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東日本大震災復興支援 第248報
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© 日本ユニセフ協会 |
子どもをあらゆる暴力から守るための人権教育を行っているCAP(Child Assault Prevention)。今回は、陸前高田市で保育士の方々と子ども支援団体の方々向けにCAPワークショップが開催されました。CAPはアメリカで開発された子どもへの暴力防止教育プログラムです。子ども自身があらゆる暴力から自分の心と体を守るための知恵がたくさん盛り込まれています。幼保育園、小中学校での子ども、教職員、保護者向けや地域のおとな向けなどのプログラムがあり、陸前高田市内では震災後3度目の開催になりました。
岩手県陸前高田市にある社会福祉法人陸前高田市保育協会は、11日、協会に加盟する保育園の保育士向けの研修として、陸前高田市役所会議室を会場に『子どもを暴力から守るためにできること』と題したCAPワークショップを開催しました。
市内5カ所の保育園から、第一線で活躍する保育士さん11名が参加しました。講師は、日本ユニセフ協会と業務連携する一般社団法人J-CAPTA(ジェイ・キャプタ)チーフディレクターの木村里美さんと山田町などを拠点とするCAPリアスのメンバー計3名。
震災後、山田町では、町内の保育園でCAPワークショップが積極的に取り入れられ、小学校入学前に半数以上の子どもたちがCAPワークショップを受講して、自分のこころと身体を大切にすることを学んでいます。山田町で行われている子ども向けプログラムの紹介やロールプレイを体験しながら、子どもの人権尊重、誘拐やいじめなどから子どもたちを守る具体的な方法など、保育士として子どもたちを守るためにできることは何かを再確認しました。
参加した保育士さんたちからは、「安心、自由、自信の言葉がすごく大切だと思いました」、「子どもの話を聴いたら、まず気持ちを受け止めてあげることの大切さを改めて実感しました」、「今日の研修を参考に、子どもの心に寄り添った言葉がけをしていきたいです」などの感想が寄せられました。
© 日本ユニセフ協会 |
翌日12日は、陸前高田市で毎月開催されている「陸前高田市子ども支援ネットワーク会議」を主催するNPO法人P@CTさんの主催により、ネットワーク会議に参加している子ども支援団体などを対象にしたCAPワークショップがおこなわれました。
陸前高田市のみならず気仙地区の子ども・子育て支援関係団体や、子ども・子育て支援に関心のある市民の方々にも聞いてもらおうと、陸前高田市社会福祉課、児童家庭支援センター大洋も共催してくださいました。当日は、子ども支援ネットワーク会議参加者をはじめ、気仙地区で子ども支援に関わる担当者など19名が参加しました。
ワークショップでは、幼保育園、小学校、中学校などでおこなわれる子ども向けワークショプの紹介とともに、実際に子ども支援に携わっている方々向けに、より実践的な子どもとの関わり方についても紹介されました。
講師の一般社団法人J-CAPTA(ジェイ・キャプタ)チーフディレクターの木村里美さんからは、「子どもに防犯道具を持たせるのではなく、子ども自身の心の中に、自分を守るための道具をつくること、そのためには人権意識を高めるような子どもたちへの働きかけが大切」と伝えられました。また、「虐待が世代間連鎖するというが、実際は3割のみで、ほとんどは繰り返されていない。虐待を受け、虐待を繰り返していないおとなはたくさんいる。虐待を繰り返す人と繰り返さない人との違いは、信頼できるおとなにどれだけ早く出会い、話せたかどうか。早ければ早いほど回復力は早い」信頼できる大人が子どもの周りに増えることの重要性について語られました。
専門家につなげる前に、周囲のおとなが子どもをケアすることができるということ、子ども自身が回復力を持っていること、子どもの内なる力を引き出して、自分で選択できるようになることを支援するのが外からの働きかけ、「〜してはダメ」などの禁止や「〜しなさい」などの断定的なメッセージではなく、「〜してもいいよ」メッセージの重要性などの話が参考になったという参加者からのコメント。「自分も伝える側になっていきたい」、「日頃の活動で生かして行きたい」、「自分の子どもにも伝えて行きたい」などの積極的な意見も出されました。