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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第163報
シリア危機
厳しい暑さと安全な水の不足
子どもたちの下痢性疾患等、増加の恐れ

【2015年7月10日 ダマスカス(シリア)発】

家族のために水を汲み、家に持ち帰る女の子。
© UNICEF/NYHQ2014-3060/Rashidi
家族のために水を汲み、家に持ち帰る女の子。

シリアでは酷暑の夏の数カ月間に安全な飲料水の供給が減ることで、子どもたちが水に起因する病気の脅威に晒されると、ユニセフ(国連児童基金)は警鐘を鳴らしています。

乏しく、安全でない水

今年はじめ以降、シリアで報告された急性の下痢性疾患は10万5,886件に上り、A型肝炎の件数も急増しています。2月には、1週間で1,700件が報告されることもありました。

シリア国中で激しさを増す紛争は新たな国内避難民の波を生み出し、もともと脆弱だった水と衛生のサービスに更に負荷がかかっています。

「この状況は、特に水に起因する病気にかかりやすい子どもたちにとって、大変厳しいものです」とユニセフ・シリア事務所代表のハナア・シンガーは言います。「シリア危機は5年目に入り、水は、乏しく安全ではないものとなっています。特に避難民のコミュニティは衛生状態が悪く、深刻な危機に晒される子どもたちが増えています」

水に起因する病気が増加

病気の流行のリスクが特に高いのは、東部のデリゾールです。多くの人々が生活に利用するユーフラテス川の水が、未処理の汚水によって酷く汚染されていると報告されています。この地域では、腸チフスが1,144件報告されています。

燃料価格の高騰も、人々の水へのアクセスに影響を及ぼしています。西部のイドリブでは、燃料の価格が以前の3倍の1リットル当たり500シリアポンド(2.6米ドル)にまで上がっています。さらに、給水ポンプも1日に2時間しか稼働させることができず、一人当たり1日20リットル程度の水しか供給できなくなっています。

国境閉鎖で国内の備蓄に影響

もう一つ心配されているのは、ヨルダンとの国境が閉鎖されたことで、重要な支援である水処理用資材などをシリア国内に運び入れることができなくなったことです。国境が閉鎖された4月上旬まで、ユニセフは毎月国境を越えて、50万リットルの水処理用資材を運んでいました。閉鎖の結果、シリア国内の備蓄がかなり少なくなってきています。

「危機が始まって以来、ユニセフはさまざまなパートナー団体と協力して、1,500万人のシリアの人々の命をつなぐ給水施設への支援を行っています」とシンガー代表は続けます。「これには、代替水源として井戸を掘ったり、水処理用資材の現地生産や調達の支援も含まれています」

ユニセフは、シリア国内での8月末までの水と衛生分野の支援に、500万米ドルの資金が必要であると緊急要請しています。

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