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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

国連総会、‘子どもの貧困’の強力な定義を採択

【2007年1月10日 ニューヨーク発】

国連総会は、‘子どもの貧困’について強力な定義を採択し、貧困によってだれもが悪影響を受けるが、子どもたちが経験する貧困は異なるという認識を示した。

国連総会は、子どもの権利に関する今年の決議のなかで、「貧しい生活を送っている子どもたちは、栄養、飲料水と衛生設備、基本的な保健サービスの利用、住居、教育、参加、保護などを奪われている。モノやサービスが極端に不足すると、だれもが悪影響を受けるものだが、そのことでもっとも大きな脅威を受けて傷つくのは子どもたちである。子どもたちは権利を享受できず、潜在能力を十分に発揮することも社会の一員として参加することもできないまま取り残される。」と述べた。

国連総会は、子どもたちが経験する貧困の特殊さにかんがみ、‘子どもの貧困’とは単にお金がないというだけでなく、国連子どもの権利条約に明記されているすべての権利の否定と考えられる、との認識を示した。

この新しい定義によれば、‘子どもの貧困’の測定は、一般的な貧困のアセスメント(しばしば所得水準が中心となる)といっしょにすることはできない。なぜなら栄養、飲料水、衛生施設、住居、教育、情報などの基本的な社会サービスを利用できるかどうかも考慮に入れる必要があるからだ。

ユニセフはこの決議を歓迎した。貧困を所得だけで分析すると、貧困によって被害を受けた子どもたちの経験を十分に理解することができないというのが、長年ユニセフがとってきた立場であった。‘所得の貧困’は、社会的疎外や差別、保護の欠如など、貧困がもたらすほかの側面を説明していない。これらはすべて、モノとサービスを利用することに限りがあるという状況とあいまって、子どもたちの精神的、肉体的、情緒的な発達に計り知れない影響を及ぼしている。貧困の悪循環を断つ最良の方法は、子どもたちに投資することである。子どもたちは、自分自身の発達と社会の発達の両方においてもっとも重要である。

子どもの福祉は、基本的なサービスと遊びや娯楽の環境の利用可能性、そしてその質に大きく左右される。子どもたちがこれらを利用できるかどうかは、必ずしも世帯の所得ではなく、むしろ国家が何を優先しているか、何に投資するかによって違ってくる。最後に、‘所得の貧困’はその世帯のメンバー全員が所得を平等に分けていると仮定しているが、実は子ども、とくに女の子への配分が少ないことがしばしばである。

たとえば、2006年10月に国連事務総長が発表した画期的な『暴力についての研究』は、女の子が男の子より価値がないとされている社会で、女の子は男兄弟よりも食べ物が少なかったり、医療や学校教育が受けられなかったりしていると報告している。

貧困が‘所得の貧困’だけで説明できないと理解されれば、子どもたちが貧困によってどのような経験をしているか広くとらえ、それに対処することが必要になる。それは、子どものために良い変化をもたらす政策を通じて達成される。たとえばより良い法律の策定、子どものための予算の増加、子どもを対象としたサービスの改善などである。

国連総会で採択されたこの定義によって、政策論争のなかに子どもたちが明確に組み込まれることになる。これほど良い機会はない。なぜなら、世界は子どもたちのためにミレニアム開発目標を達成する責任があるからであり、また子どもたちはより豊かで公正な社会を作っていく主体だからである。

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