メニューをスキップ
財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

バングラデシュ、肺炎と髄膜炎から子どもを守る新ワクチンを導入
死に至る5つの疾病を予防する新型ワクチンを年間400万人の子どもに接種

【2009年1月15日 バングラデシュ/クルナ発】

バングラデシュは今日(15日)、1 回の接種で、死に至る5つの疾病から子どもを守ることができる新型ワクチンを導入する。重度の肺炎や髄膜炎を引き起こすインフルエンザ菌b型(Hib)のワクチンもこれに初めて含まれている。首都ダッカの南西にあるクルナ管区での式典において、保健・家庭福祉省のA.F.M.ルフール・ハッケ大臣が保健省の官僚や国連諸機関、開発協力機関・団体の代表の列席のもと、バングラデシュの子どもたちにこのワクチンを初めて投与することになっている。

Hibは、重度の肺炎と髄膜炎を子どもに引き起こす原因のひとつである。世界全体で毎年数百万人が罹患して重症化し、40万人が死亡すると推定されており、その大多数が5歳未満の子どもである。治療を受けていても、毎年多くの子どもが死亡する。回復できた子どもも、しばしば生涯にわたり麻痺や聴覚障害、脳障害を負うことがある。ワクチンは、世界の子どもの主な死亡原因であるこの細菌性肺炎の約3分の1を予防する。バングラデシュでは、5歳未満児の死亡の24%がこの肺炎によるものと推定されている。

このワクチンは、バングラデシュでは年間約400万人の新生児を対象に定期接種される予定である。バングラデシュは定期的な予防接種が広く普及しているため、Hibワクチンの接種により年間2万人の子どもの命を救うことができると推定される。

保健・家庭福祉省のA.M.M.ナシール・ウディン秘書官は式典で次のように述べた。「この救命ワクチンは、バングラデシュにおける子どもの病気予防にとって大きな前進である。5歳未満児の死亡を減らすというミレニアム開発目標の4をわが国が達成することに、大きく貢献するだろう。」

ジョン・ホプキンス大学Hibイニシアティブ部長ラナ・ハッジェ博士は次のようにコメントした。「Hibワクチンは18年以上にわたり多くの先進国と開発途上国で使われ、安全で効果が高く、対費用効率も良い対策のひとつとなっている。定期的な接種が実施されている所では、ほとんどHibによる疾病はないといってよい。このワクチンが他の国で多くの子どもを救ったように、バングラデシュでも大きな果を発揮するだろう。」南アジア地域では、スリランカとパキスタンが2008年にこのワクチンを導入した。

新ワクチン(5-in-1)はHibやその他4種の死に至る病気(ジフテリア、破傷風、髄膜炎、B型肝炎)から子どもたちを守ることができる。相異なる3種の予防接種(三種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン、Hibワクチン)を受ける代わりに、子どもたちは生後1年間に3回(生後6週目、10週目、14週目)、新ワクチンの接種を受ける。これは、ヘルス・ワーカーが子どもの予防接種に費やす時間と物資調達の手間を減らすことにもなる。また子どもに5種のワクチン接種が同時にできるため、接種を受ける人が増えると予想される。

ユニセフ・バングラデシュ事務所のI.J.ウハー副代表はこう述べた。「我々はWHOとともに、ワクチン調達と6万人の保健員研修を支援することで新たなイニシアティブの一翼を担えることを誇りに思う。」

バングラデシュでの新ワクチンの導入は、GAVI同盟(ワクチンと予防接種のための世界同盟)、ユニセフ、WHO、Hibイニシアティブなど主なパートナー団体・機関から資金面および技術面での支援を受けて実施される。GAVI同盟は、2009〜2010年に2700万ドース以上のワクチン購入のため9500万米ドルの資金を投入することにしている。バングラデシュ政府もワクチンの共同購入にあたり、同時期に560万米ドルを支出する。

GAVI同盟のジュリアン・ロブレビット事務局長は、「この地域ではワクチンと保健・予防接種制度の改善が急務だ。バングラデシュが子どもの疾病予防に重要な一歩を踏み出したことを賞賛する」と述べた。

新型のHibワクチンの導入はHibによる病気の負担を大きく減らすことになる。同時に1回の接種で5種の抗原が含まれるワクチンを利用することで、定期的な予防接種の普及を促し、ワクチンにより予防可能な他の疾病の罹患率と死亡率を減少させる。」WHOバングラデシュ事務所のスンコボル代表はこう述べた。高い貧困率と低い識字率、保健ケア利用率の低さなどが原因で、人口1億5500万人を抱えるこの国では、病気の子どもたちの多くが、病院に行くこともできずしばしば家で死亡する。死亡率の高い病気から子どもを守るこのようなワクチンが、すぐにも必要とされている。

ダッカ子ども病院の微生物専門家サミール・サーハ博士は次のように述べた。「バングラデシュのHib関連の疾病はきわめて憂慮すべき状況にある。耐性菌が増え、治療にあたっては医師も高価な薬品を使わねばならないが、ほとんどの病院ではまだたやすく入手できない。この新型ワクチンは不必要な苦痛、障害の原因となる病気、死亡を予防できる。」サーハ博士が共同執筆した患者対照研究のなかで、Hibワクチンを定期的に乳幼児に接種すると、バングラデシュで発生する重度の肺炎の3分の1とおそらくは細菌性髄膜炎の80%以上予防することができるとしている。

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る