【2017年3月13日 ダマスカス(シリア)/アンマン(ヨルダン)発】
シリア紛争が開始から6年が経過することを受け、ユニセフ(国連児童基金)は、紛争が子どもたちに与える影響について調査し、2016年が子どもたちへの被害が過去最大だったとする厳しい評価を報告書『どん底:どのように2016年がシリアの子どもにとって最悪の年となったか(Hitting Rock Bottom: How 2016 Became the Worst Year for Syria’s Children)』にて発表しました。
昨年、全土で暴力が激化する中、確認されているだけでも、子どもたちの殺害、傷害、徴用・徴兵の事例が急増しました。
「かつてないほどの深刻な苦難が子どもたちを襲っています。シリアに暮らす何百万人の子どもたちは、日常的に攻撃に晒され、混沌とした生活を送っています」とユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは話しました。「子ども一人ひとりが、健康も幸せも将来も無惨に奪われ、生涯にわたる傷を負っているのです。」
いまだ一部の地域へのアクセスが難しいことが、子どもたちの苦難の全体像の調査や最も苦しい状況にある子どもたちへの緊急人道支援を阻んでいます。子どもたちは、爆弾、銃弾や爆発以上に、簡単に予防できるはずの疾患によって静かに命を奪われていきます。医療ケアや救援物資、その他の基本的なサービスへのアクセスは、いまも難しい状態が続いています。
©UNICEF/2016/Syria/Rural Damascus/Amer Alshami |
シリアの子どもたちの中でも最も弱い立場にあるのは、支援が届きにくい地域に暮らす280万人で、そのうち28万人はほとんど完全に人道支援から切り離された包囲地域に暮らしています。
6年間に及ぶ紛争の結果、現在600万人近くの子どもたちが人道支援で命をつないでいます。この数は2012年の12倍です。数百万人の子どもたちが家を追われ、中には移動を7回も強いられた例もあります。230万人以上の子どもたちがトルコ、レバノン、ヨルダン、エジプトまたはイラクで難民生活を送っています。
シリア国内および近隣諸国で暮らす家族にとって、困難な生活に対処する手段は失われつつあります。生きるために極端な手段を取らざるを得ず、子どもたちは早婚や児童労働を強いられることが珍しくありません。
そのような恐怖や苦難に満ちた生活を強いられているにもかかわらず、希望や夢を追い求める子どもたちの驚くべきストーリーが数多くあります。トルコで難民として暮らしているダルシ―さん(12歳)は、「外科医になってシリアの病人や負傷者を助けたい。シリアの戦争が終わって私たちが帰れるようになることを夢みています。戦争のない世界を夢みています」と話しました。
「私たちはシリアの子どもたちの勇気を目の当たりにしています。多くの子どもたちが、紛争の前線を越え、試験を受けるために学校にやってきました。彼らは学び続けることにこだわり、地下に造られた学校でも学びます。シリアの子どもたちの置かれている環境を良くするために私たちができること、しなければならないことが、まだまだたくさんあります」とカッペラエレは言います。
シリアの子どもたちに代わって、ユニセフは、すべての紛争当事者、影響力のある関係者、国際社会、そして子どもに関心のあるすべての人に、以下のことを求めます。
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