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公益財団法人日本ユニセフ協会
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東日本大震災復興支援 第254報
子どもたちが描くみんなの公園
まちの復興に子どもの声を

【2015年5月8日 石巻発】

「Stand Up!門脇」と題された、新しいまちづくりへの取り組みを伝えるポスター
© 日本ユニセフ協会/2015
「Stand Up!門脇」と題された、新しいまちづくりへの取り組みを伝えるポスター

地震や津波に加え、大規模火災にも見舞われた宮城県石巻市沿岸部で、一昨年9月にスタートした「新門脇地区震災復興事業」。この事業で生まれる新しいまちの一角につくられる3カ所の公園に、地元の子どもたちが参加する取り組み、「子どもたちが描くみんなの公園」ワークショップが、8日、市立門脇中学校で始まりました。

「まちづくり」に参加する子どもたち

ワークショップに参加したのは、81人の門脇中学校1年生。彼らの中には、震災時に全焼し、震災遺構としての保存の是非が検討されている新門脇地区の旧門脇小学校(本年3月に廃校)の最後の卒業生もいます。この日から、7月の「発表会」までの全6回のワークショップを通じ、生まれ育った土地の歴史や「まちづくり」の基本的な考え方や手法、そして自分の意見や考え方を発表することの大切さを学びながら、「まち」に住む様々な人々が親しめる「みんなの公園」の姿を、模型で形にしてゆきます。そして、石巻市等事業関係者のご協力をいただきながら、子どもたちの思いやアイディアを具体の公園計画に反映していくことを目指しています。

想像をふくらませ、人の意見を取り入れるワークも

「僕が住んでいたのはこの辺」「せっかくこんな機会をいただいたのだから、一生懸命考えたいです」。震災前のまちを思い出しながら、1/500で再現された新門脇地区の“住みたい場所”“仕事をしたい場所”に、家やお店の模型を置く子どもたち。
© 日本ユニセフ協会/2015
「僕が住んでいたのはこの辺」「せっかくこんな機会をいただいたのだから、一生懸命考えたいです」。震災前のまちを思い出しながら、1/500で再現された新門脇地区の“住みたい場所”“仕事をしたい場所”に、家やお店の模型を置く子どもたち。

ワークショップ第1回目の5月8日、子どもたちはグループに分かれ、それぞれが事前に準備してきた「楽しかった遊びの思い出」を発表。このプロジェクトをボランティアで支えてくださっている山形大学の学生さんたちが徹夜で完成させてくれた実物の500分の1の新門脇地区の模型を使い、自分が住みたい場所、仕事をしたい場所をイメージ。「自分」という「一人称」の視点から、新しいまちや公園のイメージをふくらませました。

子どもたちは、第2回以降、公園予定地の見学や地域住民へのインタビュー、公園づくりやまちづくりにあたって押さえなければならない維持・管理などの基本的な知識や考え方も学びながら、家族=「2人称」や地域住民=「3人称」でのものの見方や考え方についても学んでゆきます。

「子どもにやさしい復興計画」相馬、大槌、七郷、石巻で

ユニセフ(国連児童基金)は、世界150以上の国と地域で展開する支援活動の中で、子どもたちが支援を受ける側としてだけではなく、様々な活動のプロセスにも参加し、支援や施策そのものにも子どもたちの声が取り入れられる機会づくりに力をいれています。ユニセフ本部の支援を受け東日本大震災発生直後に被災地支援を始めた日本ユニセフ協会も、こうした考え方に基づき、2011年後半から、「まちづくり学習」「子どものまち」「冒険遊び場」の3つを柱とする「子どもにやさしい復興計画」支援を展開。都市計画・まちづくり学習の専門家である山形大学の佐藤教授や子ども環境学会「東日本大震災復興プラン国際提案競技」コンペで最優秀賞を受賞した竹中工務店と協働で、子どもたちの声やアイディアを地元行政と共有する活動を続けています。

自分のまちについて学び、考える

2012年から毎年10月に開催されている「子どものまち・いしのまき」。今年も開催に向けた準備が始まっています。
© 日本ユニセフ協会/2015
2012年から毎年10月に開催されている「子どものまち・いしのまき」。今年も開催に向けた準備が始まっています。

これまでに、福島県相馬市の要請を受け、「総合学習の時間」などを使ってまちの歴史や復興、防災などのテーマで同市内の全小中学生が学習を進める取り組みを支援(2011年に開始し現在も継続)。岩手県では、被災した公立小中学校を統合した小中一貫校づくりを進める岩手県大槌町の要請を受け、2011年末から2012年頭にかけ「未来の教室を考えよう」ワークショップを実施。子どもたちのアイディアも生かされた新校舎は、2016年秋に完成する予定です。また2012年からは、宮城県仙台市内で最も大きな津波被害を受けた若林区の中で、大きな被災は免れながらも、復興住宅の整備や地下鉄の新路線の建設などで周辺のまちの姿が大きく変わりつつある七郷小学校の子どもたちを対象に、「未来の七郷まちづくり」ワークショップを実施し、本年3月の『国連防災世界会議』会場でも、その成果の一部を発表しました。

日本ユニセフ協会は、震災発生直後から避難所への物資提供や学校再開、給食再開、幼・保園舎再建など、石巻市でも様々な支援を展開してきました。一方、石巻市も、「子どもセンター『らいつ』」の設置や、当協会も参画する「子どものまち・いしのまき」の開催など、まちの復興の中での子どもの居場所づくりや子どもの声を積極的に聴く取り組みを積極的に行っています。

「子どもたちが描くみんなの公園」ワークショップは、こうした両者の思い、そして、震災復興事業を請け負われた事業者はじめ多くの関係者のみなさまのご理解とご協力を得て進めている取り組みです。

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