発生直後、ユニセフは被害者に対する緊急支援物資の輸送を急ぎました。12月28日には、支援物資を運ぶ2機の飛行機が、隣接するアフガニスタンとコペンハーゲンにあるユニセフの物資センターから到着しました。テント、医薬品、医療用道具、防水シート、子ども用毛布、浄水財、コミュニティ用水タンク、簡易発電機など40トン以上が届けられました。
その後、3機目の飛行機がベルギー政府の支援によって飛び立ち、学校用キット(スクール・イン・ア・ボックス)416キットを届けました。1キットあたり、80人の生徒と教員用の教材が入っています。これにより、どんな場所であっても当座しのぎの学校を開くことができ、子どもたちの教育の権利が守られます。教育活動は、子どもたちに日常の感覚を取り戻させ、地震の危機による影響を克服するのに役立ちます。学校再建は、コミュニティ再建のプロセスにおける重要な最初のステップです。
懸念される影響
最初の緊急物資支援は、機関間の状況評価とイラン政府の要請によって行われました。現在、さらに詳しいニーズの調査が進行中です。今後のプログラムの内容はこれに基づいて作成されることになりますが、主に以下のような対応が求められます。
◆子どもの保護
- 親や家族とはぐれた子どもたちの身元確認、書類作成、および家族のもとへ帰すこと
- はぐれた子どもたちを保護し、ケアを行うこと。被災児の心のケアを行うこと
- ともに働くすべてのパートナーが、子どもの保護責任や性的搾取の国連規定等について、よく理解できているようにすること
◆水と衛生環境
- 地元政府やその他のパートナーに対して技術的・物資的な支援を通じて、最低限の安全な水を確保できるようにすること
- 適切な衛生施設をつくり、汚物とごみの安全な処理を行うこと
- 衛生慣習を広めること
◆教育
- コミュニティや地方政府と協働して、基礎教育サービスをはじめること
- 子どもたちが学び、レクリエーションを楽しんだり心理社会的支援を受けることができる安全な環境をつくること
◆保健
- 緊急保健キット(基礎医薬品を含む)、基礎医療器具や出産用器具、緊急用シェルター(テント)や毛布など、最低限必要な物資を届けること
◆活動の予算
以下は短期のニーズに対応するための最初の資金見積もりです。ユニセフは、今回の災害に対して国連が共同で発表するすべての活動に参加します。以下の表に含まれているコストには、すでに送られた物資の費用や、技術支援および最初の活動段階で今後必要とされる活動の費用が含まれています。
《資金支援要請(ユニセフ初動分)》
*子どもの保護: |
15万米ドル |
*水と衛生: |
15万米ドル |
*保健: |
30万米ドル |
*教育: |
24万米ドル |
*食糧以外の支援物資: |
15万米ドル |
合計 : |
99万米ドル |
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