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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

エジプトにポリオ・フリー宣言

【2006年2月1日、カイロ発】

古代遺跡の研究から、ファラオの時代からナイル沿岸に住む子どもたちの間でポリオの感染があったのではないかと言われるエジプト。古代エジプト王朝の時代からポリオの感染被害を受けていたエジプトで、今日、世界ポリオ撲滅計画からポリオ・フリーの宣言がなされました。同国でポリオの発生が最後に報告されたのは2004年のことです。この結果、現在ポリオの野性株による発生が確認されている国は、同じく今回ポリオ・フリー宣言がなされたニジェールを除いて世界で4カ国のみ−ナイジェリア、インド、パキスタン、アフガニスタン−となりました。

世界ポリオ撲滅計画が立ち上げられ、ポリオ根絶に向けた世界的な努力がはじまった1988年の時点では、エジプトでは毎年数千件にのぼるポリオ発症例が報告されていました。今日このポリオ・フリー宣言の日を迎えることができたのは、数万人にのぼる保健員や予防接種員、そしてエジプト国内や国際的パートナー機関の数年間にわたる努力のたまものです。「ポリオの根絶はエジプトにとって、国家的事業のひとつでした」とユニセフ・エジプト事務所代表、エルマ・マノンコート氏は語ります。「ポリオ根絶に向けた世界的キャンペーンに、エジプトは大きな貢献を果たすことができました」

エジプトのポリオ・フリー化に向けた努力

エジプトの首都カイロで経口ポリオ・ワクチンの投与を受ける赤ちゃん。

ポリオ根絶を目指して、エジプト保健人口省は幾度にもわたって予防接種キャンペーンを実施してきました。予防接種チームがエジプト全土にわたって一軒一軒の家をまわり、5歳未満児の子どもを見つけ出してひとり残らずポリオの予防接種を行ってきたのです。

努力の甲斐があって、エジプトのポリオ発生件数は1980年代の終わりまでに数えるぐらいの件数にまで減少しました。しかし完全な根絶までには至らず、その後も継続した予防接種キャンペーンが行われてきました。その実施を技術的・財政的な側面から支援してきたのが、ユニセフや世界保健機関(WHO)、ロータリー・インターナショナル、米国国際開発庁、日本政府などをはじめとするパートナー機関です。また、一般国民の間で予防接種の大切さを訴えるため、エジプト大統領夫人のスザンヌ・ムバラクさんやユニセフ中東・北アフリカ地域親善大使のマームード・カビルさん、歌手のモハメド・ムニールさんをはじめとする著名人も応援に参加しました。そして2005年から導入された最新型のポリオ・ワクチンが効を奏し、エジプトにおける最後のポリオ・ウイルスの根絶が現実のものとなったのです。

闘いは終わらない

しかし、成功に安住しているわけにはいきません。イエメンやインドネシアといった国々からの経験からも明らかになっているとおり、ポリオ・フリーが宣言された国であっても、他国からふたたびポリオが持ち込まれる可能性があるからです。

エジプトでは今後も引き続き、定期予防接種活動を国家の優先事項としてとらえ、すべての子どもたちに対してポリオ・ワクチンの投与を続けていく予定です。

 

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