【2016年12月15日 南スーダン発】
世界で最も若い国である南スーダンでは、人口のほぼ40%にあたる400万人以上が食糧不足に陥っており、子どもたちは深刻な栄養不良の危機に直面しています。国内10州のうち7つの州で、人口の15%以上が栄養不良に陥っており、この数値は、世界的な緊急事態のしきい値を上回ります。さらには、5歳未満の子ども推定36万人以上が重度の急性栄養不良に苦しんでいます。
©UNICEF/2016/Rich |
北バハル・アル・ガザール州の町アウェルでは、毎週火曜日と金曜日に、女性や子どもたちが木の下に集まっています。ユニセフのパートナー団体が提供している、重度の急性栄養不良の子どもたちの治療プログラムに参加するためです。
北バハル・アル・ガザール州は、国内で最も貧しい州のひとつで、人口の72%が安定的な食糧の入手ができません。また、2万5,000人以上の子どもたちが重度の栄養不良に陥っています。ユニセフの栄養治療センターでは、こうした子どもたちの体重測定や栄養状態のチェック、栄養不良の治療をおこなっています。
双子の母親であるアチルさん(28歳)が、重度の栄養不良に陥っている子どもたちを栄養治療センターに連れてきました。生後8カ月になっても体重が新生児と変わらず、男の子が4kg、女の子が3kgをわずかに超える程度しかありません。「子どもたちは現在、週に一度の栄養治療食を受け取っています」とアチルさんは話します。
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アチルさんの6人の子どもたちのうち4人が、ユニセフの栄養プログラムを受けており、アチルさんは週2回、自宅から栄養治療センターまでの4kmの道のりを歩いて栄養治療食を受け取りに行きます。「十分な食事がとれません。だから、子どもたちが病気になってしまうのです」(アチルさん)
アチルさんは、今にも壊れそうな泥とわらで作られた小屋を指さして言います。「ここで6人の子どもたちと夫、母と一緒に暮らしています。もともと住んでいた村では食べ物が足りず、ここに移り住んだのですが、状況は何も変わりません」
双子のうちの一人は、毎日の食事でRUTF(すぐに口にできる栄養治療食)を摂取しています。RUTFは、重度の急性栄養不良を抱える子どものための、ピーナッツを主成分としたペースト状の高カロリー治療食です。重度の急性栄養不良に陥った子どもは、健康な子どもに比べて命を落とすリスクが9倍高くなると言われています。
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アチルさんの家族は、草の実を食べて何とか生き延びています。しかし、この実にはほとんど栄養がありません。「私たちは1日に1度、草の実の食事をとるだけでほとんどいつも空腹です。食べ物を買う余裕がないのです」
アチルさんの夫も、食料を買うお金を得ようと地元の市場で仕事を探しましたが、職が見つからないと言います。「雨が降らず、家族が食べる草の実がなくなってしまったら、といつも不安に駆られています。そうなれば、私たちはまた飢えてしまいます」
ユニセフは、パートナーによる資金協力を得て、2016年1月より南スーダンにおいて急性栄養不良に苦しむ15万人以上の子どもたちへの治療を行いました。また、重度の栄養不良の子どもたちを診断し、治療する保健員の訓練もサポートしています。
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ユニセフは、栄養治療センターの運営や支援物資の提供をはじめ、地域の母子を集めて実施する定期的な発育観察、地元出身の保健員の育成、子どもの命を守る栄養・衛生・保健知識の普及など、世界各地で子どもたちのための栄養支援活動を強力に推進しています。
詳しくは、特集: 栄養不良が脅かす「命」・「成長」・「未来」 をご覧ください
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