【2016年3月1日 スバ(フィジー)発】
サイクロン「ウィンストン」がフィジーを直撃し、破壊的な被害の爪痕を残してから1週間以上が経過しました。最新のデータによると、12万人の子どもを含む推定34万7,000人(同国の総人口の40パーセント)が、これまでに上陸した中で史上2番目の(2013年にフィリピンを襲った超大型台風「ハイエン」に次ぐ)強さを持った今回のサイクロンにより、直接的な影響を受けました。
© UNICEF/UN011476/Sokhin |
「これはフィジーにとってまさに全国規模の災害なのです」とユニセフ(国連児童基金)太平洋諸国事務所代表のカレン・アレンは述べました。「いまやフィジーの子どもの40パーセントという多数の子どもたちが、非常に高いリスクに晒されていることは明らかです。子どもたちの健康、安全、教育、発達における、短期的及び長期的な影響は甚大です」
「所有物や家、食糧、おそらく収入源でもあった家庭の農作物、学校、地域の診療所など、文字通りすべてを失った多くの子どもたちに会いました。このような子どもたちの多くは、安全な飲み水や電力、寝泊りする場所もなく、緊急かつ包括的な支援を必要としているのです」
ヤサワ諸島の外側に位置するヤゲタ村出身の13歳のアディさんは、被災した子どものひとりです。サイクロンのことを思い出すと、その夜の恐怖がよみがえってくると言います。「私たちの家が崩れ始めるのが見えました。私は弟を抱えて、走って逃げました。とても怖かったです。家から家へ3度も移動しました。生まれ育った家がバラバラになってしまったのを見て、いまは胸が張り裂けそうです」
「悲しいことですが、アディさんのような話は珍しくありません」とアレン代表は言います。「さらに状況を悪化させているのは、緊急事態において子どもたちの避難場所となり得る学校の多くが、使用できなくなってしまったことです」
© UNICEF/UN011412/Sokhin |
フィジーの教育省は、少なくとも240の学校が損壊もしくは倒壊の被害を受けたと報告しています。また多くの学校が、家を失った家族たちが身を寄せる一時避難所としても使われています。
「フィジー政府は、できるだけ速やかに子どもたちを学校に復帰させるために非常に精力的に取り組み、成果をあげていることを称えられるべきです」とアレン代表は話します。「ユニセフはこの取り組みを支援するため、教育省と協力し、24時間体制で対応にあたっています。今週月曜日には1,177の学校が再開できた一方、数百の学校は被害のため再開が遅れる見込みです。先週だけで、ユニセフは最も大きな被害を受けた学校に対して60の仮設教室を提供し、さらに多くの教室の設置を準備しています」
ユニセフの仮設教室キットには、それぞれ40人の生徒と先生が使用できる大きなテントと教育用品が含まれています。これにより、子どもたちと先生が早期に学校に戻り、最も厳しい時期であっても日常の生活や感覚を取り戻すことができるのです。仮設教室はまた、親や保護者が復旧作業や生計の立て直しに集中している間、日中の子どもたちの安全を守ることにも役立ちます。
被災した子どもたちが学校へ戻る支援に加え、影響を受けた子どもたちとその家族がきれいで安全な飲み水、衛生、保健、保護のサービスを受けられるよう、ユニセフはフィジー政府や開発機関と緊密に協力しています。
© UNICEF/UN011485/Sokhin |
ユニセフは既に以下の取り組みに着手しています。
ユニセフは現地における緊急支援を拡大しており、世界各地の物流拠点から今後さらに多くの物資がフィジーに到着する予定です。
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