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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第233報
山形に避難された親子への支援

【2014年4月25日 山形発】

「ままカフェ」の様子(2013年5月撮影)
© やまがた育児サークルランド
「ままカフェ」の様子(2013年5月撮影)

震災後、東北をはじめとする多くの地方自治体が福島県からの避難者を受け入れました。中でも山形県には、一時、全国で最も多い1万3,770人の方々が避難(2011年12月)。現在も、子どもを含む5,259人の方々が、山形県内で避難生活をおくられています。

日本ユニセフ協会は、山形県に避難された親子を支援するため、2012年4月、福島県の要請を受け、山形県内で育児支援活動を展開されていたNPO「やまがた育児サークルランド」と連携。東京からも臨床心理士などの専門家も派遣し、特に未就学児を持つお母さんの一人親世帯への支援活動を続けています。

震災直後から

やまがた育児サークルランドは、県内各地で自主的に活動する「育児(親子)サークル」間のネットワークを作り共通の問題を解決しようと、育児サークルのリーダーや経験者などが中心となって1998年に発足。2002年に山形市内に子育て支援施設「子育てランドあ〜べ」を開設し、育児サークル支援や保育サービス、育児情報の提供、子育て支援の人材育成、調査・研究を行ってきましたが、2011年3月以降は、避難所でのボランティア活動など、いちはやく避難親子の支援に取り組みました。そして2011年6月、県内最後の避難所が閉鎖された直後、「ままカフェサロン」活動をスタート。県内の公営住宅や民間の賃貸住宅などに“離ればなれ”になって“避難生活”を続ける親子が他の同じ境遇で生活する親子と出会い、安心して集える環境をつくりながら、子育て情報や物資の提供、相談活動などを続けてきました。

当初、既存の公共施設等を使って展開されてきた「ままカフェサロン」でしたが、2012年4月には、日本ユニセフ協会との連携で、山形市内に常設の一軒家のひろばを設置。親子はもちろんお母さん一人でも、いつでも来たい時に来て、子ども同士が遊んだり、お母さん同士おしゃべりをしたりすることができる環境を提供しています。さらに、臨床心理士や歯科衛生士、助産師などの専門家の相談会も定期的に開催。長期にわたりストレスを抱え続けているお母さん方や子どもたちを、精神面で支えています。

子どもとの遊び方

やまがた育児サークルランドが発行する『ままカフェ通信』。
やまがた育児サークルランドが発行する『ままカフェ通信』。行政の郵便物と一緒に送られ、「ままカフェ」来られない方にも、育児に関する様々な情報を提供しています。

長引く避難生活の中、子どもの変化に敏感になったり、身近に気軽に相談できる人が限られているお母さん方から、「子どもとの遊び方がわからない」「子どもの些細な行動の変化が心配」といった不安の声が聞かれるようになりました。日本ユニセフ協会とやまがた育児サークルランドは、こうした声に応えるため、昨年、日本プレイセラピー協会とも連携し、「遊びを通した子どもの心のケア」支援をスタートさせました。親子遊びのワークショップや個別相談の時間を設け、子どもたちが遊ぶ様子を見守りながら、また時には、子どもたちと一緒に遊びながら、お母さん方や子どもたちの不安を取り除いていきます。漠然とした不安を整理でき、些細なことでも相談できる機会を得たことで、普段接するスタッフともコミュニケーションが図れるようになったお母さんもいらっしゃるようです。お母さんの不安が軽減されると子どもも元気になります。それがさらにお母さんの不安を取り除き、親子ともに抱えているストレスを乗り越えるための基盤となる良い親子関係を強めてゆきます。

支援する側へ

避難生活を続けている方の中には、将来的にも山形県内に残ることを決める方々も出始めています。一方的に「支援される」立場から“次”に向けて自ら動きだしていただけるようになるための“きっかけ”にもなることを期待しながら、そうしたお母さん方を中心に、「託児スタッフ」になるための研修機会の提供もスタート。自身が活躍する場ができたことで、子どもとの関係が改善されたという声も聞かれるようになりました。また、これまでは未就学児を抱える親子を中心とした支援でしたが、避難生活中に小学生になった子どもたちのための学習・補習支援活動、「寺子屋事業」も始まりました。

震災から3年以上が過ぎた今、山形県内で避難生活をおくられている方々を巡る状況は多様化しています。福島へ戻ることを決めた方。山形に残ることを決めた方。まだ暫くは山形に残ることにされた方。福島に戻りたいけど戻れない事情を抱えている方。それぞれ多様で深い悩みを抱えていらっしゃいます。さらに、「ままカフェ」のような交流の場に積極的に参加できる方々ばかりではありません。悩みを抱えながらも交流の場が苦手な方は勿論、子どもたちが就園・就学し、自分一人では参加しにくいと感じるお母さんなどもいらっしゃいます。そうした方々も含め、避難生活を続けていらっしゃる親子の孤立を防ぎ、避難先であってもそれぞれに合った子育てができるよう、継続した、きめ細かな支援が求められています。

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