公益財団法人日本ユニセフ協会
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ソマリア干ばつ緊急募金 第21報
世界で一番子どもの命が短い国

【2011年9月16日 ケニア・ナイロビ発】

15日(木)、国連「子どもの死亡数推計作業部会(IGME)」が発表した2011年の報告書『子どもの死亡率の推移(Levels & Trends in Child Mortality)』によると、数十年間にわたる長引く武力紛争と、繰り返し発生している干ばつの影響を受けているソマリアが、今、世界で最も5歳未満児死亡率が高い国となっています。

© UNICEF/NYHQ2011-1225/Kate Holt
首都モガディシュにある避難キャンプ内で座る女の子。

報告書によると、5歳未満児の死亡率は、世界平均では、1990年から35パーセント削減されました。また、その削減のスピードも早まっています。そうした中、2010年のソマリアの子どもの死亡数は出生1,000人あたり180人にものぼっています。

「最近の人道危機に見舞われる以前から、この国の6人に1人の子どもたちが、5歳の誕生日を迎えることなく命を落としていました。この死亡数はさらに増加するものと見られています。」「ソマリアは、子どもたちにとって、生きるのが最も困難な場所のひとつであることは間違いありません。」ユニセフ・ソマリア事務所のロザンヌ・カールトン代表はこのように話しました。

ソマリア南部の6地域(下シャベレ、バクールの一部、中シャベレ、ベイ、アフゴイ回廊とモガディシュの国内避難民キャンプ地)は、国連により飢餓状態が宣言されています。ソマリア中・南部では、75万人が切迫した死の危険にさらされており、急性栄養不良に陥っている33万6,000人の5歳未満児を含む150万人の子どもたちが、緊急に支援が必要な状態です。

急性栄養不良の割合が最も高いのは、58パーセントにも達しているベイ地域。これは、WHOが危険域として定める15パーセントの4倍近くに達します。今後数ヵ月のうちに予測されている雨期により、マラリアや肺炎といった病気が流行し、さらに命を落とす子どもの数が増加する可能性があります。急性栄養不良率の高さは、子どもの感染症の罹患率を劇的に高め、命を奪うこともあるのです。今年8月中には、ソマリアの南部・中部で、すでにはしか(1,903件)、肺炎(9,500件以上)、急性下痢性疾患(7,109件)の発症数が急増しました。こうした病気だけでなく、マラリアの感染者数も、10月の雨期の間に増加するものと見られています。

© UNICEF/NYHQ2011-1224/Kate Holt
モガディシュにある外来診療所で横になる妊婦。

ソマリアの子どもたちは、今回、国連の「飢餓宣言」が出される以前から、長年にわたって人道危機に直面していました。昨年までに、命を奪う病気を防ぐための予防接種を受けていた1歳児の割合は、3分の1未満。人口の70パーセント以上が、安全な飲み水を手に入れる環境にありませんでした。初等教育就学年齢に相当する子どものうち、実際に学校に入学しているのは10人に3人。2011年の人道危機が深刻化する中、ユニセフは、栄養不良、保健、教育分野への支援を拡大しました。また、ソマリアの子どもたちの緊急のニーズに対応するべく、世界的な支援を求めています。

「子どもの命を守るため、今起こっているような人道危機が将来二度と起こらないように、ソマリアの未来への投資となる本格的な支援が必要です。こうした支援は、常に真っ先に飢餓や困難な立場に立たされる子どもたちを最優先に行わなければなりません。」(カールトン代表)