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シリア緊急募金 第160報
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© UNICEF/NYHQ2013-0920/Rashidi |
ダマスカスの学校ではしか、おたふく風邪、風疹の3種混合の予防接種を受ける男の子。(2013年撮影) |
シリアでは現在、子どもたちの命を守るため、はしかの予防接種キャンペーンが10日間にわたって実施されています。4月19日に始まったこのキャンペーンは、生後6カ月から5歳までの子ども260万人以上を対象に、1,209カ所の保健センターで、6,000人に及ぶ保健員ならびに移動予防接種チームによって展開されています。
シリアでは、2014年末までに、594人の子どもがはしかと診断され、その半数は予防接種を受けていませんでした。2011年に紛争が始まって以来、保健センターの3分の1近くが破壊されるなど、この国の保健システムは大きな影響を受け、99%だった予防接種率は52%にまで落ち込みました。ユニセフは、現在も続く紛争によって、最もアクセスが難しい地域に住む23万人以上の子どもたちが、取り残されてしまう可能性があると推計しています。
「紛争や社会が大きく変動する状況下では、はしかは特に子どもたちにとって命を脅かす病気です。ですから、私たちはなんとしても、シリアのすべての子どもたちにワクチンを届けなければならないのです。予防接種を受けられない子どもがいる限り、感染が広がるリスクが続くのですから」と、ユニセフ・シリア事務所代表のハナア・シンガーは話します。
このはしかキャンペーンは、「格差を埋める」をテーマに、社会から最も取り残された子どもたちに予防接種を届けることを世界に訴える、『世界予防接種週間』(4/24-30)に合わせて実施しています。
今キャンペーンは、特にシリアの国内避難民の子どもたちに焦点を当てています。ユニセフは、シリア国内には380万人以上の国内避難民となった子どもがおり、その多くはこれまではしかの予防接種を受けていないとみられています。
子どもたちは予防接種を受ける際、同時に栄養状態の検査を受け、必要に応じて栄養サプリメントが与えられたり、医療機関を紹介されたりします。
今回は、昨年に続く2回目のキャンペーンです。2014年には、ユニセフはパートナー団体とともに84万人の子どもたちにはしかの予防接種を行うことができました。
ユニセフはワクチンや注射器、ワクチン運搬のための保冷設備の調達、保健員の研修などを支援しています。また、携帯電話のショートメールサービス、コミュニティの集会、レクリエーション活動、ソーシャルメディアキャンペーンなどを通じて、コミュニティへの情報発信も行っています。
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■世界予防接種週間とは
世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらえるよう、毎年4月下旬に設けられており、今年は4月24日から30日の1週間です。予防接種によって、毎年推計200万人〜300万人の子どもたちの命が、ジフテリアや破傷風、百日咳、はしかなどの感染症から守られています。しかし、さまざまな努力の一方で、世界の乳児の5分の1が、基本的な予防接種を受けられていません。
今年の予防接種週間のテーマは「“Closing the Gap”= 格差を埋める」。 社会から最も取り残された子どもたちへ予防接種を届けることに焦点を置き、すべての子どもたちが予防接種を受けられる世界の実現を、国際社会に訴えます。
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