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ナイジェリア:
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© UNICEF Nigeria/2014/Emmanuel |
家の外で食事の準備をするアイシャさん(12歳)とアスウマちゃん(13歳)。 |
ナイジェリア北西部の何万人もの女の子たちが、英国国際開発省(DFID)の資金提供によって実現した現金給付支援を受け、学校に通えるようになりました。
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数年前に父親が亡くなったアイシャちゃんとアスマウちゃん。父親の死後、ふたりは路上でものを売り、家計を支えなくてはいけなくなりました。
ふたりは弟と母親、祖母と一緒に、一部屋しかない、ブリキでできた古い小さな家で暮らしています。
ナイジェリア北西部・ソコト州にある家には電気も水道も通っておらず、家具もほとんどありません。部屋の隅には、仕立ての仕事をする母親の使うミシンが置かれています。
12歳のアイシャちゃんと13歳のアスウマちゃんは、いままで一度も学校に通ったことがありません。母親のアティカ・アダムさんは、ふたりの学費を捻出することができなかったと語ります。「食べ物を手に入れることすら苦労するなかで、学校に通わせることはできませんでした。娘を学校に通わせるお金など、なかったのです」
「でもこれからは、ふたりとも学校に通うことができます」と、庭に座りながら玉ねぎを切ったり粟をふるいにかける娘たちを誇らしげに指さし、アティカさんが話します。
アイティカさんは今日、女の子ひとりにつき31米ドル支給される、現金給付支援の一部を受け取りました。
ユニセフが実施する女の子のための教育プログラムの一環として行われた現金給付支援は、9月22日、ウスアにあるアイシャちゃんとアスマウちゃんが通う予定の学校で行われたセレモニーで開始が宣言されました。この支援は、英国国際開発省による資金で実現しました。
「学校に通わせるためのお金を受け取りました。これからは、娘たちは道で物売りをするのではなく、学校で勉強できます」と、アイティカさんが語ります。
© UNICEF Nigeria/2014/Moser |
ウスアにある学校で行われたセレモニーに参加した4歳のラシダちゃんと母親。 |
今年、ソコト州とナイジャ州の計2万3,000人の女の子たちへの現金給付支援が実現しました。来年にはさらに5万人に実施され、他の州にも活動が広げられる見込みです。
「この支援は、ナイジェリアが国や州レベルで行う、国民が尊厳や機会にあふれた人生を送ることができるようにするための社会保護システム構築の一環として行われています」と、ユニセフ・ナイジェリア事務所社会政策・男女平等チーフのエンリケ・デラモニカが語りました。
教育を受けた女の子たちは家庭の収入に貢献するようになるだけでなく、平均して、生まれてくる子どもがより健康的に育つことが証明されています。
「このようなプログラムは、貧困削減やインクルーシブな(だれもが受け入れられる)開発に、最も効果をもたらします」と、ユニセフと協力して現金給付支援を行う、南アフリカを基盤とした経済政策研究所責任者のマイケル・サムソンが話します。
「政府が行うあらゆる政策のなかでも、女の子の教育への投資は経済利益率が最も高いという確かな証拠があります」と語ります。
アイティカさんは、女の子の教育の重要性を十分に理解しています。「教育を受ければ、娘たちが将来結婚しても、家庭に貢献することができます。自らの力でお金を稼ぐこともできますし、自分の経歴に後悔することもありません」
アイシャちゃんは将来先生に、アスマウちゃんは看護師になりたいと、恥ずかしがり屋のふたりが下を向きながら話してくれました。
ナイジェリア北部では、依然として学校に女の子を通わせることに抵抗を感じる人たちもいます。しかし、アイシャさんが暮らすコミュニティではそのような考えの人はいないと母親が話します。「女の子が教育を受けると、さまざまなよい効果があります。この地域では、男性ですら、その効果に意義を唱える人はいません」(アイティカさん)
商売を営むユスフ・ウマルさんは、「女の子が学校に行くべきではないという考えは、もう古いものです」と語ります。
ウマルさんの3人の学齢期の娘たちもかつては学校に通っていましたが、生活が苦しくなり、教科書や制服などのお金を賄うことができなくなってしまいました。
また、この地で頻繁に起こる洪水によりウマルさんの家は半分流され、さらに苦しい状況に陥りました。しかし、ウマルさんは前を向いています。
ウマルさんは妻が受け取った3人の娘への現金給付支援証明書を手に、「今、ぼくは世界で一番幸せだよ!」と満面の笑顔を見せました。
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