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ミャンマー サイクロン被害第4報
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© UNICEF/2008/Osamu Kunii |
(ユニセフ・ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影) |
サイクロン「ナルギス」最大の被災地イラワジデルタ地帯では、汚染された水を媒介にした感染症や下痢などの発生が懸念されています。ユニセフは、既に実施している医療資材などの支援物資の配給に加え、間もなく、浄水剤300万個の配給をスタートさせます。
国連は、今回のサイクロンの被災者は100万人にも上り、死者も10万人に上る可能性もあるとしています。ユニセフ・ミャンマー事務所のホアニータ・バスケス代表代行は、同事務所が各地の被災地に派遣した緊急支援チームが、洪水被害が相当広範囲に広がっていることを確認していると伝えています。木々はなぎ倒され、家屋や学校は倒壊。飲料水や電気などのライフラインが寸断され、子どもたちは路頭に迷い、この国の主要産業の稲作地も壊滅的なダメージを受けています。「被災地の人々は、すべてを失ってしまいました。」(バスケス代表代行)。
災害発生からまだ数日。被害の全体状況がまだ確認されていない現状にも関わらず、ユニセフは、不衛生な飲料水や衛生状態の悪化が原因と思われる下痢性疾患が既に発生していると報告しています。5歳にならない幼い子どもたちの命が大きな危機に晒されています。
急がれる飲料水の支援
© UNICEF Myanmar/2008/Win Naing |
ユニセフ・ミャンマー事務所のスタッフたちは、現在、最大被災地イラワジデルタ地帯で最も必要な支援物資を手配しています。 |
「今まさしく、被災者は生死の境にいます。安全な飲料水がなければ、すぐに衰弱してしまいます。子どもたちはとくに、不衛生な飲料水のため下痢症になり、きわめて生命の危険な状況にあります。」と、ユニセフ本部緊急支援部の飲料水関連支援担当上級アドバイザーのポール・シャーロックは話します。
医療物資と経口補水塩に加え、ユニセフ・ミャンマー事務所は、少量の塩素で水を浄化できる家庭用キット15,000個をこれまでに配布しました。さらに20,000個が、アラブ首長国連邦のドバイから現在空輸されています。
「今朝、300万錠の浄水剤をミャンマーに向け発送しました。ミャンマーには明朝(9日朝)、到着するでしょう。これにより、汚染された水300万リットルを浄化することができます。」 デンマーク・コペンハーゲンのユニセフ物資供給センターのルドルフ・シュウェンクは話します。
復興への展望
© UNICEF Myanmar/2008/Win Naing |
旧首都ヤンゴンの倉庫で、緊急支援用の水浄化剤の配布を手配する、ユニセフのスタッフ。 |
ミャンマーで活動する国際機関やNGOなどの人道支援機関の中で、ユニセフは、飲料水と衛生設備(トイレ)の分野での活動をリードしています。ヤンゴンの港と道路は壊滅状態のため、簡便に輸送できる、浄水剤や家庭用キットは、現時点で、もっとも実用的な支援物資なのです。
「浄水剤の輸送は容易ですし、配布も簡便です。こうした緊急事態にはとくに、浄水剤は被災者に届きやすい物資です。」 シャーロック上級アドバイザーはこう説明します。「もちろんユニセフは、今後、浄水剤の配布だけではなく、より大きな規模の支援を展開し、早急に飲料水や衛生インフラの普及支援を行っていくことになる」と彼は付け加えました。
「汚染された井戸水を浄化することであれ、井戸や水道管を改修することであれ、とにかく『人々の命』を守るために、出来ることはなんでもしなければなりません。今後数週間で、(浄水剤の配布に加え)様々な施設の復旧をスタートさせることを目指し、ユニセフは活動しています。」(ジャーロック上級アドバイザー)
国際社会の支援をアピール
© UNICEF/2008/Osamu Kunii |
(ユニセフ・ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影) |
ユニセフはミャンマー国内で活動する他の国連機関やNGOなどと協力・連携し、きれいな水と安全なトイレ、改善された衛生設備などへのアクセスの供給に努め、同時に、子どもの保護と一刻も早く子どもたちが学校へ戻るために必要な支援を行っています。ユニセフ・ミャンマー事務所は通常活動資金予算である50万米ドル(約5200万円)を活用し、現在、緊急支援活動を展開しています。
昨日、ユニセフは、当面(3ヶ月間)の支援活動に必要な資金、820万米ドル(約8億6千万円)を国際社会に求めました。3ヶ月間の緊急支援活動計画の詳細は、以下の通りです。
保健と栄養
被災者の多くが医療サービスを受けられずにいます。また、清潔な飲料水の不足や衛生設備(トイレ)の不備のために、下痢などの病気が発生し、死亡率や病に罹る確率が高くなります。そして洪水は、マラリアやデング熱を引き起こす原因となる蚊を繁殖させます。ユニセフは経口補水塩(ORS)や医薬品、蚊帳などを配布していますが、必要な数の配布には到底間に合っていません。今後集まる資金は、これらの物資の調達のためにも使用される予定です。
水と衛生
電力供給や下水の機能停止によって起こる水質悪化や不足も深刻な問題です。これによって、コレラや赤痢など、水が媒体となる感染病の危険性が高まります。そのため、ユニセフは、被災した人々への安全な水と衛生設備(トイレ)の供給を行っています。また、現地のパートナー団体や政府と協力し、水や衛生サービスの確保にも努めています。
教育
多くの学校が被害に遭い、破壊された学校も多いと考えられています。ユニセフは、一刻も早く日常生活を取り戻してもらうために、子どもたちを6月1日までに学校に戻すことを目指し重点的に取り組んでいます。そのために学校の修復費(建築費)、一時的な学習スペースの確保のための費用が必要とされています。ユニセフの活動が対象としているのは30万人の子どもたちと2,000の学校です。
子どもの保護
家族とはぐれた子どもたちやトラウマを抱えた子どもたちの問題も、ユニセフが最も懸念している問題の一つです。ユニセフはこれらの子どもたちの身元確認、家族の捜索、子どもや女性たちの安全な環境の確保などを計画し、支援を行っています。
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