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ハリウッド映画から考える、途上国の子どもたちへの支援のあり方【2012年8月6日東京 東京発】 スーダン南部で紛争に巻き込まれた子どもたちを守る実在の米国人男性の物語を基に制作された映画『マシンガン・プリーチャー』。今年2月に日本国内で公開された本作品のDVDとブルーレイディスクの発売に合わせ、8月3日(金)、ユニセフハウスで、本作品の特別試写会とトークショーが開催されました。
「この映画の舞台となったアフリカは、喜び、悲しみ、怒りといった人間の色んなものが詰まっている場所だと思います。僕自身、40年来アフリカと付き合い、のべ100回以上アフリカ各地を訪れ続けているのは、アフリカには、そういった人間の本質全てが映し出されていると思っているからです」。 ブルーレイ上映後、特別試写会に参加された100名を超える方々に、こう語ったのは、海外青年協力隊第1陣の一人として初めてアフリカに関わりを持って以来、アフリカ各地の、特に内戦や政情が不安定な地域を中心に積極的に取材活動を続けているフリージャーナリストの大津司郎氏。この映画の舞台となったウガンダ北部やスーダン南部にも、何度も足を運んでいる大津さんは、「最近、自分が過去に撮ってきた映像をアフリカ出身の留学生に見せると、非難を受けることがあります。曰く“今のアフリカは、経済成長しているし、もっと明るい状況だからいつまでもこんなネガティブな状況を見せないでほしい”と言うのです」「彼らが言っていることも、確かに今のアフリカの一面です。ですが、この映画のような状況も、残念ながらまだあるわけです」 と話しました。 他人の問題をどう捉えるのか?
「アフリカの内戦等を描いてきたハリウッド・ムービーは、これまでにも沢山ありました。でも、この映画は、そうした映画と較べて、人間の内面を深く描いていて素晴らしいと思いました」「この映画は、2つ大事なことを提起していると思います。ひとつは、“人間の問題解決力”。そして、もうひとつは、“他者への関心”です。アフリカの問題だけではなく、現在のいじめ問題などにも共通することが、この映画の中で訴えられていました」「この映画の中でも描かれていましたが、アフリカは“遠いところ”として片付けられてしまう傾向があります。こういった映画を見るなどの機会を通じて、みなさんにも、いつもと違った視点から、アフリカをもう一度見つめていただければと思います」(大津氏) 紛争下の子どもたち2011年6月現在、150万人以上(うち半数は子ども)が、民族抗争のため移住を余儀なくされました。紛争の影響を受ける地域では、何百万人もの子どもたちが学校に通えず、また、子どもたちに対する大規模な性的暴力などの暴行が蔓延している地域もあります。はしかやコレラの流行も、何百万人という子どもたちの命を脅かしています。ユニセフが今活動している国や地域の数は約150。そのうち、約30の国と地域に住む子どもたちは、日常的に、この映画に描かれているような状況の中での生活を余儀なくされています。 しかしながら、国際社会の関心が政治や経済の話題に向けられる傾向がある中、そうした状況に置かれている子どもたちの様子は、日常のニュースの中では、なかなか取り上げられることはありません。 ユニセフは、今年初め、2012年版の『人道支援報告書』を発表した際、次のように訴えています。「我々は2011年の危機対応において、多くの成果を成し遂げてきました。しかし、何百万人もの子どもたちやその家族の、緊急の、そして長期にわたる支援のニーズは2012年も続くのです。」「彼らは未来の世代を代表する存在であるだけでなく、最も弱い立場に置かれた、ドナー社会からの寛大で継続的な支援に値する人々なのです」 |