【2016年10月13日 ザグレブ(クロアチア)/ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)は、ヨーロッパ南東部において、公式には国境が閉鎖されているにも関わらず、何百人もの子どもたちがおとなの同伴なく移動を続けており、彼らがこの先どうなるのかわからない状態である、とクロアチアで開催されたこれらの困難な状況にある子どもたちのニーズに応えるための地域会議で発言しました。
© UNICEF/UN020049/Gilbertson VII Photo |
「同伴するおとなのいない子どもたちのほとんどは、子どもの保護のシステムのすき間からこぼれ落ちてしまいます。彼らは誰にも気づかれずに、登録もされず、支援を受けることもできません」とユニセフ中部・東部ヨーロッパ地域事務所の子どもの保護シニアアドバイザー、ジャン・クロード・ルグランは語りました。「保護のシステムから取りこぼされた子どもたちは、手続きのために遅れをとったり拘束されたりすることを嫌い、自分で問題を解決しようとし、自らを深刻な危険に晒すことになるのです」
国境の閉鎖や、移民政策や合意の厳格化にもかかわらず、同伴者のいない子どもたちは、さらなる危険を冒して西ヨーロッパへの移動を続けています。最後の手段として密航業者に身をゆだね、西バルカン経路で、あるいは他の経路で目的地に向かいます。
西バルカンルートが閉鎖されてから、ブルガリアに到着する子どもの数は3月の193人から8月には906人と5倍に膨れ上がり、そのうち約半数には同伴者がいませんでした。彼らのほとんどは、単身であるいは家族ではないおとなと一緒に違法に拘束され、難民申請が済むまで解放されません。9月初旬には、ダヌーブ川(ドナウ川)をルーマニアに向けて渡る船が転覆し、2人の子どもが死亡、2人が行方不明となりました。
2016年6月以降も、毎日推定250人の難民・移民がセルビアに到着していて、そのうち37%が子どもです。9月には、少なくとも148人の同伴者のいない子どもや親と離ればなれになってしまった子どもたちが、ソーシャルワーカーにより確認され支援を受けました。
© UNICEF/UN020052/Gilbertson VII Photo |
ギリシャ政府は人道支援機関と緊密に連携しながら、同伴者のいない子どもたちが閉鎖された施設で過ごす時間を可能な限り少なくて済むように取り組んでいます。しかし、移転や再定住手続きの遅れや、宿泊施設が不十分かつ不適切であるために、9月末時点で、ギリシャで登録された同伴者のいない子どもたちの約60%が宿泊施設への入所を待っている状態です。
同伴者のいない子どもたちの身元確認、家族の割り出し、家族の再統合、適切な受け入れ施設の提供および法的手続きの支援に加えて後見人の指名は、ヨーロッパ東南部の各国政府にとって困難な問題であることがわかってきました。
ユニセフは、クロアチアでの会議が、同伴者のいない、もしくは離ればなれになってしまった子どもたちに対する支援を認識すると同時に、より早い家族統合の手続き、後見制度の改善、および移民ステータスを理由に子どもたちを拘束することを止めさせるために貢献することを期待しています。
ユニセフは各国に対して、同伴者のいない子どもたちの状況を監視し、彼らのニーズに対応できるように国内法や政策を改正する義務があることを改めて訴えます。
2日間にわたる会議「ひとりでの移動:ヨーロッパ南東部を移動する同伴者のいない、もしくは離ればなれになってしまった子どもたちのニーズにどのように効果的に対応すべきか」では、これまでの成功事例を強化し、各国による国境を越えた協力の改善、各国内の子どもの保護制度の強化、地域全体の緊急時対応計画の改善を目指すものです。この会議はクロアチア政府がユニセフの支援を受け開催しています。
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