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財団法人日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第53報
「ちっちゃな図書館」が「ちゃっこい絵本館」に

【2011年5月11日 宮城・女川発】

国内観測史上最大のM.9.0を記録し、甚大な被害を及ぼした震災から今日(11日)で2ヵ月。学校では新学期が始まり、南三陸や陸前高田のように、町がほぼ壊滅してしまったような地域でも、水や電気などのライフラインの復旧も、徐々に始まっています。しかし、被災地にはいまだに撤去しきれない瓦礫が散乱し、大勢の方が行方不明のままとなっており、被害の正確な全体像はいまだに明らかになっていません。厳しい状況が続く中、普段の生活のペースを取り戻しつつあるように見える子どもたちは、心をやすらげる場所を求めています。

   
© 日本ユニセフ協会

3月25日にスタートした、被災地の子どもたちに日本全国のみなさまの想いの詰まった「えほん」と「えがお」を届ける『ユニセフ ちっちゃな図書館』プロジェクト。すでに約10万冊の絵本や児童書が、300箇所を超える避難所や幼稚園、保育園、小学校等に届けられています。

© 日本ユニセフ協会
「ちゃっこいとはどういう意味ですか?」と子どもたちに呼びかけると、「小さい!」と答える子どもたち。「名前はちゃっこい絵本館ですが、大きな夢とたくさんの本がつまった絵本館です」と話す遠藤定治教育長。

こうした場所の一つが、5月10日、宮城県牡鹿郡女川町にオープンした『女川ちゃっこい絵本館』です。震災前、女川町では、今年6月のオープンを目指して、「絵本図書館」の準備が進められていました。しかし、この計画は、3月11日の大津波によって、開館に向けて集められていた4万冊の絵本とともに流されてしまいました。そこに寄せられたのが、「ちっちゃな図書館」プロジェクトや、他の市民団体、企業などから寄贈された約5000冊の絵本。日本ユニセフ協会は、「子どもに優しい空間」支援の一環として、本棚やマットなども用意。「ちっちゃな図書館」プロジェクトに無償でご協力いただいたクリエーターの方々から、部屋や本の陳列の仕方など、デザイン面での協力もいただき、女川町立第二小学校の一角に、子どもたちが集い、絵本を読んだり読み聞かせを楽しんだりできる、子どもたちに優しい『女川ちゃっこい絵本館』が開設されました。

「かわいい!」

準備段階からずっと楽しみにしていたという子どもたち。絵本館オープンと同時に、大急ぎで駆けていき、絵本に飛びつきました。

© 日本ユニセフ協会
『女川ちゃっこい絵本館』オープンに向けて準備を進めるボランティアの皆さん。

「絵本がなかったからうれしい。」「パズルの本とかが読みたい。」「やっと本が読めると思った。物語の本が読みたい。」 そんな声とともに、子どもたちからは、「かわいい!」という声も。「バック・トゥ・スクール(学校に戻ろう)」や「バック・トゥ・幼稚園」キャンペーン、お母さんと赤ちゃんの保健支援などのために、休日も無く早朝から深夜まで被災各地を駆け回る中、その合間を使い、ボランティアの皆様のご協力を得ながら、「絵本館」の飾りつけを行った日本ユニセフ協会緊急支援本部宮城チームのスタッフにも、笑顔がこぼれました。

© 日本ユニセフ協会
オープン式典に出席したユニセフの日本人専門家、國井修医師が、「UNICEFを知っている人?」聞くと、みんなが「知ってる!バッグをもらった。」と答えてくれました。

この日のオープン式典に出席された教育委員会生涯学習課の山下由希子さんは、次のように語ってくださいました。

「子どもたちは、絵本館ができる準備段階からずっと楽しみにしていました。ダンボールだらけのスペースに、徐々に本が並んで行き、自分たちが読みたかった本が読めるということでとっても喜んでいます。」「家が流されてしまったこどもたちがほとんどなので『これ、家にあった本だ!』という嬉しそうな子どもの笑顔が印象に残りました。女川町はもともと読み聞かせに力を入れていた町で、毎週金曜日にお母さんたちがボランティアで読み聞かせをしていたので、子どもたちの本に対する思いはとても強いものでした。」「一歩外に出ると、茶色とがれきしかない町のなかで唯一のカラフルで癒される空間なので、先生方も、ここを通るたびに気分が明るくなると言っています。子どもたちが喜んでいる姿を見て、お母さんも明るい気持ちになり、それがどんどん広がっていく気がしています。これを土台にして、町が復興したら図書館をつくろうと思います。」

