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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第188報
南三陸町での放課後子ども見守り事業
宮城県事業として継続決定

【2013年4月15日 宮城・南三陸町】

日本ユニセフ協会では、2012年4月より2013年3月まで、南三陸町教育委員会の要請を受けて、NPO法人キッズドアに委託し、同町内戸倉小学校および志津川小学校の放課後子ども見守り事業を支援してきました。

南三陸町は、東日本大震災によって大規模な津波被害を受け、人口の半数の方々が今も避難を余儀なくされている状況です。戸倉地区の戸倉小学校は、津波の被害によって校舎が使えなくなり、登米市の小学校で授業を再開して1年余りを過ごした後に、平成24年4月より、志津川小学校の1階に移転しています。子どもたちの多くは、スクールバスで登米市内の仮設住宅から通っています。

帰りのスクールバスが出発する時間は午後4時。低学年の子どもたちは、午後2時過ぎに授業が終わり、スクールバスが出発するまでの時間を、キッズドアが雇用する見守り指導員の方々に見守られながら、校庭や体育館で遊んだり、自習をしながら過ごします。

見守り指導員の方々は、戸倉小学校の保護者など地域の方々です。日本ユニセフ協会も加盟する中央子ども支援センターの協議会に加盟する財団法人児童健全育成推進財団の協力を受け、子どもたちとの集団の遊び支援の研修などを受けています。指導員の方々からは、「指導員がいたことで、遊びの中でおとなにかまってほしい子もそうでない子も混ざって遊べていたよう」、「自主的にルールを決めて遊びを考えるなど、子どもたちの成長を日を追うごとに感じられた」、といった声が聞かれる一方で、「遊びのケアだけでなく心のケアも必要としている子どもがまだいることを感じた」というコメントが寄せられました。また、「子どもたちがキッズドアの活動を楽しみにしていて、やりがいを感じた」、「元気に遊ぶ子どもたちに逆に元気をもらい、楽しく活動できた」という感想や、「これからも笑顔いっぱいの子どもたちの生活を支えていきたい」といった前向きな感想が寄せられています。

震災後、子どもたちの地域の遊び場は減ってしまっています。仮設住宅に暮らす子どもたちは、家に戻っても、身体を動かしたり、友人たちと遊べる場がないので、学校の放課後は大切な遊び時間です。この事業により、子どもたちが思いっきり遊べる時間が確保され、毎日子どもたちと真剣に向き合っていらっしゃる先生方も少し休息できるお手伝いができました。キッズドアのプログラムコーディネーターの片貝さんからは、「校庭は仮設住宅が建設されて半分になっているなど制約が多い中で、いかに子どもたちが安心して放課後に運動できる環境を作れるか、悩みをポッと出せる居場所を作れるかが常に課題でした。見守り指導員は、地域の方々なので、子どもたちの様子をよく理解しています。そのうえで、子どもに寄り添い、先生方と相談しながら献身的に取り組んだことが当事業の成功の要因だと思います」

4月からは、文部科学省が被災地支援事業として進める「放課後子ども教室(宮城県協働教育プラットフォーム)」事業として宮城県教育庁から南三陸町教育委員会が再委託される形で、行政主導で子ども見守り事業が継続されます。引き続き、キッズドアの方々は、南三陸町の戸倉中学校などで学習支援の活動を継続される予定です。

写真クレジット全て:「写真提供:NPO法人キッズドア」

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