【2016年5月4日 アンゴラ発】
アンゴラで子どもの出生登録をすることは、時に大変な難題となります。情報不足、行政サービスや官僚制度の弱さが、主な原因の一つです。この問題に気付いたマンデュム・ヤ・ンデムファヨ公立大学で法律を学ぶ学生40人がグループを作って、アンゴラを構成する18の州の1つ、ウイラ州の州都ルバンゴに「市民情報発信所」を設置することにしました。
UNICEF Angola/2016/Lourenço |
ルバンゴ市の中心部から5キロほど離れた、コマンダー・カウボーイ地区にある情報発信所を訪問すると、若者たちは早朝から集まり、朝いちばんの仕事として必要な資料の整理を始めていました。その後、彼らはラップトップと印刷された情報資料を使って、質問に訪れた人々に対応します。「最も難しい日は、登録申請をする日です」と、マリナ・マテウスさん(24歳)は、登録事務所の職員が、民事登録局の証明を受けるために、書類を取りに来る日のことを言います。
マリナさんは、法律の勉強をする傍ら、2015年11月から若者グループの一員になっています。彼女がこのプロジェクトに関わった理由は、今後、コミュニティの人々が法律に関する情報などへのアクセスをサポートする仕事に就きたいと考えているからです。
「多くの人は、出生登録のために何をしなければならないのか知りたがっています。この手続きは必ず取らなければならず、登録されない子どもは孤児の扱いを受けるのです。このような質問を良く受けます」とマリナさんは話します。2014年の全国人口・住宅統計(2014年)によると、ウイラ州では、登録されている5歳未満児は10人に1人だけです。学生たちが開始した情報発信所は5つの地域の行政施設に設置され、この数字を減らす手助けを模索しています。
各ポストには、4~5人の若いボランティアがいて、支援を必要とする人たちに対応しています。平均して、5時間に30人が訪れます。住民に提供している情報を要約した小冊子も作りました。ユニセフがEUの資金援助を受けて支援してくれているおかげです。
マリナさんは、少しずつですが、コミュニティと当局の信頼を得ていることに幸せを感じています。若いボランティアたちは、コミュニティに情報を提供することに加えて、地域行政がスタッフ不足で対応が出来ていない、予備登録や民事登録局で登録・証明された証明書の発行も行っています。「私達には、登録しましょう、というだけでは十分ではありません。なぜ登録することが必要なのかを伝える必要があるのです」とマリナさんは語りました。
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生後4か月の赤ちゃんの出生登録証を受け取るために情報ポストを訪れていたテレサ・ジャンガレイさん(24歳)と出会いました。テレサさんは12月に登録手続きをして、3カ月かかりましたが出生登録証を受け取ることができ、ようやく目標を達成できたことを喜んでいます。「子どもは登録されないと、学校に行くこともできないので」とテレサさんは言います。
この2人の息子の若いお母さんは、長男の出生登録が3歳まで出来なかったので、今回は早めに登録を済ませたかったと言います。彼女は「父親が子どもを登録したがらないことが問題となることがある」と言います。
登録証を受け取ったテレサさんは、「ボランティアさんが教えてくれたように、この出生登録証をラミネート加工して保護します。彼らは、私に友達にも広めるように言いました。なぜなら、父親がいなくても、母親がいなくても子どもを登録することができるからです」と語りました。
ウイラ州は、4つの自治体がユニセフの支援により実施している出生登録徹底プログラムの対象地域です。しかし、人的資源や業務運営上の資源不足により、州全域を対象とした大規模拡大には至っていません。
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