【2016年3月14日 リロングェ(マラウイ)発】
ユニセフ(国連児童基金)とマラウイ政府は、乳幼児のHIV検査の結果待ちの日数を短縮する費用対効果の高い方法を探るため、無人航空機(ドローン)の利用実験を開始しました。模擬的な血液サンプルを用いたこの実験は、待ち時間を飛躍的に削減する可能性を有するもので、もし成功すれば、道路輸送やテキストメッセージなど他の仕組みと並んで、保健システムに組み込まれることになります。
© UNICEF/UN013394/Khonje |
成功した最初の試験飛行は、コミュニティの保健センターからカムズ中央病院の研究所まで、障害物のない10キロのルートでした。住民も、ドローンが離陸して病院の方角に飛び立っていくのを見守りました。費用や安全性を含めた実用化の可能性を評価する今回の試験飛行は、3月18日金曜日まで続けられます。
ドローンは、過去にも調査や災害の評価などに使用されたことがありますが、アフリカでHIV関連のサービス向上のために利用されるのは、知られている限り今回が初めてです。
「HIV/エイズはいまだマラウイの発展の障害になっていて、毎年約1万人の子どもたちがHIV/エイズによって命を落としています」とユニセフ・マラウイ事務所代表のマヒンボ・ムドエは話します。「この革新的な取り組みは、マラウイの遠隔地で保健担当者が直面している輸送上の問題やそれに伴うさまざまな遅れを克服する突破口になるかもしれません」
© UNICEF/UN013396/Khonje |
「2014年には、マラウイで4万人近い子どもたちがHIVに感染している母親から生まれました。このような子どもたちへの質の高いケアは早期診断にかかっており、それには乾燥した血液サンプルを検査のために保健センターから中央の研究所に送る必要があります。ドローンが輸送時間を短縮し、治療を必要とする子どもたちに早く治療を開始するための解決策の一つとなることを願っています」と、ムドエ代表は述べています。
2014年には、マラウイの約1万人の子どもたちがHIVに関連した疾患により死亡し、治療を受けられたのはすべての子どもたちの半分以下に過ぎません。現在、血液サンプルを保健センターから研究所に送るまで平均11日、結果が送り返されるまで最長8週間を要しています。検査から結果通達までの期間が長くなればなるほど、患者が治療を受けられなくなる率は高まるのです。
保健大臣のピーター・クンパルメ氏は、マラウイ政府はHIV母子感染の予防に全力で取り組むと述べました。
「マラウイはHIV関連サービスの提供において、母親をシンプルかつ生涯にわたる治療計画に参加させる『オプションB+』政策を含め、数多くの革新的な取り組みを開拓してきました。私たちはまた、テキストメッセージを通して中央研究所から保健センターに結果を伝えることにも先駆的に取り組んできました。ドローンの実験のための私たちとユニセフのパートナーシップは、もう一つの革新的取り組みであり、HIV予防と治療に関する同国の目標達成に向けた私たちの活動を支援するものだと信じています」
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マラウイは、国全体でのHIV罹患率が10パーセントと、いまだ世界で最も高い水準にあります。2013年時点で、推定100万人のマラウイの人々がHIVと共に生きており、同年4万8,000人がHIVに関連した疾患で命を落としました。
今日では90パーセントの妊婦が自身のHIV感染状況を認識しているなど進展も見られていますが、いまだ乳幼児が検査や治療を受けられていないケースがあります。
血液サンプルは現在、バイクか地元当局の救急車を使って陸路で運ばれています。ディーゼル燃料の高いコスト、劣悪な道路状況、限られた巡回スケジュールなどさまざまな要因で、サンプルの輸送に大幅な遅れが生じており、小児用抗レトロウイルス療法の効果を高める上での重大な障害になっています。現在、保健センターから研究所まで11日、陸路で結果が送り返されるまで最長8週間を要しています。
ドローンの飛行は、専ら輸送のために設計され、実験に使用されているドローンを製作したアメリカの民間企業マターネット(Matternet)によって支援されています。試験飛行の後、陸路輸送との費用の比較が行われ、もし結果が良好ならば、第二段階では同国の遠隔地からの試験飛行を行うことになります。
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