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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

キューバ
世界初、HIV母子感染の撲滅に成功
ユニセフによる支援が歴史的な成果に

【2015年7月9日  パナマシティ(パナマ)、ハバナ(キューバ)発】

ユニセフは、2015年6月下旬に、キューバが世界で初めてHIVと先天性梅毒の母子感染を撲滅し、国際社会がすでにこれらの症状を伴った出産を防ぐために必要な知識を備えているということを示した歴史的な成果を祝福しました。

HIVに感染した母親から生まれる子どものうち、HIVに感染した新生児の割合を2パーセントに減少させるという世界的な目標に対し、キューバは1.85パーセントまで減少しました。しかし、ラテンアメリカ・カリブ地域の平均値は依然として5パーセントです。

ユニセフとキューバ政府の緊密な連携

世界で初めてHIVと梅毒の母子感染の撲滅に成功したことを告知するポスター。

©UNICEF

世界で初めてHIVと梅毒の母子感染の撲滅に成功したことを告知するポスター。

キューバが今回の成果を上げる以前に、ユニセフ、PAHO (汎米保健機構)、WHO(世界保健機関)が率いる独立した専門家の地域委員会が、HIVや梅毒の予防、診断、治療に関する統合的な仕組みや、保健分野における人権に関する実情を分析するため、キューバを訪問しました。1週間の間、訪問団は複数の保健センターを訪れ、職員、保健師、HIVと共に生きる人々にインタビューを行いました。

世界に先駆けてキューバが達成した歴史的な成果は、出生前診断を徹底した保健当局の努力によってこそ生み出せたのです。妊娠した女性は、出産まで平均10回の検査を受け、資格を有する助産師の支援のもとで出産し、HIV検査や、陽性の場合に母子感染率を2パーセント以下に抑えられる抗レトロウイルス療法を受けることができます。

ユニセフ・キューバ事務所は、この分野においてキューバ政府と緊密に協力し、HIV予防に関して保健分野に携わる若手職員の育成を推進したり、このような若手職員の研修を行う市の施設を整備したり、HIVと共に生きる子どもや青少年に心理・社会的支援を提供したりしています。

残された課題

しかし、キューバの青少年・若者が、他の多くのラテンアメリカ・カリブ諸国に比べ、HIVの感染・予防に関して多くの知識を持っているにもかかわらず、いまだ重要な課題が残されています。例えば、3分の1近くのキューバ人の若者が、予防措置を取らないまま性的関係を持っており、半数以上がHIVに感染する可能性は全くないと考えています。

キューバでは64パーセントの若者が、どうすれば感染を防ぐことができるかといった基本的な質問に答えることができ、感染に関する誤った考え方を排除することができます。一方、ラテンアメリカ・カリブ地域全体でみると、そういったレベルの知識を持っている若者は半数以下に留まっています。

ラテンアメリカ・カリブ地域における進展と今後の取り組み

キューバの子ども。

©UNICEF

キューバの子ども。

キューバの成果は、ラテンアメリカ・カリブ地域のHIV母子感染の撲滅に向けた進歩を反映したものです。実際に、当地域での2010年の母子感染率は推定18パーセントでしたが、2013年には推定5パーセントに減少しています。このことは、HIVに感染した女性のうち母子感染を防ぐために抗レトロウイルス療法を受けた割合が、同じ時期に59パーセントから93パーセントまで上昇し、2013年には当地域でHIV検査を受けた妊娠女性の割合が74パーセントに達するなど、大きな進展があったからこそ達成できたのです。

それにもかかわらず、ラテンアメリカ・カリブ地域の中でHIVの母子感染を撲滅できるのは、あと5つの国と地域(バルバドス、ジャマイカ、アンギラ、モントセラト、セントキッツ・ネイビス)に留まるかもしれません。これらの国でも、まだこのような目標を達成するための取り組みが始まっているわけではありません。

今回の歴史的成果を踏まえ、ユニセフは諸国に対して、これらの疾患の母子感染を撲滅することを公衆衛生政策の優先課題に位置付け、子どもたちが生まれてから可能な限り高い健康レベルを享受できる権利を保証するとともに、エイズのない世代を築く可能性をいっそう高めるため、取り組みや必要な財源の投入を強化するよう働きかけます。

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