また、今回『女川ちゃっこい絵本館』のディスプレイなどにご協力くださった電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライターの田村綾さんは、次のように話します。

「本が読めるだけでなく、ワクワク楽しい気持ちになる空間になり、とても嬉しいです。ちゃっこいけれど、夢は大きな『ちゃっこい絵本館』。多くの方のたくさんの愛情がつまった絵本館だと思います。」

絵本の読み聞かせをはじめると、泣いている子どもも、いつのまにか笑っていたり・・・。絵本の読み聞かせは、子どもと触れあい、子どもを笑顔にする、かけがえのない時間です。もしお近くに被災した子どもたちがいたら、絵本の読み聞かせをしてあげてください。一人でも多くの子どもたちの笑顔をつくるために、日本ユニセフ協会もできることからはじめています。日本ユニセフ協会は、子どもたちやお母さんの支援を中心に、支援活動を続けています。

「ちっちゃな図書館」を、みなさまの地域でも

「ちっちゃな図書館」プロジェクトには、全国から、当初の予想を遥かに上回る数の絵本や児童書をお寄せいただきました。日本ユニセフ協会では、東日本大震災で被災された地域や、避難している子どもたちを受け入れられている地域の皆様に、「ちっちゃな図書館」をお送りしています。
受付は終了しました(2011/12/12)
30万冊以上の善意が被災地の子どもたちの元へ »

現在の支援物資到着状況

支援先
(県別)
支援物資 到着日 数量 寄贈企業 備考
宮城 3月19日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
福島 3月22日 12,672本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 男児・女児用下着 3月22日 20万枚    
岩手 男児・女児用下着 3月23日 3万枚    
福島 3月23日 4680本 キリンMCダノンウォーターズ(株) 2Lペットボトル
宮城 子ども用靴 3月23日 10000足  
宮城 子ども用おむつ 3月24日 80パック P&G  
岩手 子ども用下着 3月24日 9700枚    
福島 3月24日 12,288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
岩手 3月26日 1404足 アキレス(株)  
岩手 男児・女児用下着 3月27日 28,266枚    
岩手 長靴 3月27日 7462足    
岩手 お尻ふき 3月28日 1200個 P&G 赤ちゃん用
宮城 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 レクリエーションキット
「箱の中の幼稚園」
4月2日 各50   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 ランドセル 4月6日 70個 日本ニューバッグチェーン  
岩手 ランドセル 4月6日
-7日
340個 セイバン  
宮城 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
岩手 学校用かばん 4月8日 18,000個   ユニセフ物資供給センターより調達
宮城 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
岩手 防犯ブザー 4月8日 5,000個    
宮城 軽自動車 4月8日 3台    
福島 4月11日 1536本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 レクリエーションキット
補充素材
4月12日 60セット
宮城 ミニカー 4月12日 約1200 タカラトミー
相模原* 4月12日 12288本 VanaH(株) 2Lペットボトル
宮城 プレイマット 4月13日 2種
各80枚
IKEA
宮城 お絵かきセット 4月13日 60セット IKEA
岩手 保育園用いす・テーブル・座卓 4月14日 いす75脚・テーブル11台・座卓9台   被災した各幼・小・中・高と移転先へ
宮城 原付バイク 4月15日 5台    
岩手 小・中学生用ノート・文具セット 4月15日 (16,700セット)    
宮城 PC183台・コピー・FAX複合機(57台)・プリンター(61台) 4月18〜21日     各幼・小・中・高と移転先へ
福島 移動式黒板 4月21日 10台    
福島 仮設トイレ 4月21日 20基    

ちっちゃな図書館送付状況:約250件(4月28日現在)

*被災者受け入れ場所

※一部支援物資については、各県の物資集積倉庫より他県の避難所または被災者に配布されている場合もございます。

2011年4月28日午前9時現在 (広報室まとめ)