ユニセフが国連安保理で主張
「子どもは戦争を戦うべきではない!」
ベラミー事務局長:紛争下での許しがたい虐待行為に、より注視するよう訴える
ニューヨーク
2004年1月20日
ユニセフ事務局長のキャロル・ベラミーは、戦時下においてすさまじい子どもの権利の侵害が起こっている、と糾弾しました。安全保障理事会の紛争下の子どもに関する年次会議に参加したベラミー事務局長は、安保理のメンバーに対し、子どもの兵士を使うこと、子どもを殺し傷つけること、子どもを誘拐すること、学校や病院を攻撃すること、男子/女子に性的暴力をふるうことなどを終わらせるために、より強力に活動するよう呼びかけました。
続いてアナン国連事務総長が、現在子どもの兵士を使っている国や非政府系の勢力を非難する報告を行いました。この報告では、世界の十数カ国において、子どもに対する最悪の形態の虐待が行われていることがまとめられました。
問題は巨大です。例えば、リベリアには、推定で15,000人の子どもの兵士がいます。最近のシエラレオネでの調査によると、避難世帯の17%において、レイプを含む性的暴行、拷問、性的搾取が報告されています。また、2003年だけで、82カ国が地雷の被害を受けています。
「コンゴからリベリア、スリランカからコロンビアにいたるまで、少女や少年たちが、戦争の残忍な行為の被害を受け続けています。子どもの命や基本的人権が危険にさらされるとき、それに対して見て見ぬふりをすることは許されません」とベラミー事務局長は述べました。
ベラミー事務局長は、紛争下で起こっているもうひとつのすさまじい虐待についても言及しました。日常的に攻撃の標的とされること、レイプを通じた少女への性的搾取、買春、人身売買、望まない妊娠を強いられ性的な奴隷とさせられることなどです。
「最近、コンゴ民主共和国から戻りましたが、私はそこで、性的暴力の破滅的な被害の状況を見ました。訪問した病院では、レイプによって重大な傷を負った少女や女性達のベッドが延々と並んでいました。昨年、私達は、戦争の道具として、つまりコミュニティを恐怖に陥れ、崩壊させるために、レイプが使われている現状を見ているのです」とベラミー事務局長は述べました。
ユニセフは、紛争下の子どもたちを保護するために、長い間、支援活動を続けてきました。
アフガニスタンでユニセフとそのパートナー達は、子どもの兵士を解放し彼らを社会へ再統合させるコミュニティをベースとしたプログラムを支援しています。このプログラムで、8,000人の子どもの兵士が支援を受け、戦争を乗り越えて新たな生活を始めるための用具などが届けられています。
リベリアでユニセフは、学校の教材を届けるために異例の方法を取りました。教員達は、手押し車で自分たちの学校用の資材を集めてまわり、カヌーの船隊が川の流域の村々に届けました。およそ2万人の教員が訓練を受け、およそ3,700校が修復されました。コンゴ民主共和国で、ユニセフは、コミュニティの女性たちのネットワークを支援し、レイプの被害者たちが、保健ケアや心理的な支援を受け、収入を得る機会を手に入れられるようにしています。また、いくつかの病院に対する支援を通じて、レイプの被害者に対し、包括的で特別な配慮のあるケアを提供できるようにしています。
ベラミー事務局長は、解放された子どもの兵士たちのために“保護を受けられる環境”を提供することが重要な要素だと述べます。再び軍に徴兵されることを防止し、長期にわたって教育、職業訓練、家族やコミュニティへの支援に投資する。こうした支援のための効果的な戦略が必要です。また、ベラミー事務局長は、社会への再統合のプログラムは、女子の特別なニーズについて考慮したものでなければならないと延べています。子どもの兵士だった少女たちは、性的な奴隷、荷物運び、召し使い、そして時に戦闘員として極端な暴力の被害を受けてきているのです。
この安保理における討議の機会に、ユニセフとCoalition to Stop the Use of Child Soldiers(子どもの兵士を保護する組織の連合)は、「武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書」についてのガイドを発行しました。このガイドにより、子どもの保護を訴える人々や、政府の役人、一般市民、そして子どもたち自身が、地域レベル、国レベル、国際レベルなど、どんな場でも子どもの兵士の使用をやめさせるために、アクションを取ることが可能になるでしょう。
Guide to the Optional Protocol on the Involvement of Children in Armed
Conflict (武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書」についてのガイド)はこちらからダウンロードできます。(英語)
http://www.unicef.org/media/files/optional_protocol.pdf
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