【2016年1月27日 ブラジル発】
蚊が媒介する感染症「ジカ熱」がブラジルを中心に中南米地域に広がっています。ジカ熱を引き起こすジカウイルスは、デング熱も媒介するネッタイシマカなどによって伝染します。妊婦が感染すると新生児の脳の発育が不十分になる「小頭症」とのつながりが強く疑われており、世界が警戒を強めています。
ブラジルでは、主に北東部で確認されている新生児の小頭症の急増に伴い、警戒が続いています。ブラジル保健省によると、昨年10月中旬から本年1月23日までの間、小頭症の疑いのある4,180件のケースが記録されました。2014年までは、ブラジルの小頭症の年平均発生件数は156件でした。
全体の中で、先天的奇形により死亡したケースは、出産後(死産)および妊娠中(流産)を合わせて68件報告されました。このうち、12件は先天的な感染症との関係が確認され、10件はリオ・グランデ・ド・ノルテ、1件はセアラ、1件はピアウイと、いずれも北東部でした。51件の死亡例については現在も調査が続けられており、残りの5件についてはすでに関連が否定されています。保健省は、各州によって報告された小頭症もしくは奇形の全事例と、ジカウイルスやその他の先天的感染症との関連について調査を進めています。
ジカウイルスは、デング熱やチクングニア熱のウイルスも媒介するネッタイシマカによって伝染します。このため、誰もがそのリスクについて周知し、蚊やその発生源を予防・駆除するための方法を知っておくことが重要です。
©UNICEF Brazil |
最も効果的な予防方法は、ネッタイシマカを根絶することです。以下が、日常的にとるべき行動の一例です。
清掃は住居内に限定されるものではありません。学校、職場、その他日常的に出入りするところで、水たまりのできそうな場所に注意を払うことが大切です。
伝染性の蚊の発生源が最も多いエリアは、北部、北東部、南東部に集中していますが、ほとんどすべての州において、ネッタイシマカの発生リスクがある、または警戒すべき場所が存在します。これらの発生源は、ごみの蓄積、タンクやバケツでの水の貯蔵、家の小規模な貯蔵庫などで生じます。国民は、水たまりのできそうな容器を取り除くよう注意を払い、対処方法を知り、定期的な確認を行うことが大切です。
©UNICEF Brazil |
ユニセフは、ジカウイルスやその他の病気を媒介するネッタイシマカの根絶を目指して、保健省と協力して国民に働きかけを行っています。これにより、蚊の駆除や予防に関連した情報を、ブラジル全地域により速く伝達することが可能です。
ユニセフは、子どもや青少年の生活水準改善プロジェクト(Selo UNICEF Município Aprovado)や大都市のインクルーシブな開発を進めるプロジェクト(Plataforma dos Centros Urbanos)を通して、アマゾン、北東部の半乾燥地帯、8つの州都にある最も脆弱なエリアで直接的な働きかけを行い、1,700以上の自治体に支援を提供しようとしています。
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