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エボラ出血熱緊急募金 第42報
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© UNICEF Sierra Leone/2014/James |
近くの保健施設が閉鎖され、赤ちゃんに予防接種を受けさせるため、予防接種所に並ぶ母親たち。 |
シエラレオネでは、ほとんどの人たちがエボラ患者の保護や治療を行う病院や保健センターに近寄らないようになりました。命に関わる病気から身を守るためだと考えれば、無理もありません。しかし、このような住民の間で広がる恐怖が、保健医療に大きな影響を及ぼしています。なかでも最も顕著に影響が現れているのが、予防接種です。
今年8月まで、5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳、インフルエンザ菌、B型肝炎)接種率が90%を上回っていたシエラレオネ。しかし、エボラの感染が確認されてから、予防接種率は急激に低下しています。
「予防接種率の低下が危惧されています。過去数年間の支援による成果を後退させる事態に陥っているのです。今や子どもたちはエボラの感染の危険にさらされるだけでなく、はしかやロタウイルス、黄熱病などの感染症に感染する危険もあります。ポリオ再発の可能性も潜んでいます」と、ユニセフ・シエラレオネ事務所の子どもの生存と発達部長のヤロン・ウォールマンが語ります。
シエラレオネで初のエボラによる死亡者が確認されたのは5月26日。この前後にあたる3月〜5月と6月〜8月の予防接種率を比較すると、ほとんどすべての地域で予防接種率の低下がみられます。予防接種率が上昇したのは、10月までエボラの症例が確認されなかったコイナドゥグ地区だけです。
1月には99%だったはしかの予防接種率も、7月には76%にまで減少しています。
子どもに予防接種を受けさせようとする親たちも、いつもとは異なる場所に足を運んでいます。フリータウンにある政府中央医療倉庫の隣にある小さな予防接種所では、赤ちゃんに予防接種を受けさせるため、5人の母親が焼け付くような太陽の下で順番を待っていました。音楽店から大音量で流れるエボラに関するメッセージや犬の鳴き声とともに、赤ちゃんの泣き声も響きます。
この予防接種所に行列ができることは、滅多にありませんでした。しかし、この付近にあるキンガーマン・ロード病院やジョージ・ブルーク・コミュニティ保健センターは、保健員がエボラに感染したため閉鎖されたのです。
「エボラの感染が始まった5月から、母親たちは感染を恐れて病院に行かないようにしています」と、この予防接種所で働く看護師が語ります。看護師は、エボラに感染するのではと心配だと語る一方、ビニールのエプロンと手袋を着用するのみで、防護用のマスクを着用していなかったといいます。
「患者ごとに、新しい手袋に替えて治療を行うように心がけています。しかし、仕事の負担が大きく、注意を怠りやすくなってしまいます」と看護師は語ります。
© UNICEF Sierra Leone/2014/James |
フリータウンの政府中央医療倉庫の隣にある予防接種所でBCGとポリオの予防接種を受ける赤ちゃん。 |
WHO(世界保健機関)が作成したエボラ感染地域における予防接種に関するガイドラインは、エボラの感染を広める恐れがあるため、予防接種キャンペーンの実施を控えるように呼びかけています。また、診療所や保健センターでは、防護用手袋を着用し、使いまわしはせずに患者ごとに新しいものを使用することや、厳重に手指の衛生を保つことを訴えています。
これを受け、シエラレオネでは大規模な予防接種キャンペーンが延期されています。ユニセフは今後数カ月以内に、予防接種を行う医療関係者のための基本的な保護キットを提供するため、準備を進めています。
中央医療倉庫にあるセンターでは新生児への予防接種が続けられており、体重測定やポリオワクチンや結核を予防するためのBCGワクチンの投与も行われています。しかしエボラの感染が確認されてから、体温測定は行われていません。「今まで使っていた体温計は、エボラの感染が広がるなかで使うことはできません。でも、ここには患者に直接触れる必要のない赤外線放射温度計はないのです」と、看護師が語ります。
ユニセフは、世界銀行や英国国際開発省(DFID)、ヨーロッパ人道援助事務局(ECHO)の支援を受け、シエラレオネに支援物資の提供を続けています。10月10日には、感染予防コントロールのための物資や、プライマリー・ヘルスケア施設のための手袋やエプロン、防護服、ゴーグル、顔を保護するための防護用品などの医療消耗品が届けられました。マラリアの治療や妊産婦ケア、HIV患者の支援や栄養支援、予防接種を行う小規模な診療所にとって、極めて重要なものです。
これらの物資は、西部地域やポート・ロコ、ボンバリ、トンコリリ、モヤンバ、ボーなど、エボラの影響を最も受ける地域にあるプライマリー・ヘルスケア施設から配布が進められています。
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