シリア緊急募金 第152報
中東を襲う寒波
冬対策支援対象の130万人の子どもたち
【2015年1月13日 アンマン(ヨルダン)/ジュネーブ発】
今冬の厳寒状況を受けて、ユニセフはシリア及びイラク、レバノン、ヨルダン、トルコに避難するシリアの子どもたち90万人以上に、越冬のための衣料や毛布、暖房、引き換え券の提供、現金給付を行っています。
ユニセフ、冬対策への支援を強化
シリア紛争が始まってから丸4年の歳月が経過しようとしています。ユニセフは、絶望的な状況の中で支援を必要とするシリアの国内避難民の子ども、及び周辺国に逃れた難民の子どもの数が、少なくとも700万人にのぼるとみています。その多くは、氷点下を下回る気温と雨雪、強風に晒されてしまう、断熱が不十分な建物で暮らしています。
「極限の寒さが続き、人道アクセスが限られている状況の中で、我々はできるだけ多くの子どもたちに冬対策を行うため、支援を強化しています。このような支援を可能にするためには、地域や政府など、さまざまなパートナーの協力が重要です」と、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表、マリア・カルビスは述べました。
* * *
■参考: シリア危機 冬期人道支援 状況レポート (2015年 1月11日 ヨルダン発)
|
© UNICEF Turkey |
仮住居であるテントの入り口に裸足でたたずむ、トルコ・アンカラに身を寄せているシリア難民の7歳の男の子。 |
- シリア及び周辺国において、氷点下を下回る気温や雨雪の影響に加え、今なお続く武力衝突と避難生活が、子どもたちに過酷な状況をもたらしている。シリア及びレバノンでは子どもたちの死亡が報告されているほか、冷気にさらされた影響による上気道感染症も増加している。
- 冬対策支援の対象となっているシリア、イラク、レバノン、ヨルダン及びトルコの130万人の子どものうち、ユニセフはこれまでに91万6,000人の子どもに冬用の衣類、毛布、暖房、現金や引換券などを提供した。(注:トルコの支援対象数及び結果は集計中)
- ユニセフは、高地における支援及び幼児に対する支援に焦点をあてている。
■シリア
- 支援対象となっている40万人の子どものうち、これまでに31万5,000人に冬用の衣類、毛布、学校の暖房などが提供された。一方、非食糧支援のための資金が十分に得られていないことから、ユニセフはさらに10万人の子どもを追加対象とし、500万米ドルを緊急に要請している。
- シリア全土を対象としたプログラムでは、シリア北部及びシリア南部にいる3万5,000人の子どもに毛布が提供された。
■イラク
- これまでに、アクセスの限られている地域及び高地100カ所以上で暮らす子ども20万人以上に冬用の衣類キットを提供した。また、保温性の高い毛布を配布し、学校にオイルヒーターの設置も行っている。これに加え、避難民を対象とした緊急の水と衛生サービスを実施している。
-
毛布や衛生用品を必要とする貧困状態にある20万人の子どもたちの間においては、格差が顕在化している。
■レバノン
|
© Lebanon/2015/Alessio Romenzi |
レバノンの非公式居住区に身を寄せるシリア難民の母親と息子。 |
- 寒波到来前の2014年11月から12月にかけて、高地でテント生活を送る0歳から14歳の子ども8万人に対し、冬用キットが提供された。この子どもたちは、レバノン国内の非公式居住区で暮らすシリア避難民の子どもたちの約70%にあたる。これに加え、パレスチナ人の子ども2万人を対象とした引換券の配給も行われた。
-
加えて、10万4,200人に対し、排水キット、安全な飲料水、ビニールシートや高カロリービスケットの配布が行われた。
-
583校の15万5,000人の児童を対象とした教室の暖房燃料の提供開始に対する教育省の許可が得られた。
■ヨルダン
- 避難民キャンプやコミュニティで避難生活を送るシリア難民の子ども10万人を対象に、冬用の衣服などの支援を提供した。
-
最も弱い立場にある人々に無条件現金給付、毛布、ビニールシートなどを提供し、難民キャンプの洪水に見舞われた場所で、排泥や排水を行うため、ユニセフは334万米ドルの資金を必要としている。
■トルコ
-
2014年11月、Saniliufa地方のSuruc において、Kobaneからの避難民の家族に冬用の衣類が届けられた。これまでに、一時避難所や地元コミュニティに身を寄せる子どもたちに対し、2万2,200セットの保温性の高い下着が提供されている。この後、新しく調達された冬用衣類キットには、コート、セーター、冬用ズボンや靴下が含まれている。また、4万人の子どもを対象とした学校用の暖房が提供され、1月末までに、3万2,000人用の冬用の衣類が調達される予定である。
|トップページへ|先頭に戻る|