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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ユニセフ・イノチェンティ研究センター 報告書

“A League Table of Educational Disadvantage in Rich Nations”
「先進国における教育の不利な状況に関する一覧表」
Innocenti Report Card, Issue No.4, November 2002

“学校は既存の社会的不平等を減らし、不平等に挑戦することができる”

(財)日本ユニセフ協会
2002年11月27日

ユニセフ・イノチェンティ研究センター(イタリア・フィレンツェ)は、先進工業国における教育の状況についてのレポートをまとめ、11月26日に発表しました。

レポートの要旨

ユニセフの報告書「先進国における教育の不利な状況に関する一覧表」(“A League Table of Educational Disadvantage in Rich Nations”)は、OECD(経済開発機構)加盟24カ国における「学習に関する不平等」についての研究結果である。「現在、弱い立場にある生徒が、さらにどれだけ取り残されてしまうか」——報告書は、この疑問に答えようとしている。

同報告書では、達成度の低い生徒と平均的な生徒との間に存在する学力格差の大きさによって各国をランク付けした。別の言い方をすれば、これはその国の生徒間の教育的な不平等の大きさを意味する一覧表である。この一覧表のトップには、フィンランド、スペイン、ポルトガル、カナダが並び、達成度の低い生徒が学力平均から遅れるのを防ぎ、不平等を比較的抑制できている国となっている。一方、一覧表の下位に位置するベルギー、ニュージーランド、ドイツ、米国は、そうした生徒間の達成度の格差をさらに拡大させているといえる。

主要な発見
  • OECD加盟国の教育パフォーマンスは、それ以外の国よりも一貫して高い。(指標:一定の学力水準を達成した生徒の割合、あるいは、達成度の低い生徒と平均的な生徒との間に存在する学力格差の大きさ)
  • フィンランド、カナダ、韓国の子どもは、ハンガリー、ギリシャ、米国、ドイツの子どもと比べ、適切な基準を満たした教育を受けられる可能性がより高く、学力平均より大きく落ちこぼれる可能性がより低い。
  • 「基礎的な読解力が無い」とされる15歳の子どもの割合が、韓国やフィンランドでは7%未満であるのに対し、スイス、ドイツ、ハンガリー、ギリシャ、ポルトガルでは20%以上にのぼる。同様に、「基礎的な数学の応用力が無い」子どもの割合は、韓国や日本では約10%であるのに対し、イタリア、スペイン、ギリシャ、ポルトガルでは45%、あるいは、それ以上にのぼる。
  • 「絶対的な」学習達成度(一定の学力水準を達成した生徒の割合)の高さは、「相対的な」教育の不利な状況(達成度の低い生徒が学力平均からどれだけ遅れてしまうか)の低さと必ずしも一致しない。
  • OECD全体では、同学年の生徒の数学の得点差の平均は、学年間(7‐8学年)の生徒の得点差の平均のおよそ9倍である。(学年間の生徒の学力格差よりも、同学年内の生徒の学力格差のほうが大きい)
  • いくつかの国では、学校ごとの学力水準の格差がかなり大きい。
  • 教育の不利な状況と、一人あたりの教育予算、先生と生徒の割合、収入の不平等との間に、単純な関連性はみられない。
  • 国によるばらつきは見られるものの、すべてのOECD加盟国において、学習達成度は生徒の両親の職業、教育、経済的地位と強い関連性がある。
  • 学習達成能力に関する不平等は子どもの成長の早い段階で始まり、教育の不利な状況を是正・緩和する試みは、質の高い早期幼児ケアと教育を通じて、学校就学前に始める必要がある。

(英文プレスリリース等からの要約翻訳)

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