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東日本大震災復興支援 第190報
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4月18日(木)、ユニセフハウスのホールには、女川中学校の子どもたちの、「つらい経験に向き合って、強く生きたい」という力強い声が響きました。
この4月、女川第一中学校と第二中学校が合併し、「女川中学校」として新たな道を歩みだした3年生(8名)が、日本ユニセフ協会を通じて届けられた支援への感謝の気持ちと未来への決意を伝えるため、ユニセフハウスを訪れました。
女川町は、宮城県沿岸部に位置する、養殖漁業や水産加工業が盛んな美しい町です。しかし大地震とその後襲った大津波により、800人もの尊いいのちが失われ、家屋の9割近くが被害を受けました。この日ユニセフハウスを訪問した8名の生徒さんは、震災当時小学校6年生でした。震災から1ヶ月後の4月11日に中学校の入学式を迎えた彼らは、「制服も、文房具もありませんでした。けれど、学校生活に必要なもの、生活に必要なもの、生きていくために必要な支援と善意を、ユニセフをはじめ、たくさんの方々からいただきました。だから、私たちも自分たちに出来ることに取り組んでいきたいと思いました」と語り始めました。
入学して初めての社会科の授業で、先生から「ふるさとのために何ができるのか考えよう」と問いかけられた生徒たちは、どうしたら災害からいのちを守る町にできるのかを考え始めたと言います。やはり「地震が起きたら、とにかく逃げる」ことが大事だという方向で話し合いが進んでいく中、「それでも逃げない人がいるんだ」と訴えた生徒がいました。その生徒のおじいさんは、避難しようとしない人に避難を呼びかける中で、津波の犠牲になりました。そこから彼らはもう一度、どうしたら大切ないのちを災害から守れるのかを考え直しました。そして、まとめたのが、『千年後のいのちを守るために』と題された3つの提案です。
千年に一度の大災害と言われる東日本大震災。そうであれば、次に同じような事態に直面するかもしれない千年後のいのちを守りたい。『千年後のいのちを守るために』というタイトルには、子どもたちのそうした強い想いが込められています。
最後に、子どもたちは、「世界中の多くの支えによって、いまこの場所にいることができる一人として、未来のいのちを守るために貢献したい」と締めくくりました。
日本ユニセフ協会は、復興へのプロセスの中に子どもたちの視点や想いが活かされるよう、子どもにやさしい復興計画の推進を応援しています。
写真クレジット全て:©日本ユニセフ協会