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報告会レポートアン・ベネマン ユニセフ事務局長、麹町小学校・幼稚園とユニセフハウスを訪問2006年4月9日(日)〜12日(水)の4日間、ユニセフのアン・ベネマン事務局長が外務省の公賓として初めて日本を訪れました。日本滞在の最終日となった12日には、東京・千代田区の麹町小学校と幼稚園を訪問。その後、港区高輪の日本ユニセフ協会に立ち寄られました。 ■麹町小学校訪問 12日午前、来日中のアン・ベネマン ユニセフ事務局長が東京・千代田区立麹町小学校と幼稚園を訪問しました。小学校に併設されている麹町幼稚園の園児たち約60名から、元気いっぱいの挨拶と歌で迎えられたベネマン事務局長は、小学校の体育館で行なわれた歓迎集会に参加。集会では、児童代表による歓迎の言葉のあと、全校生徒による校歌と同校の卒業生である滝廉太郎作曲の「箱根八里」の大合唱が披露されました。つづいて事務局長から、世界の子どもたちやユニセフの活動についての話や、麹町小学校が行なってきたユニセフ募金への協力に対して感謝の言葉が述べられました。歓迎集会に集まった小学2年生から6年生までの約300名の児童たちは、ベネマン事務局長の話に熱心に耳を傾け、その後の質問タイムでは積極的に質問しました。 その後、ベネマン事務局長は小学1年生と幼稚園のクラスを見学。1年生のあるクラスでは、お箸の持ち方の授業が行なわれており、一生懸命学ぶ子どもたちの様子を見ながら、時おり話しかけるなどして、子どもたちと交流しました。 【ベネマン事務局長の話】 始業式を迎えて1週間が過ぎたと聞いています。学校が始まってうれしいですか? なぜこんな質問をしたかというと、世界には学校に行きたくても行けない、みんなと同じくらいの歳の子どもたちが約1億2千万人もいるからです。これは、日本の人口とほぼ同じ数です。学校がなかったり、貧しくて学校へ行くお金がないなど、いろいろな問題で子どもたちは学校へ通うことができません。 ユニセフは、世界の子どもたちが学校に行って教育を受けられるように、明るい未来をもてるように活動しています。また、みなさんよりもっと小さい子どもたちには、予防接種などを行って命を守る活動をしています。 朝、目が覚めても食べるものがあるかも水もあるかもわからない厳しい状況で生活をしている子どもたちがたくさんいます。麹町小学校では、毎年秋にユニセフ募金を行ってくれていますね。そうした募金は、アフリカや厳しい状況で暮らす子どもたちの未来をつくる手助けとなっています。ユニセフを代表して、また私自身からも感謝の気持ちを申し上げます。 【子どもたちからの質問】 Q1. ユニセフ募金はいつ、なぜ始まったのですか? ユニセフは今年で60周年を迎えます。第二次世界大戦後、食べ物もなく困窮している子どもたちを助けるためにできました。最初は粉ミルクを配るのが仕事でした。日本でもみんなのおじいさんやおばあさんの中には、粉ミルクで育ってきた人たちがたくさんいます。 今では、日本はユニセフを助けてくれています。みなさんの募金が支えてくれています。ありがとうございます。 Q2. 日本以外にどこに訪れましたか? たくさんの国に行きました。ユニセフに就任してから1年が経ちますが、1年間で25カ国を訪れました。 Q3. どこでどのような活動をしていますか? 津波や地震などの災害で被害を受けた国や、紛争下で厳しい生活をしている子どもたちに対して、学校を再建したり、コミュニティを支援しています。津波の被害にあった国では、学校もすべてなくなってしまいました。学校を再建し、学校に必要な教材などを送り支援活動を行っています。 Q4. 一番助けるのが難しかった国はどこですか? それはなぜですか? これは難しい質問です。ユニセフはたくさんの国を支援しています。貧しくて食べ物や水もない、お医者さんもいない国々です。コンゴ民主共和国や南アフリカ、スワジランドなどは、たくさんの支援を必要としていますし、やらなければならないことがたくさんあります。 アフリカの病院では、マラリアにかかった子どもに出会いました。また食べるものがなく、慢性的に栄養不良になっている子どもにもたくさん出会いました。パキスタン地震の被災地では、多くの子どもが傷つき、亡くなり、親を失っています。そのような状況の中で、ユニセフは、学校をつくり、子どもたちが学校に戻れるようにすることで日々の生活に戻れるようにサポートをしています。 ここで1つみなさんにお伝えしたいことがあります。それは、みなさんがとても幸運だということです。毎日食べるものがあり、学校にも来られる、こうした環境はすべての子どもたちにあるのではなく、とても幸運なことなのです。 Q5. どうしてユニセフの仕事を選んだのですが? ユニセフの仕事に就く前から、多くの子どもが苦しんでいる姿を見てきました。ユニセフの仕事にもずっと関心を持っていました。子どもの未来を救える仕事に携われていることに誇りを持っています。 Q6. 津波の国は今どのような状況ですか? 多くの子どもが学校に戻り、元気にがんばっています。先日、津波の被害にあったインドを訪れましたが、インドの子どもたちは、津波のことを思い出したくない、思い出すと苦しくなってしまいますが、この心の傷を乗り越えようとがんばっています。 「話をきいて、ぼくたちにできることは募金だけではないと思いました。これからも、いろいろなユニセフ活動に取り組んでいきたいと思います」子どもたち代表からのメッセージで、麹町小学校での楽しい交流のひとときが終了しました。 ■ユニセフハウス訪問 麹町小学校での子どもたちとの交流後、ベネマン事務局長は日本ユニセフ協会を訪問しました。ユニセフハウスでは、1階と2階の展示コーナーやユニセフ・カード&ギフトの店内を見学。修学旅行の一環としてユニセフハウスを訪れていた岩手県、秋田県、北海道の中学生たちに声を掛け、また日頃からボランティアで展示コーナーの説明を行っているボランティアやそのほかの支援者の方々に感謝の言葉を述べられました。「日本の皆さんからのご支援は、ユニセフにとって、そして世界の子どもたちにとってとても大きな支えになっています。これからもユニセフのパートナーとして、末永いご支援をお願いいたします」 この後、4月16日からアフリカのレソト訪問予定のアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使とも歓談。ユニセフの活動へのさらなる理解と支援をお願いして、ユニセフハウスを後にしました。 写真:(C)日本ユニセフ協会 |