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アグネス・チャン ユニセフ・アジア親善大使
サイクロン・ウィンストン上陸から1カ月 被災地を訪問

【2016年3月21日  ナンディ(フィジー)発】

今月7日にユニセフ・アジア親善大使に就任したばかりのアグネス・チャンさんは、現地時間19日(土)午後5時過ぎ、南太平洋の島国フィジー共和国西部の都市ナンディに到着。ひと月前にこの国を襲ったカテゴリー5のサイクロン「ウィンストン」で被災した地域を、二日間にわたり訪問しました。

「こんなサイクロンははじめてだ」

サイクロンで家を失ったコリスタパさんが「カラフルな花が咲き誇る素敵な村だった」と言うトコク村。村の前の海岸も瓦礫で覆われていた。

©日本ユニセフ協会

サイクロンで家を失ったコリスタパさんが「カラフルな花が咲き誇る素敵な村だった」と言うトコク村。村の前の海岸も瓦礫で覆われていた。

訪問1日目の20日、アグネス大使は、ナンディから車で約4時間ほどのナウト村を訪問。舗装されていない道の奥まった場所にあるナウト村は、「村」と言っても、フィジーの多くの町や村のように、地名や場所を示す表示板すらない小さなコミュニティの一つです。村の中に点在するトタン造りの小さな家々の多くは、壁や屋根が吹き飛ばされたままでした。

「1カ月経ってもこんな状態が続く程の被害をもたらしたサイクロンは初めてです」この村の長老で、隣接する小学校の校長も務めるシャヒムさんは、アグネス大使に、こう訴えました。「大きな町はもちろん、幹線道路に面したコミュニティには支援は届きやすいし、地域の方々自身もトタンや木材、大工道具等を手に入れやすいので、比較的早いペースで復旧が進んでいます。でも、ナウト村のように、その存在すらあまり把握されていないようなコミュニティの状況は、ご覧のとおりです」(ユニセフ太平洋諸国事務所アリス・クレメンツ広報官)

2015年、ユニセフは、ナウト村のようなコミュニティを対象に「移動幼稚園」をスタート。サイクロン「ウインストン」以後は、緊急支援活動の「子どもにやさしい空間」支援として展開しています。そしてアグネス大使がナウト村を訪問した日は、村に「移動幼稚園」がやってきた日でした。

翌21日、アグネス大使は、ナンディや首都スバがあるピティレブ島の東側に位置するオバラヴ島を訪問。オバラヴ島は、コロ島などと並んで、今回のサイクロンの被害を最も大きく受けた被災地の一つです。

1年前は大丈夫だったのに

3月21日、サイクロンで全壊したオバラウ島のロレト小学校。図書室だった部屋を訪ねるアグネス大使とエスター・コリタパさん(13才・写真右)とイノケ・バリニサブさん(11才・写真左)。

©日本ユニセフ協会

3月21日、サイクロンで全壊したオバラウ島のロレト小学校。図書室だった部屋を訪ねるアグネス大使とエスター・コリタパさん(13才・写真右)とイノケ・バリニサブさん(11才・写真左)。

小さな飛行場から島の周回道路を3分の1周ほど走った島の西側の海岸部は、サイクロンがもたらした暴風のみならず、高潮で大きな被害を受けました。

13才の女の子、エスター・コリタパさんが「あちこちにお花が咲いて、とてもきれいだったのよ」と語るトコウ村の海岸は瓦礫やゴミで埋まり、倒壊した電柱や全半壊した27軒の復旧も進まず、多くの人々が、避難所となった教会の建物での不自由な暮らしを強いられています。

コリタバさんが通う村に隣接するロレト小学校も、一部コンクリート造りの校舎がほぼ全壊。敷地内にあった校長先生の自宅は、建物ごと土台から20メートルほど吹き飛ばされていました。

「1年前のサイクロン・パムの時は、みんなであの校舎に逃げたの。でも、今回のサイクロンでメチャメチャになっちゃって」(コリタパさん)

かろうじて僅かな被害で済んだ一部の教室とユニセフから提供されたテントでは、通常の授業と平行して、専門家によるカウンセリング(心のケア支援)も行われています。「子どもたちは、一見みんな元気そうです。でも、じっくり話を聞いてみると、やはりそれぞれ深い傷を負っているのが分かるんです」(クレメンツ広報官)

”正念場”はこれから

「被災から1カ月も経っているのに、まだこんなに被害が残っていて…。こんなに酷いサイクロンは、はじめてだ」とアグネス大使に語る、ドブイレブ小学校のシャヒム校長。

©日本ユニセフ協会

「被災から1カ月も経っているのに、まだこんなに被害が残っていて…。こんなに酷いサイクロンは、はじめてだ」とアグネス大使に語る、ドブイレブ小学校のシャヒム校長。

被災から1カ月。ユニセフをはじめとする国際機関や各国から送られた緊急支援物資は、フィジーやオーストラリア、ニュージーランド、フランスなどの軍によって、迅速に被災地に届けられました。

「でも正念場はこれからなんです」とユニセフ太平洋諸国事務所のフィジーカレン・アレン代表は語ります。

「主要な支援物資は、各国の軍隊が運んでくれました。でも、それで支援が終わるわけではありません。各地の水や衛生環境の改善が急務です。サイクロンが来る前はエル・ニーニョによる干ばつが、子どもたちの栄養状況に暗い影を落としていました。そこに今度は史上最大規模のサイクロンです。大規模な感染症の発生も危惧されています。私たちは、今回アグネス大使が訪問してくださったような地域に足を運び続け、そういったリスクから子どもたちを守らなければならないのです。そのためにも、なんとか今不足している資金を確保できればと思います」(アレン代表)

24日、ユニセフハウスで報告会

フィジーのサイクロン被災地を訪問したアグネス大使による被災地視察報告会を、3月24日13時から、ユニセフハウスにて開催します。詳細、お申込は下記のページをご覧ください。

アグネス・チャン アジア親善大使 サイクロン「ウィンストン」被災地視察報告会

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日本ユニセフ協会は、フィジーのサイクロン被害を含め、自然災害で被災した子どもたちや家族に対する支援のための『ユニセフ自然災害緊急募金』を受付ています。みなさまのあたたかいご協力をお願い申し上げます。

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