公益財団法人日本ユニセフ協会
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ソマリア干ばつ緊急募金 第11報
ソマリア南部を襲う飢餓
栄養不良の子どもたちを救う治療センター

【2011年8月8日 ニューヨーク発】

ハビブ・イサックさんは、ソマリア南部のワジドにある自宅を離れることにしました。この決断は初めてのことでしたが、それ以外に選択肢はありませんでした。干ばつにより、作物も家畜も失いました。完全な絶望感に襲われたイサックさんは、子どもたちを連れて、エチオピアの国境近くにあるドーローまで、救援を求めに行くことにしたのです。

「ワジドからここに辿り着くまで9日間かかりました。」「来る途中、とてもお腹がすきました。でも、食べ物を買うお金はありませんでした。夫は、一緒に来ませんでした。一人で子どもたちを連れてここまでやってきたのです。飢えで、死ぬかもしれないと思いました。」

現在、イサックさんと彼女の家族は、ドーロー避難キャンプにあるユニセフが支援した食事センターで、一日3度の食事を提供されています。この避難民キャンプは、飢餓と武力紛争によって住む場所を追われた数百万人のソマリアの子どもたちを支援するためのプログラムの一環として設置されました。

差し迫る子どもたちへの危機

© UNICEF/NYHQ2011-1226/Holt
ソマリアのモガディシュにある避難民キャンプにある食事センターで、避難民のために食事を提供する保健員。

現在食事センターにいる多くの人々は、ドーロー避難キャンプまで長く危険な旅を続け、体調を崩しています。

「中には、体調を崩していない人もいます。こうした人々は、約50キロしか離れていない場所からここにやってきたからです。」「しかしながら、バイやバイボアといったもっと遠くからやってきた人々は、非常に衰弱しています。ガリガリに痩せて、様々な病気に感染している人もいます。」ユニセフのエリン・マクロスキー栄養担当官は、こう話しました。

飢餓は、今後数週間でソマリア南部全域に広がる恐れがあります。すでに、何万人もの人々が命を落としており、その半数は、5歳未満の子どもたちです。100万人以上の子どもたちが差し迫った命の危険にさらされています。

「現在、栄養不良の子どもたちの中でも深刻な状態の子どもの割合が、すでに50パーセントに達しています。」「これは、非常に憂慮すべき割合です。」ユニセフ・ソマリア事務所のロザンヌ・チョールトン代表はこのように話しました。

支援活動の強化

© UNICEF/NYHQ2011-1220/Holt
モガディシュにある検問所で検査を受ける病気の娘を抱えた父親。多くの両親が食糧を求めてやってきている。

ユニセフは、パートナーと共に、ソマリアと、その他のアフリカの角地域の危機に対する緊急活動を強化するべく対応に追われています。現在までに、ユニセフは、ソマリア南部の6万5,000人の子どもたちの食事を十分まかなえるだけの支援をしました。今後6ヵ月間、全てのソマリアの子どもたちに手を差し伸べるためには、1億7,700万米ドル必要であると推定されています。

「ソマリアでは、今後3-4年かけて栄養に関する支援を急速に拡大するプログラムが展開されています。現在、ソマリア全域の約500箇所の施設で、急性栄養不良の治療のための支援を行っています。」ユニセフのピーター・ハイリー上級栄養担当官はこのように話しました。

「これが、直面しているこの緊急事態に対する活動基盤となっています。」「できる限り多くの子どもたちに手を差し伸べるべく、移動チームと地域の保健員を動員し、支援活動を急ピッチで拡大しています。」

命を救う治療

この支援は、すでに子どもたちの命を救っています。ソマリアの首都モガディシュにあるユニセフが支援している食事センターに、4人の子どもを持つ母親が、栄養不良の幼い息子を連れてやってきました。彼女は、耐えしのんできた辛い体験を思い出しているようでした。 この母親は、支援を求めて干ばつに襲われた地域を約160キロ歩いてきました。他の多くの人々と同じように、彼女も家畜や子どもたちの体調が悪くなっていくのを目の当たりにしています。「牛を飼っていました。2年間雨が降らなかったので、全て失いました。」「牛はみんな死んでしまいました。」

しかしながら、食事センターでの治療のお陰で、この母親の子どもは回復に向かっています。