南アジアの政策決定者、子どもの社会的保護政策を議論
社会保護政策・制度により貧困と不平等に取り組む地域シンポジウム
【2008年4月15日 ダッカ発】
南アジア8カ国の政策決定者は今日(15日)、社会保護制度・法律・政策が子どもの権利を実現することにどのように貢献できるかについて検討するユニセフ主催のシンポジウムに参加するため、バングラデシュの首都ダッカに集まった。南アジアには、今も子どもたちが社会的剥奪と不平等で非常に困難な状況に置かれている地域もある。
近年ますます、社会的保護戦略は貧困や所得格差、社会的疎外などに取り組み、社会変革を起こすための効果的な方策と考えられるようになっている。今回のシンポジウムは、南アジアの社会的保護制度をよりいっそう強化するための対策を共有し、方法をみきわめようという貴重な機会である。世界人権宣言60周年の記念行事が世界中で準備される中、すべての子どもが、基本的人権として最低限の社会的保護サービスを利用できるようにする必要がある。
ユニセフ・南アジア地域事務所ダニエル・トゥール所長は次のように述べた。「資源や所得、社会的サービスから除外されている女性と子どもたちは、高い経済成長率にもかかわらず、人間開発指数がなかなか前進しない状況によりもっとも影響を受けている。子どもにとっては、この“断絶状態”は、往々にして、子どもの将来に取り返しのつかない結果をもたらす危険な要因のひとつである。」
3日間にわたるシンポジウムには、約70人の政府高官や国際NGOおよび開発機関の代表、主な学術機関の研究者と専門家が出席する。
南アジアの貧困率は大きく減少しているが、今も4億人余りが貧困ライン以下の生活を送っており、世界の貧困層のほぼ40%を占めている。南アジアは低体重の5歳未満児の割合が世界でもっとも高い。かつてない経済成長にもかかわらず、不平等と格差が増大していることはさまざまな社会指数から明らかであり、経済成長の恩恵が社会のなかに平等に分配されていない。現在の食料価格の高騰は、この地域の貧困層に新たな問題をもたらしている。
南アジアの多くの国で、社会的保護のための制度が導入されてきた。最近の例としては、パキスタン政府による“貧困層および社会的弱者のための社会保護戦略”、インドの“未組織の産業分野労働者のための社会保障法案2007”、ネパールの“社会年金制度”、アフガニスタン国家開発戦略のなかの“社会保護戦略案”などである。社会保護の仕組みが具体的な変化をもたらすことは実証されている。南アジアでもっともよく知られている現金振替の仕組みのひとつ、バングラデシュ女子中等教育援助プログラムでは1994年の導入以来、中等学校への就学率が増加し、女子学生が学校にとどまる率が倍になった。
高齢者や障害者のための国民年金制度、失業者への条件付き支援、児童手当によるすべての子どものための基本的な所得保障などの点で、全ての市民を支援できる国際的な最低所得あるいは社会基盤を求めて、国際レベル、市民社会、多くの国連機関が提言を行なっている。基本的なヘルス・ケアの提供や包括的な初等教育もまた、このような社会基盤の構成要素である。
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