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妊産婦乳幼児死亡に関する世界フォーラム閉幕
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© UNICEF/NYHQ2011-1165/Holt |
母親に手を握られながら眠る赤ちゃん(セルビア)。 |
6月30日と7月1日の2日間、ヨハネスブルグで妊産婦と乳幼児死亡予防に関する世界フォーラムが開催されました。閉幕にあたり、ユニセフは、各国政府や官民部門の各組織が行った約束は、年間数百万人もの新生児が死亡している現状を変える力になると述べました。
ユニセフによると、生後1カ月以内に死亡する新生児は年間290万人。このうち、100万人は生後1日以内に死亡しており、誕生後の最初の24時間が、新生児にとって最も危険な時間帯と言えます。世界的には、5歳未満児の死亡数は1990年の年間1,200万人から、2012年には660万人と減少しています。しかし、新生児の死亡数には同様の削減が見られず、子どもの死亡における新生児死亡の割合は、1990年当時の33%から、2012年には44%へと増加しています。
南アフリカ共和国の元ファーストレディーで、女性と子どものための活動家であるグラサ・マシェル氏が、今回のフォーラムで発表した「すべての新生児のための行動計画(The Every Newborn Action Plan)」は、世界的な子どもの生存の課題として新生児死亡を取り上げることを目指しています。
ユニセフの保健部門の部長であるミッキー・チョプラは「新生児死亡の削減に、進展が見込めると期待しています。すでに、進展をおさめた国々はあります。たとえば、ルワンダでは、この10年で、サハラ以南のアフリカで最も早いスピードで、子どもの死亡率を削減しました。同じ方法を用いれば、2035年までに、カメルーンとアメリカで、出産後の子どもが生存できる可能性は、ほぼ同じになるでしょう」と述べました。
ユニセフとWHO(世界保健機関)が策定した「すべての新生児のための行動計画」では、予防可能な新生児の死亡をなくすための方法が、具体的な計画行程表と共に示されています。計画行程表は、保健部門の戦略を強化する革新的な方法を促し、質の保たれたケアや出生時また死亡時の計測の基準なども記されています。また、保健ケアすら受けることができていない人たちへのサービス提供方法や、報告義務のガイドラインも示しています。
ユニセフは、本行動計画で促進されている手法で、現在起きている新生児死亡の70%以上を防げるとしています。重要なのは、政治的な関与を得ることであり、今回の発表とフォーラムの成果として求められていることです。
この数週間で、政府や市民社会団体、民間企業は、新生児プログラムへの支援を約束してきました。アメリカ政府やカナダ政府、イスラム開発銀行、ジョンソン&ジョンソン、GSMA、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などは、新生児保健のために、約5億米ドルの支援を表明しました。
© UNICEF/NYHQ2012-2146/LeMoyne |
ユニセフが支援する病院で眠る赤ちゃんと母親(ギニア・ビザウ)。 |
ユニセフ・妊産婦新生児保健シニア・アドバイザーのキム・エバ・ディクソンは「現場レベルで新生児の生存を助けるためにも、実証されたシンプルな段階を踏んでいけるように、各国政府は取り組みをリードしなければなりません。そうすれば、最も支援を受けにくいコミュニティに暮らすすべての母親と新生児が、新生児の生存に必要な質の保たれたケアを受けられるのです」と述べました。
政府が、最も幼い子どもたちの存在や状況を正しく把握することも、新生児死亡の削減の取り組みには欠かせません。新生児死亡290万人に加え、死産の子どもは260万人に上ります。こうした子どもたちの多くは、国の統計に含まれていません。誕生したことも死亡したことも、公的に記録されなければ、死亡した子どもたちの存在は明らかにならず、子どもたちの死亡原因にも関心が払われないのです。
チョプラ部長は「今年は、子どもの権利条約採択から、25周年にあたります。これだけの年月が経ったにも 関わらず、最も幼い子どもたちが、生きるという最も基本的な権利を享受するのに、やるべきことは山積しています。今回の行動計画が、1世代のうちに、予防可能な新生児死亡を終わらせるためへの弛まぬ契機となることを願っています」と続けました。
■参考情報:新生児死亡に関するファクトと統計
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