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世界の子どものために ユニセフ・日本政府 一層の連携を確認【2007年3月2日 東京発】 国連児童基金(ユニセフ)と日本政府は、2月26日から27日にかけ、第19回となる定期政策協議を行い、紛争・災害・貧困に苦しむ国々の子どもたちの命を守り、子どもを中心に据えた復興・開発事業の実施に向け、現場におけるパートナーシップの更なる強化、戦略化を図ることを合意。28日、黒柳徹子ユニセフ親善大使を迎え記者会見を開催し、政策協議の成果を報告しました。 政策協議の成果
外務省の鶴岡公二地球規模課題審議官は、今回の政策協議では、ユニセフと日本政府が協力して推進する様々な支援活動をより効果的に実施するために、(1)支援理念、(2)支援対象国・地域の選定、(3)具体的な活動の中身・分野の3点の「刷り合わせ」を行ったと報告しました。 日本政府は、政府開発援助(ODA)の理念として「人間の安全保障」という概念を掲げています。人や人が住まうコミュニティの力が強くないと、国や社会の持続的な発展は望むことができません。それはすなわち、人々の能力の開発や、人々が安心て暮らせられるような環境整備が必要ということに他なりません。ユニセフの支援活動の主な対象は子どもや女性など社会的弱者であり、日本政府が掲げる「人間の安全保障」という共通の理念のもとで活動を行っています。 また、ミレニアム開発目標のうち「乳幼児死亡率の削減」(※1990年を基準とし、2015年までに5歳未満児死亡率を3分の2減少させる)は、特に子どもと直接関係した目標です。日本政府もこの実現に向けて、ユニセフに協力しています。 日本とユニセフの特別な関係
「日本とユニセフの関係は特別です。日本も1949年から1964年にかけてユニセフの支援を受け、約150万人の子どもたちがその恩恵を受けましたが、私もその中のひとりです」と、丹羽敏之ユニセフ事務局次長は語ります。そして今、ユニセフの支援活動に、日本は無くてはならないパートナーとなりました。日本は1950年からユニセフの支援国にもなりました。今、日本はユニセフにとって世界第2位の支援国です。「(2005年度)日本政府によるユニセフ支援額は世界第3位。日本ユニセフ協会を通じた民間部門からのご協力も世界第4位となっています。」「ユニセフの活動を支えてくださる大切なパートナーとして、親善大使の皆様も活躍されています。黒柳徹子ユニセフ親善大使やアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使は、毎年支援活動の現場を視察されていますが、訪れるのはいずれも紛争や自然災害、貧困など、過酷な環境になる国ばかりです。また、日本ユニセフ協会は、世界でも最大規模のユニセフ国内委員会ですが、日本の皆様からの募金の窓口だけでなく、広報活動や子どもの権利を守るためのアドボカシーにも積極的に行っています。そのほか、将来国際協力分野での活躍を担う日本の若者の人材育成にも力を入れています。」(丹羽事務局次長)。 さらに、ユニセフにとって大きいのは、議員連盟と多くの日本人職員の存在です。「超党派のユニセフ議員連盟は1988年に創立されましたが、現在安倍首相を含む107名が所属し、谷垣衆議院議員が会長を務められています。日本人スタッフも74名。それぞれ途上国の現場や本部で活躍しています」(丹羽事務局次長)。 忘れられた子どもたち今回の記者会見にスペシャルゲストとして参加した黒柳徹子ユニセフ親善大使は、「忘れられた子どもたち」と題して講演。20年以上にわたり、自らの目で確認してきたユニセフの支援活動の重要性を報告し、日本政府や日本国民によるより一層の支援を訴えました。(講演内容はこちら>>) ODA削減の「逆風」の中で今回の定期協議は、国際社会や世界の子どもたちを取り巻く環境が厳しさを増す一方で、日本政府の政府開発援助(ODA)予算が抑制され続けているという状況の中で開催されました。ユニセフは、この点に憂慮を表明。日本政府も、日本国民全体で、現状を認識し議論することが必要と訴えました。 「過去10年間でODAは37%削減されました。一方、公共事業予算は16%。防衛費は過去10年間で2%の削減です。平和的予算が大きくカットされているのです。黒柳さんがおっしゃったように、日本の国民ひとりあたりにすればあと数円程度出せば済む話ですが、その数円を出さないとしているのが、今の日本の現実であるということを、是非皆さんに知っていただきたい」(鶴岡地球規模課題審議官)。
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