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公益財団法人日本ユニセフ協会
 

エボラ出血熱緊急募金 第13報
シエラレオネ:
命の危険を冒しても、治療を
エボラ出血熱とたたかう医療関係者たち

【2014年8月6日 ケネマ(シエラレオネ)発】

シエラレオネ東部州のケネマ地区病院のエボラ・ユニットで任務にあたっている保健員。
© UNICEF Sierra Leone/2014/Dunlop
東部州のケネマ地区病院のエボラ・ユニットで任務にあたっている保健員。

シエラレオネでエボラ出血熱の感染が確認されて以降、東部州のケネマ地区病院のエボラ・ユニットは、“グラウンド・ゼロ(中心地)”と呼ばれています。

現在、病院にはエボラ出血熱の患者45名が入院しています。すでに満員の病院では、さらに多くのベッドが運び込まれることになりそうです。医療関係者の一人は「エボラの兆候があってここにやってきた人を、他の場所へ行かせることはできません。必要があれば、さらにベッドを増やします」と語りました。

先週、同病院では、10名以上が死亡し、毎日新たな感染者約5名が入院しています。

エボラ出血熱は、感染者の体液への直接的な接触か、ウイルスに汚染された環境下での間接的な接触によって広まります。治療法も予防用のワクチンもありません。しかし、早期の診断と医療ケアによって、生存率が高まります。

3月にケネマ地区で初めての感染が確認されて以降、病院のスタッフ6名が死亡しました。先週、治療センターの看護チーム長だったシスター・マブル・フォニーが、2週間前の感染が原因で死亡しました。シスター・フォニーは、良き師であり、リーダーであり、多くの友人がいました。

倒れる同僚たち

シエラレオネ東部州のケネマ地区病院のエボラ・ユニットで、同僚と会話をするシスター・ナンシー。
© UNICEF/NYHQ2014-1062/Dunlop
東部州のケネマ地区病院のエボラ・ユニットで、同僚と会話をするシスター・ナンシー。

金網と白いビニールシートに覆われた治療センターの中には、エボラ出血熱と闘う英雄−命の危険を冒して治療にあたっている医療関係者たちがいます。

シスター・ナンシー・ヨコは、シスター・フォニーの話を始めると、感情がこみ上げてきました。「シスター・フォニーがいたからこそ、私は毎日治療センターに来ていました。彼女が私たちを動かしていたのです。私たち全員、彼女がいないことをさみしく思っています。しかし、彼女のためにも、そしてエボラに倒れたほかの同僚たちのためにも、治療センターに来て、職務にあたらねばなりません」

「シスター・ナンシーは、多くのことを教えてくれました。病床にあっても、どのように対処すべきかを伝え、私たちを助けることを決してやめませんでした」

7月29日には、ケネマでのエボラ対策の陣頭指揮を執っていたウイルス学者のシェイク・ウマル・カーン医師が、エボラ出血熱で死亡しました。

高まる危険性

医療関係者への感染、また感染リスクにさらされたくない看護師が多数離脱したことで、エボラ出血熱の治療にあたるスタッフ数は、絶対的に不足しています。「3カ月前にエボラ熱対応が始まってから、丸1日休んだことはありません」と語るシスター・ナンシー。他の多くの同僚と同じく、1日12時間勤務をこなしています。

このような環境下では、最前線で治療に当たる人たちが感染する確率はいっそう高まります。患者と直接接する医療関係者は、適切に防護服を着用すれば、効果的にウイルスを遮断できます。しかし、着心地の良くない防護服に加え、防護グローブやマスク、ブーツを着用すると、熱帯気候のシエラレオネでは猛烈な暑さとなります。このような状況で、長時間の治療やケアに当たれば、医療関係者の疲労は蓄積し、緊張感が失われ、失敗をしやすくなります。ウイルスに感染するリスクが高まるのです。

犠牲になることへの訓練

シエラレオネの町で社会啓発チームがエボラの情報を住民に伝える様子。
© UNICEF NYHQ/2014/Davies
シエラレオネの町を歩き、社会啓発チームがエボラの情報を住民に伝える様子。

果敢な取り組みとゆるぎない信念で職務にあたっているにもかかわらず、シエラレオネで最初の感染が確認されて以降、エボラ出血熱の対応にあたる看護師たちは、社会からの汚名と恐怖を被っています。シスター・ナンシーは「私たちは、“エボラ看護師”として知られています。だれも、私たちに近寄りたがりません。一般病棟の看護師も、私たちと話そうとせず、家族ですら、私たちからウイルスが感染することを恐れています」と語ります。

しかし、シスター・ナンシーは毎日治療センターにやって来ます。「恐れてはいません。私は看護師です。看護師として仕事をするのみです。いつか犠牲となるための訓練を受けているかのようです」と述べました。

こうした状況の改善に取り組む一方で、ユニセフはシエラレオネ保健衛生省やWHO(世界保健機関)、その他のパートナー団体とともに、医療対応とエボラ出血熱の感染拡大を食い止めるための予防策の社会啓発に努めています。

シエラレオネでは、これまでに計591名の感染が確認され、214名が死亡、161名がエボラ熱から回復し、治療センターを退院しています。

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