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公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ緊急募金 第5報
ソマリア:
孤立した地域に緊急支援物資を空輸
はしかに感染する子どもが増加

【2014年9月15日 ソマリア・フドゥル発】

ユニセフはアクセスできず、孤立していたソマリアの地域に支援物資の空輸を実施。何千人もの子どもたちに栄養不良の子どものための治療食や医薬品、ワクチン、学校用備品などを届けました。

* * *

ソマリア南西部・バコール州のフドゥルにある母子保健診療所にたどり着いたハビバ・アハメド・モハメドさん。 焼けるような日差しから病気の子どもを守りながら、自宅から7キロ以上の道のりを歩いてきました。

生後7カ月のスリーガ・モハメドちゃんの顔は青ざめて呼吸が荒く、顔中に発疹が広がっていました。

「娘は病気にかかっています。でも、どこが悪いのか分かりません」と、長い旅路の疲れが残るハビヤさんが静かに語り始めました。「10日間高熱が引かず、下痢が続きました。そして、体中に発疹が広がりました」 診療所の職員、アブドゥラヒ・アブドルさんによる診察の結果、スリーガちゃんははしかに感染している疑いがあることが分かりました。今年ソマリアで、約7,000人の子どもたちがはしかに感染しています。

残された唯一の方法

今年3月までの約1年間、フドゥルは武装勢力の支配下にあり、この診療所は閉鎖されていました。依然として不安定な情勢が続く中、人道支援が行き届いていない孤立した地域で生活する家族に命を救う支援物資を届けるため、ユニセフなどの国連機関は支援活動に尽力しています。

ユニセフの支援物資がチャーター便でソマリアの首都・モガディシオの国際空港へ到着。
©  UNICEF Somalia/2014/Makundi
ユニセフの支援物資がチャーター便でソマリアの首都・モガディシオの国際空港へ到着。

多くの町につながる道路の封鎖が続く中、新たに立ち入りが可能になった地域に必要な物資を届ける唯一の方法が、空輸です。

共同人道基金(Common Humanitarian Fund)の資金援助で、国連機関は首都・モガディシオからバイドアやフドゥル、ワジドなどの町へ、週に数便のフライトを利用できるようになりました。ユニセフはこの機会を最大限に活用し、24回のフライトで100トン以上の栄養、保健、教育の緊急支援物資を空輸。届けられた物資の中には、ポリオやはしかの感染を防ぐためのワクチンや栄養不良の子どもたちのための高エネルギーのピーナッツペースト状の栄養治療食や医薬品、ノートや鉛筆などが含まれています。

ポリオやはしかのワクチンや医療キットなどの支援物資が届いたことで、フドゥルの診療所は診察を再開。過去6カ月で、この町の人口は倍以上になっています。

「現状では、不安定な情勢やワクチンの温度を一定に保つ必要性などを考慮すると、最も必要とされている支援物資を届けるためには空路が最善の方法です」と、ユニセフ物流・調達専門官のジョルジオ・フィガスが語ります。

フドゥルの砂ぼこりが舞い上がる滑走路で、ワクチンや栄養治療食がトラックに積み込まれています。これらの支援物資は、ワクチンの貯蔵庫を完備した、現地のパートナー団体によって運営されている診療所に運び込まれました。

「ワクチンが届き、再び子どもたちに予防接種を行えます。戸別訪問をして、子どもたちを診療所に連れてくるように呼びかけるキャンペーンを実施する予定です。ピーナッツペースト状の治療食も提供できるようになったので、栄養不良の検査を受けにくるよう、母親に呼びかけます」(診療所の職員・アブドルさん)

命を守る支援物資

緊急支援物資が診療所に運び込まれた頃、ハビバさんが赤ちゃんを抱いて診療所に到着しました。

「幸運なことにスリーガちゃんの身体にある免疫が働き、命を失うことはありませんでした。しかし、免疫力が衰えている場合、はしかで命を落としたり、耳が聞こえなくなったり、失明したりする場合があります」(アブドルさん)

生後9カ月の息子ハミザ・フセインくんを連れて、母親のエイデン・モハメッドさんが診察の列に並んでいます。家族で初めてとなるはしかの予防接種を受けさせるためです。

「戦闘が起こっていた時は、あまりの恐怖で外出できませんでした」と、誰かに聞かれていないかと心配し、周りを確認しながらエイデンさんが語りました。「4人の子どもがはしかに感染してしまいました。保健サービスが停止していたので、予防接種を受けさせることができなかったのです」

ユニセフは今年、はしかのような病気から子どもたちを守るため、新しくアクセスが可能になった地域に陸路や空路で8万7,000のワクチンを提供しました。これはユニセフが今年実施したソマリア全土で100万以上のワクチンを届ける、大規模な予防接種プログラムの一環として実施されました。

「はしかは、特に5歳未満の子どもたちの主な死因のひとつです」と、ユニセフ・ソマリア事務所 保健担当官のアブディノル・フセインが語りました。

「ソマリアは治安面で困難な問題を抱えており、多くのコミュニティが保健サービスを受けることができませんでした。しかし、ユニセフはどのような地域であろうと、子どもたちに支援を届けるために尽力してきました」(フセイン保健担当官)

共同人道基金の資金提供で可能になったフライトで、ユニセフは2,000人以上の急性栄養不良の子どもたちを治療し、1万人の子どもたちにスクールキットを提供しました。

「治安はよくなってきており、もっと多くの地域へ支援を届けるための道を開くことになることを望んでいます」と、フドゥル地区委員のモハメッド・モアレム・ミシャーさんが語りました。「子どもたちは治療を受け、母親はケアを受けられるようになっており、目に見えた改善が表れています。しかし、依然として多くの母親や子どもたちが緊急の支援を必要としています」

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