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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

1万人のヘルス・ワーカー、
世界で最も危険な地域のひとつでポリオを抑制

【2008年3月25日 ジュネーブ発】

世界ポリオ根絶計画(GPEI)は今日(25日)、ソマリアが再びポリオ・フリーとなったことを宣言し、これを公衆衛生における「歴史的な偉業」と称した。ソマリアでは、2007年3月25日以降ポリオが報告されていない。これは、わずかな拠点に残っていたポリオを完全になくすため、昨年から取り組まれてきた集中的な根絶活動の目標であった。

紛争が広範に及び、大量の人口移動や政府のインフラがほとんど機能していない状況のなか、ソマリアはポリオ・ウィルスの感染を食い止めることに成功してきた。これは、1万人以上のソマリア人ボランティアとヘルス・ワーカーが、地球上でもっとも危険な地域のひとつであるソマリアの集落にある家々をくりかえし個別訪問し、5歳未満児180万人余りに複数回の予防接種を実施した努力のすえにもたらされた勝利である。

それぞれの紛争地域に適した革新的なアプローチを利用することが、ソマリアのポリオ根絶の中核となった。そのアプローチには地域社会の参加を促進することや、不確かな地域では「一価」ワクチンを効果的に利用し、短期間に複数回接種することなどが含まれている。

WHO東地中海地域事務所フセイン・A・ゲザイリー所長は、「今回の歴史的な偉業により、ポリオはどこにおいても、そして最も困難な状況の中でさえも根絶できるということが証明された」と述べた。

生涯にわたって麻痺を引き起こす可能性のあるポリオは、20年間の国際的な協力活動によって、世界のほぼすべての地域で根絶されてきた。現在ポリオが残っているのは4ヶ国(アフガニスタン、インド、ナイジェリア、パキスタン)のみであり、地球全体でのポリオ根絶はこれらの国々での感染の阻止にかかっている。

ポリオ・ウィルスは簡単に移動し、現代社会では長距離の移動も可能である。ウィルスが残りの4カ国で完全に根絶されるまでは、世界のほかの国々のリスクも高いままである。2002年にいったんはポリオを根絶したソマリアは、ナイジェリアからのウィルスによって2005年に再び感染者を出した。ソマリアが再度ポリオ根絶に成功したことは、中央政府が機能していない地域でさえもこの病気を終結させることができるということを示唆している。

ユニセフ・ニューヨークの上級保健アドバイザー、マリテル・コステールス博士は、「ソマリアは、アフガニスタンやパキスタン以上の被害をもたらした広範な紛争と貧困のさなかにポリオに打ち勝った」と述べ、これら両国での不安定な状況や大規模な人口移動、すべての子どもにワクチンを接種することの難しさなどを引き合いに出した。「だが、地域社会が参加すれば、どこでも子どもたちに手を差し伸べることができるということをソマリアは証明している。」ポリオの根絶を目指す国々のなかで、アフガニスタンやパキスタンが一番乗りすることも可能である。これらの国々でのポリオの発生は、2007年のポリオ全体のわずか5%にすぎない。

ポリオ根絶を達成するためには、一貫した資金援助も重要である。世界でポリオ根絶のために必要な資金は、2008〜2009年に5億2500万米ドルの不足となっており、感染者が出ている残りの地域でこの病気との闘いを続けるため、そしてポリオがなくなっても高いリスクのある地域の子どもたちを守るために緊急の資金拠出が必要とされている。民間団体として世界ポリオ根絶計画の最大の寄付者でありボランティアでもある国際ロータリー財団は、1985年以来ソマリアにおけるポリオ根絶のために920万米ドルを、世界全体での根絶に7億米ドルを寄付してきた。ロータリーの東地中海地域ポリオプラス委員会委員長はこう述べている。「集中根絶活動の適切なツールと戦略が効果をあげるということを、ソマリアがはっきりと証明している。ポリオのない世界とは実現可能な公衆衛生目標であり、世界の公益だ。世界の各国政府、とくにG8諸国に対し、必要な資源をすぐにも利用できるようにすることを呼びかける。子どもたちが生涯にわたる麻痺の苦しみを味わうことがない世界を、我々はともに実現することができる。」

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