|
|
HOME > ニュースバックナンバー2015年 > ストーリーを読む
|
|
シリア緊急募金 第171報
|
© UNICEF/NYHQ2012-1293bin/Romenzi |
水を汲むための容器を持ってアレッポの町を歩く少女。 |
シリアの紛争は5年目に入り、長い年月をかけてなされてきた教育分野の前進が、壊滅の一途を辿っています。まだ一度も教室に入ったことがない子どもも、最長で4年間も学校に行くことができていない子どももいます。
シリア国内では、5,000校もの学校が、紛争によって破壊されたり、破損したり、避難民の避難所として使われていたり、軍事目的で使用されているため、使うことができません。また多くの親が、通学時や学校にいる間に子どもの身に危険が及ぶことを心配し、学校へ通わせることを躊躇しています。2014年だけでも、少なくとも60校が攻撃に遭い、意図的に学校が標的にされることもあります。シリアの教師の4分の1以上が仕事を辞めざるをえないなど、教師たちも大きな犠牲を払っています。
「教育を含むシリアの基本的な公共サービスは、もう限界です」と、ユニセフ・シリア事務所代表のハナア・シンガーは話します。「私たちは、教育機関が破たんしてしまわないように支援し、この国の子どもたちの教育の機会を増やすよう、もっともっと活動しなければなりません」
© UNICEF/2015/Tomoya Sonoda |
「学校に戻ろう」キャンペーンが実施され、アレッポの学校に登校した4年生の生徒たち。 |
ユニセフは、何百万ものこうした子どもたちのために活動する現地のパートナー団体との間に広いネットワークを持っています。紛争が始まって以来はじめて、非公式教育プログラムを本格的に展開し、学校に行けない子どもの数を減らす取り組みをしています、また、学校で使う資材や教科書を現地で印刷し、必要とする子どもたちに届ける努力も続けられています。
シリアの子どもたちは、勉強を続けることへの強い意志と素晴らしい回復力を見せています。この夏、少なくともシリアの子どもの20%が、試験を受けるために危険な地域を通らなければなりませんでした。いくつもの検問所を通り、闘いの中で捕えられる危険に晒されました。
「たとえ最悪の状況にあっても、シリアの子どもたちは学ぶことを求め続けてきました。なぜなら、彼らはよりよい未来を心から望んでいるからです。昨年は、推定でおよそ400万人の子どもたちが、学校に通うことができました」とハナア・シンガー代表は続けます。「私たちは、シリアの子どもたちのためにできる限りの資金を投じなければなりません。なぜなら、彼らこそシリアの未来であり、平和が戻ったときに国を立て直すのは、子どもたちだからです。
© UNICEF/2015/Tomoya Sonoda |
アレッポの学校でユニセフの支援物資の通学かばんを受け取り、笑顔を見せる1年生の女の子。 |
「再び学ぼう(Back to Learning)」キャンペーンによって支援を受けた220万人に加え、「失われた世代にしないために」イニチアチブの一環で、ユニセフは数年にわたって学ぶ機会を失っている50万人の子どもたちを対象に、自習プログラムを開始しました。このプログラムは、特に激しい戦闘が行われていたり、学校が閉鎖されている地域を中心に行われています。また、20万人の子どもたちを対象に、勉強の遅れを取り戻し、最終的には正規の教育に戻るため学習促進プログラムも行われる予定です。
加えて、勉強のための適切なスペースを提供するため、国中に少なくとも600の学校クラブが開設されました。多くの避難民の子どもを受け入れている地域では、600の学校が修復され、300の仮設の教室が設置されたことにより、さらに30万人が学べるようになりました。
ユニセフは、シリアの子どもたちの学ぶ権利を守るために活動を続けています。本年末までの活動にユニセフが必要としている資金は、6,800万米ドルです。そのうち1,200万米ドルを、緊急に必要としています。