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シエラレオネ:子どもの生存キャンペーンの拡大出産可能年齢の女性120万人余りに破傷風トキソイドの接種、 【2007年4月16日 フリータウン/シエラレオネ発】 シエラレオネの保健衛生省、WHO、ユニセフとそのほかの協力機関・団体は、4月16〜23日の1週間、「妊産婦と新生児の破傷風についての子どもの生存総合キャンペーン」を展開する。このキャンペーンでは、出産可能年齢の女性120万人と生後6ヶ月〜5歳の子ども85,000人を対象に、破傷風トキソイドの予防接種、寄生虫駆除薬、鉄・葉酸の錠剤の投与が行われる。また、子どもたちにはビタミンAの投与とメベンダゾルによる寄生虫駆除も実施される。 キャンペーンの目的は、シエラレオネで子どもの主な病気のひとつとなっている新生児破傷風の罹患率と死亡率を減らすことにある。シエラレオネは世界でも乳幼児と妊産婦の死亡率がもっとも高い国のひとつであり、5歳の誕生日までに死亡する子どもは1,000人中167人、出産時の妊婦死亡率は10万人中1,300人となっている。妊産婦と新生児の破傷風を撲滅することで、この数値は改善する。さらにキャンペーンによって、妊産婦と子どもの保健の重要性を地域社会に認識してもらうことや、「総合疾病監視」の強化につながることが期待されている。 ユニセフ・シエラレオネ事務所長ギアート・カペラエレ氏は、保健と教育の領域でミレニアム開発目標に向けた成果や結果を強調し、子どもの生存に対する総合的なアプローチこそユニセフの活動の中心であると述べた。HIV/エイズ、子どもの保護、水と衛生などの対策は、保健と教育の2領域における子どものための開発目標の達成を目指し計画されている。生活・生存・教育と発達に関する子どもの権利を実現するためにも、この重要な開発目標に取り組むことで、子どものために有意義な結果をもたらすことができる。 カペラエレ氏は首都フリータウンの予防接種センターを訪問し、「シエラレオネは、最新のワクチンと医療の進歩によって、乳幼児の死亡を減らすための国際的なキャンペーンに遅れをとることはできない」と述べた。 保健衛生大臣アバトール・トーマス氏によると、子どもと妊産婦の死亡率の減少は政府の開発における最優先課題である。「包括的な子どもの生存キャンペーン」によって費用対効果が大きい方法が適用され、新生児破傷風のように防ぐことができる病気の予防接種を行うことで子どもたちを救い、5種混合ワクチンの利用も可能になるだろう、とトーマス氏は強調した。「子どもたちに実施している今のワクチンは接種回数が多く、それが原因で親が子どもに予防接種を受けさせない状況を招いている。政府は、5種混合ワクチンは予防接種率を向上のために有効であると考えている。また、政府は子どもと妊産婦の死亡率が高いことや、シエラレオネがグローバルな人間開発指標のなかで上位を占めていることを懸念している。我々は断固としてこの状況を変える決意である」 このキャンペーンは2007年4月16〜25日、5月21〜30日、11月の3回にわたって行われる。破傷風の予防接種に加え、15〜49歳のすべての女性に鉄・葉酸の錠剤および寄生虫駆除薬、6〜59カ月の子どもにはビタミンAと寄生虫駆除薬が投与される。 キャンペーンの資金はユニセフが全額拠出する。またユニセフは110万回分の破傷風ワクチン、1,900缶のビタミンA、20,500缶以上の駆虫薬錠剤、8,800缶の鉄分の錠剤を提供するほか、社会動員や技術、ボランティアの研修などに140万米ドル相当の支援を行う。保健衛生省から7,000人(ワクチン接種者とボランティア)が、900ある末端の保健所や仮設の接種所(全国の学校も含まれる)に派遣される。地方議会も参加し、取り残される子どもがいないようにする。 破傷風は予防接種によって防ぐことができる病気である。世界では毎年、18万人の新生児が破傷風にかかっている。また妊産婦は毎年3万人が破傷風で死亡しており、20人の一人の母親の死亡原因となっている。出産可能年齢にある女性はだれでも、泥や動物あるいは人間の排泄物に含まれる破傷風に感染するリスクがある。しかしながらとくに母親と新生児は、妊娠中のケアが限られていること、専門的な技術を持たない出産介助、不衛生な出産などが原因で感染リスクがもっとも高い。つまり破傷風の撲滅によって、母親と新生児の両方が恩恵を受ける。出産時の適切な措置や調査を改善すると同時に、妊娠中の女性、出産可能年齢の女性すべてに予防接種をすることで破傷風を防ぐことができる。 シエラレオネでは新生児死亡のうちの14%が破傷風である。原因は不衛生な出産時の措置にあり、とくにヘソの緒を切るときに感染する。症状は出生後3日以内に現れ、健康な赤ちゃんが母乳を飲まなくなったり、硬直や痛みを伴うけいれんを起こして死に至る。 妊産婦の破傷風は、妊娠中または産後6週間で発症する。これは危険な出産や不衛生な出産でできた傷あるいは中絶時の傷からの感染が原因である。症状は新生児とほぼ同じで、筋肉痛を伴うあごの硬直、えんげ困難やけいれんなどである。 キャンペーンでは子どもの定期的な予防接種を推進するとともに、今年初めに始まった5種混合ワクチンの予防接種を3回実施する。このワクチンは、1歳未満の子どもにたった1度接種することで、5つの病気(B型肝炎、B型インフルエンザ、破傷風、百日咳、ジフテリア)を予防することができる。子どもの命を奪う病気に対抗する画期的なワクチンであり、シエラレオネの乳幼児死亡率の減少に欠かせない。定期的な予防接種プログラムに5種混合ワクチンを導入することで、予防接種率を向上させることができる。親たちは1回の予防接種で必要なワクチンの投与を完了できることから、子どもに予防接種を受けさせようと思うだろう。 シエラレオネはすべての子どもに予防接種をするという目標に向け、1990年には接種率75%を達成していた。内戦とそれによる保健関係のインフラの破壊が原因で、1995年の接種率はわずかに6%未満であった。しかし保健分野での再生が進み、予防接種サービスも全国に拡大されている。過去数年のはしかの予防接種キャンペーンによって、死亡率や罹患率は大きく減少した。現在、すべての疾病に対する予防接種率は66%となっている。
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