【2015年11月19日 ニューヨーク発】
11月19日は、2013年に国連が制定し今年で3回目を迎える「世界トイレの日」。トイレがない生活は、世界の最も貧しい何百万人の子どもたちを危機に晒し、不適切な水と衛生環境に関連した下痢性疾患で命を落とす5歳未満児は年間およそ30万人-毎日800人以上にものぼります。ユニセフ(国連児童基金)は本日、衛生設備(トイレ)の欠如と栄養不良のつながりを示す新たな証拠を発表しました。
© UNICEF/NYHQ2013-1482/Pirozzi |
世界では約24億人がトイレを所有しておらず、世界の人口のおよそ8人にひとりにあたる9億4,600万人が屋外排泄をしています。一方で、推定1億5,900万人の5歳未満児が発育阻害(年齢相応に背丈が伸びていない状態)であり、さらに5,000万人が低体重(年齢相応に体重が増加していない状態)に陥っています。
ユニセフとUSAID、WHOは本日、共同報告書「栄養改善は、水と衛生環境の改善から(原題:Improving Nutrition Outcomes with Better Water, Sanitation and Hygiene)」を発表。これは、衛生と栄養不良の関連性が示された何年にもわたる研究とケーススタディが初めてまとめられたもので、行動指針も提示されています。
衛生の欠如、特に屋外排泄は、下痢の発生や腸内寄生虫の感染拡大に寄与し、それらは栄養不良を引き起こします。ユニセフの水と衛生部門部長のサンジャイ・ウィジェセケラは「人々の排泄場所の問題に対し、具体的で革新的な解決策が必要です。さもなければ、最も貧しく、最も脆弱な何百万人もの子どもたちの命が失われる恐れがあるのです。栄養不良と衛生との関連性が立証されたことは、私たちの衛生分野の支援が他の分野の支援と密接に関連していなければならないことを、あらためて示すものです」と述べています。
© UNICEF/INDA2013-00391/Romana |
毎年、5歳未満で亡くなる子どもの死因の9%が下痢によるものです。トイレの使用率が低い地域ほど、下痢にかかる率は高くなる傾向があります。
5歳未満の子どもの下痢の症例数は、年間のべ17億回。低所得国の子どもたちが最も下痢にかかりやすく、平均でひとり年間3回。中でも最も頻繁に下痢になるのは2歳未満の子どもたちです。繰り返し下痢に罹ることは、消化器系に生涯にわたる影響を及ぼすほか、不可欠な栄養の吸収を妨げ、発育阻害や死にさえつながります。
年間およそ30万人の5歳未満の子ども-毎日800人以上-が、不適切な水と衛生環境に関連した下痢性疾患で命を落としています。特にリスクに晒されているのは、サハラ以南のアフリカと南アジアの最も貧しい子どもたちです。
回虫や鞭虫、鉤虫などによる腸内寄生虫の感染症は、屋外排泄が習慣的に行われている地域で汚染された土を通じて感染が拡大します。鉤虫感染は妊婦が貧血に陥る主要な原因であり、生まれてくる赤ちゃんの栄養不良や低体重を引き起こします。
© UNICEF/NYHQ2013-0476/Esiebo |
いくつかの国は、衛生設備(トイレ)へのアクセスと子どもの栄養状態の両面において、著しい進展をみせています。多くは、ユニセフの提唱する、コミュニティ自らが屋外排泄の問題への解決方法を探すという、コミュニティ主導の総合的衛生アプローチ(CLTS)を用いて成果をあげてきました。
「どのような最も貧しいコミュニティであっても、緊急事態下であっても、トイレのアクセス改善に向けた行動を起こさないことに対して言い訳はできません。栄養不良に陥ったり、病気になったり、命を落としたりする子どもたちを守るため、しかるべき緊急性をもってこの問題を扱うべきなのです」(ウィジェセケラ部長)
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