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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第36報
エボラ出血熱・シエラレオネ
エボラ回復者の経験を生かすために
自身と子どものケアのための会議を実施

【2014年10月15日 ジュネーブ/ケネマ(シエラレオネ)発】

エボラ治療センターから退院し、エボラから回復したという証明書を見せる女性。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014/Dunlop
エボラ治療センターから退院し、エボラから回復したという証明書を見せる女性。

シエラレオネのエボラ最大の感染地のひとつ、ケネマ。同地では今週、エボラから回復した35名が会議に参加し、自身の感染経験の共有や精神面への影響への対処法の学習、感染した地域の人々への支援について話し合っています。

エボラ回復者の経験を生かす

この会議はユニセフや米国疾病予防センター(CDC)、そのほかのパートナーの支援を受け、シエラレオネ社会福祉・ジェンダー・子ども省が実施。今回の会議は、今後数カ月内に計画されている同様の一連の会議の初回にあたります。会議にはエボラへの対応のために、致死率の高いエボラから回復し、エボラに対する免疫を得た人たちが参加します。

エボラの感染が疑われる人たちが身を寄せるセンターで、抱かれて眠る1歳の赤ちゃん。エボラの症状は出ていないものの、両親をエボラで失い、面倒をみることができる親せきを探している。(シエラレオネ)
© UNICEF/NYHQ2014-1823/Bindra
エボラの感染が疑われる人たちが身を寄せるセンターで、抱かれて眠る1歳の赤ちゃん。エボラの症状は出ていないものの、両親をエボラで失い、面倒をみることができる親せきを探している。

ホン・アルハジ・モイジュエ・カイカイ社会福祉・ジェンダー・子ども大臣は「シエラレオネは、建国史上最大の危機のひとつに直面しています。エボラと闘うには、国民ひとりひとりの協力が必要です。現在エボラで闘病している人にとって、回復した人たちは希望であり、家族や地域は回復した人たちをあたたかく迎えなくてはなりません。エボラとの闘いに協力してくださるすべてのパートナーに、言葉ではなく、行動を求めます」と述べました。

ケネマでの会議に参加した回復者たちは、エボラ感染によるトラウマや社会からの汚名への対処法を専門家から学ぶ予定です。また、保健の専門家がコミュニティや治療センターで隔離されている人たちへのケアにあたり、保健スタッフやコミュニティの人々を支援する上で必要な知識を提供します。

ユニセフ・シエラレオネ事務所代表のローランド・モナーシュは「エボラ対応にあたる両親や保健スタッフ、我々の多くが直面している大きな問題は、エボラに感染している、またはエボラの影響を受けている子どもたちの世話をする人たちを感染リスクにさらすことなく、いかに子どもたちの面倒を見るかということです。こうした問題に取り組むひとつの斬新な方法として、エボラから回復し、免疫を得た人たちが子どもたちのケアにあたることを考えています。そうすれば、こうした子どもたちが必要としている愛情やケア、関心を与えることができると考えています」と述べました。

差別や偏見との闘い

エボラから回復し、治療センターで最後の体温検査を受ける9歳と6歳の兄弟。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014
エボラから回復し、治療センターで最後の体温検査を受ける9歳と6歳の兄弟。

エボラへの恐怖に満ちた空気の中、エボラから回復した人はコミュニティから疎外されることが多くあります。ユニセフが1,400世帯を対象に最近行った調査で、エボラから回復した人はコミュニティからの高いレベルの汚名、恥、差別を受けており、生活再建に支障をきたしていることがわかりました。特に、子どもたち自身または親が治療のために隔離されると、子どもたちは極めて厳しい状況におかれることも明らかになりました。

調査では、96%の世帯が、エボラの感染の疑いがある人や感染が確認された人に対する、何らかの差別的な態度があったと報告しており、76%の世帯が、エボラに感染した人がたとえ回復したとしても、コミュニティに戻ってくるのを歓迎しないことが明らかになりました。

会議では、エボラ感染が確認されたコミュニティ用に、新しい心のケアのトレーニングマニュアルが発表される予定です。また、エボラから回復した人は、メンタルヘルスや心のケア専門家のケアを受ける機会もあります。

ユニセフは、今後半年内に国内で実施される同様の会議で、エボラから回復した人に研修を行う計画です。WHO(世界保健期間)は、シエラレオネでエボラ感染が確認されて以降、成人650人以上が回復したと推計しています。

参考情報

エボラに感染した恐れのある人を車に乗せるスタッフ。周りには、感染を恐れて遠くから見守る人々も。
© UNICEF/NYHQ2014-1836/Bindra
エボラに感染した恐れのある人を車に乗せるスタッフ。周りには、感染を恐れて遠くから見守る人々も。

日本政府、ユニセフを通じた西アフリカにおけるエボラ出血熱緊急対応に対し、6百万ドルの緊急支援を決定(2014年10月3日付)

日本政府は、西アフリカでのエボラ出血熱の大流行に伴い、ユニセフを通じて予防教育、水と衛生、栄養、子どもの保護、保健等分野での緊急対応に対し、600万ドル(約6億5,600万円)の緊急無償資金協力を実施することを決定しました。

ユニセフでは、コミュニティに根ざしたエボラ出血熱の感染予防とケアを強化するための支援や医療施設への物資の提供等を実施してきました。今回の日本政府の支援により、ギニア(150万ドル)、リベリア(200万ドル)、シエラレオネ(200万ドル)、西・中央アフリカ地域事務所(50万ドル)にて、エボラ出血熱に対する予防知識の普及や安全な飲料水の供給、子どもの栄養状態の改善、コミュニティにおける保健サービス向上のための活動等を実施します。

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