バグダッドの状況：
病院では水不足が深刻、ユニセフは給水車で病院に水を運ぶ

 すべての市民サービスは基本的に停止しています。ゴミ収集サービスもなく、がらくたが街中に積まれているため、病気が蔓延する危険も高くなっています。病院でさえ、ゴミを収集する者がおらず、血の付いた包帯や切断手術後の手足など、大量の廃棄物が病院の外に積まれています。

 ユニセフは、現在、ゴミを回収するため、トラックとドライバーを手配する方法を探しています。

 ティグリス川西岸にあるサダム小児科病院には、あまりにも多くの遺体があるため、病院スタッフが病院の庭に遺体を埋葬しなければなりません。それでも、すべての遺体を墓地に運ぶことはできません。

 病院では水が不足しています。現地のユニセフ職員は、きれいな水を最も必要としている病院に運ぶことができるよう、給水車を手配しています。

 バグダッドのユニセフ職員は、保健センターと上下水道設備の緊急アセスメントを実施しています。 現在、電気ときれいな水の他に、病院で最も必要とされているのは液体酸素です。液体酸素なしには、手術をすることができません。シャヒード・アドゥナンとアルマンスール子ども病院の２つの病院には、現在、わずか1日分の液体酸素しか残っていません。

 また、病院では、集中治療室の換気装置や静脈液、注射できる抗生物質、麻酔薬が不足し、困窮しています。

 ユニセフは、ヨルダンで麻酔薬を調達し、冷蔵設備のついたトラックで、数日中にバグダッドに運び込む予定です。いくつかの子ども病院では、70％の患者が下痢に苦しんでいます。

 今日、バグダッドのユニセフ職員は、およそ1万人の患者に医療サービスを提供しなければならない病院のひとつに、緊急保健キットを配給することができました。残念ながら、保健キットは30しかありませんでした。多くは略奪されてしまったか、ハティム氏が言うように、「すべてバラバラにされてしまった。残った部分を見つけ、病院で使えるよう作りなおさなければならない」のです。

 別の病院では、検疫が機能しておらず、髄膜炎のような伝染病患者が、既に体力が弱り病気に感染しやすい他の患者と一緒にされています。

 このように、バグダッドの現在の状況は本当に「ひどい」ものです。一方、現地のユニセフ職員は、私たちに希望を与えてくれる情報も伝えています。

 戦争勃発前、ユニセフは移動式のチームと契約し、上下水道設備の発電機を修復し、たとえ主要な送電網が機能しなくなっても、水を人々に届けることができるようにしました。

 このうち３つのチームは、爆撃、戦闘、略奪、そして混沌とした状況下でも活動していました。街中を動き、発電機が修復でき、維持できるようにしました。時には、病院の発電機も見回り、最低限の電力を、市民にとって非常に重要なインフラに供給できるよう保障しました。こうしたテームの勇気と献身を賞賛します。

 また、ユニセフ職員は、これまで緊急支援物資を届けてきた、多くの孤児院などに戻ることができるようになっています。そのうちのひとつの施設では、略奪の最中、非常に安全が危惧されました。ユニセフの職員が到着すると、施設の前には、子どもたちとスタッフが「ここは孤児院です。殺さないでください」と書かれた白いシーツを掲げていました。

 今日、私たちが訪れた孤児院のすべての子どもたちが無事で健康であったとことを嬉しく思います。彼らの唯一の要望は、新鮮な野菜を手に入れることです。明日、ユニセフ職員が彼らに新鮮な野菜を届ける予定です。

 今日、クウェートから給水車が40万リットルの水を運んでバスラに向かいました。別の給水車はズバイルとウムカスルに向かいました。

 昨日、イラク南部では黒水熱の発生と、ドイツのTVクルーがナシリヤへ薬を届けたことについて言及しました。薬が到着する前日、黒水熱にかかった子どもを連れた母親が病院にやってきました。しかし、医師は、適切な薬がないと、この病気は治療できないと伝えました。

 そして、昨日、その母親は子どもがますます衰弱してきたため、また病院に戻ってきました。RTL TVクルーから薬を受け取った医師は、その子どもに必要な治療を施し、命を救うことができました。現在、病院で働く医師は、メガホンを持って黒水熱にかかった患者を呼んでいます。

募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。